590 / 978
583.狩猟祭8
しおりを挟む
「まあ、あまりにも教義に反するような啓示は
教壇が秘匿するでしょうけどね。
都合の良い啓示は広く開示されるけど、
教団に不利益になる啓示はそのまま神々の黙示録という禁書に
記載されて、封印されるわ」
誠一はなるほどとキャロリーヌの説明に納得したが、
信心深いシエンナは反論した。
「ちょっと、キャロリーヌ。それは違うわよ。
悪魔付きとか堕ちた神、狂信者の言葉を封印しているだけでしょ」
誠一は、言い合いになりそうな二人を止めた。
「二人とも黙って、ここは戦場だよ。
あとでその話は聞く。それよりも」
「うん、『薔薇の園』の僧侶莉々視が啓示を
受けているみたいだし、待った方が得策よ。
神の言葉を妨げたなんてサピエンツ教団の耳に入ったら、
厄介なことっていうより大事になるわ。
教団を敵に回すようなことになるから」
キャロリーヌの説明に頷くと誠一は、
ダメ元で千晴に再び話し掛けた。
『はひ、すみません、誠一さん。今、確認中です。
莉々子に直接、聞けないから清涼さんに聞いて貰っています』
『いえ、こちらこそ貴重な時間を割いて貰って、すみません』
内心で思っていることと真逆のことを伝える誠一であった。
『取り敢えず知っていることだけ伝えますね。
HNリリーって名前でゲームをしている
会社の同僚のプレイヤーです。
知人を介して、狩猟祭は撤回して貰ったつもりでしたけど、
そこらへんについては今、問い質して貰っています』
あんまり考えたくはないが、確か清涼とかいう知人、
リリー、そして千晴という3人の痴情のもつれに
巻き込まれているのではと疑ってしまった。
知人とやらの話でリリーを刺激しなければと
誠一は思うばかりであった。
「アルフレート君、どうやら神託が下されたようだ」
ロジェの言葉で全員が莉々視の方へ目を向けた。
莉々視の周りには恭しく跪く美女5人がいた。
「我らが信奉する女神様よりありがたきお言葉を頂いた。
辞を低くしてそのお言葉に耳を傾けよ」
誠一たちは特に恭しい態度を取るでもなく、
武器を構えて、莉々視を注視していた。
「無礼者が!跪け。貴様ら女神様のお言葉を前に無礼であろう」
喚き散らすばかりで女神の言葉を開示しない莉々視に
誠一は辟易してしまった。
形だけでもと誠一が跪こうとした時、
ヴェルが誠一の腕を取り、叫んだ。
「ふん、くだらない。言いたくなければ言わなくてもいいぜ。
どうせ俺らの信じる神様じゃないしな。
俺は俺の納得する時だけ跪く。なあ、アルそうだろ?」
彼女の受けた啓示の内容が気になるところだったが、
千晴もログインしているため、千晴を喜ばせる選択肢も
悪くないと誠一は判断した。
教壇が秘匿するでしょうけどね。
都合の良い啓示は広く開示されるけど、
教団に不利益になる啓示はそのまま神々の黙示録という禁書に
記載されて、封印されるわ」
誠一はなるほどとキャロリーヌの説明に納得したが、
信心深いシエンナは反論した。
「ちょっと、キャロリーヌ。それは違うわよ。
悪魔付きとか堕ちた神、狂信者の言葉を封印しているだけでしょ」
誠一は、言い合いになりそうな二人を止めた。
「二人とも黙って、ここは戦場だよ。
あとでその話は聞く。それよりも」
「うん、『薔薇の園』の僧侶莉々視が啓示を
受けているみたいだし、待った方が得策よ。
神の言葉を妨げたなんてサピエンツ教団の耳に入ったら、
厄介なことっていうより大事になるわ。
教団を敵に回すようなことになるから」
キャロリーヌの説明に頷くと誠一は、
ダメ元で千晴に再び話し掛けた。
『はひ、すみません、誠一さん。今、確認中です。
莉々子に直接、聞けないから清涼さんに聞いて貰っています』
『いえ、こちらこそ貴重な時間を割いて貰って、すみません』
内心で思っていることと真逆のことを伝える誠一であった。
『取り敢えず知っていることだけ伝えますね。
HNリリーって名前でゲームをしている
会社の同僚のプレイヤーです。
知人を介して、狩猟祭は撤回して貰ったつもりでしたけど、
そこらへんについては今、問い質して貰っています』
あんまり考えたくはないが、確か清涼とかいう知人、
リリー、そして千晴という3人の痴情のもつれに
巻き込まれているのではと疑ってしまった。
知人とやらの話でリリーを刺激しなければと
誠一は思うばかりであった。
「アルフレート君、どうやら神託が下されたようだ」
ロジェの言葉で全員が莉々視の方へ目を向けた。
莉々視の周りには恭しく跪く美女5人がいた。
「我らが信奉する女神様よりありがたきお言葉を頂いた。
辞を低くしてそのお言葉に耳を傾けよ」
誠一たちは特に恭しい態度を取るでもなく、
武器を構えて、莉々視を注視していた。
「無礼者が!跪け。貴様ら女神様のお言葉を前に無礼であろう」
喚き散らすばかりで女神の言葉を開示しない莉々視に
誠一は辟易してしまった。
形だけでもと誠一が跪こうとした時、
ヴェルが誠一の腕を取り、叫んだ。
「ふん、くだらない。言いたくなければ言わなくてもいいぜ。
どうせ俺らの信じる神様じゃないしな。
俺は俺の納得する時だけ跪く。なあ、アルそうだろ?」
彼女の受けた啓示の内容が気になるところだったが、
千晴もログインしているため、千晴を喜ばせる選択肢も
悪くないと誠一は判断した。
1
あなたにおすすめの小説
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです
忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?
屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる