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591.狩猟祭16
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「先生は目的のためにあの騎士を
あなたの欲望の贄にしたのですか?」
「欲望でござるか。ふむ、確かにそうでござるな。
しかし、中途半端な気持ちであれど、
先に刃を向けたのは、向こうでござろう。
ならば、いかなる結末も受け入れる覚悟がなくてはならぬ。
戯言で刃を相手に向けるなら、どこぞの舞台にでも上がればよい」
論点を微妙にずらされた様な気がしたが、
シエンナは術を解除した。
そして、誠一をサポートすべくシエンナは走り出した。
誠一の側で蹲るサリナを落ち着かせるべく、
キャロリーヌも走り出した。
「ふう、鬼谷殿。あの女性はどうする?連れて行くのか」
「瀕死の女性を路上に置いて行くようなことを
アルフレート様は許しますまい」
「それも織り込み済みということか。
一体あなたの望みは何なのだ?神へ至る標でも探しているのか?」
剣豪は寂しそうに笑った。
説明しても誰にも理解されぬ。
阿呆の妄想と一笑に付されるだけ。
「そのような大それた望みはない。
ただ酒を酌み交わす約束したでござる。
そのささやかな望みのためでござる」
曇りなき空を剣豪は見つめた。
温かい神の声で心が満たされることはなかった。
去来するのは、常の神の最後の言葉であった。
『十四郎よ、至るのだ。神へ届く一振りへ至れ!
そのとき、君と酒を酌み交わせるかもしれない。
酒にも強くなっておけよ』
「俺に言葉の真贋を見抜く称号も能力もないが、
あなたのその言葉を今は信じよう」
ヴェルは二人の会話が大事に至らぬと判断し、
アミラを伴って死んだ二人の遺体を埋葬すべく準備を始めた。
「すまない、アルフレート。
あそこへ向かうのに力を貸して欲しい」
莉々の名を冠する騎士が同じく莉々の名を
冠する二人の埋葬された場所に目を向けた。
「ええ、構いません」
誠一は動けない莉々を抱き上げた。
鎧を脱がせたが意外と重かった。
自分より身長は高いが、すらりとして十分に女性らしさを
感じさせる体型からは想像もつかない重さであった。
「ふふっ重いか。すまないが、頼む」
そう言って莉々は直ぐに目を閉じた。
「むむっ」
そのやりとりに少し拗ねているシエンナだった。
埋葬された場所の前で誠一に抱きかかえられながら、
祈る莉々であった。
「ありがとう、アルフレート。
もう十分だ。ここに降ろしておいてくれ」
そう言い残して、莉々は再び目を閉じた。
「ふうううぅ、全くアルが傷ついた女性を
こんなところに置いていく訳ないのにね」
シエンナは懐から神より下賜された
スーパーリラックス安眠薬(ハーブ入り)を莉々の口に含ませた。
その効果は顕著であった。
顔色は悪いが、莉々の苦しそうな表情が若干、
やわらいだように誠一には見えた。
誠一とシエンナは荷車に莉々を運び、寝かせた。
「アル、ここは私が看ているから、
みんなに次の行動に関して話さないと」
誠一は荷車の幌を上げて出ようとした。
そこにはキャロリーヌに肩を抱かれているサリナがいた。
あなたの欲望の贄にしたのですか?」
「欲望でござるか。ふむ、確かにそうでござるな。
しかし、中途半端な気持ちであれど、
先に刃を向けたのは、向こうでござろう。
ならば、いかなる結末も受け入れる覚悟がなくてはならぬ。
戯言で刃を相手に向けるなら、どこぞの舞台にでも上がればよい」
論点を微妙にずらされた様な気がしたが、
シエンナは術を解除した。
そして、誠一をサポートすべくシエンナは走り出した。
誠一の側で蹲るサリナを落ち着かせるべく、
キャロリーヌも走り出した。
「ふう、鬼谷殿。あの女性はどうする?連れて行くのか」
「瀕死の女性を路上に置いて行くようなことを
アルフレート様は許しますまい」
「それも織り込み済みということか。
一体あなたの望みは何なのだ?神へ至る標でも探しているのか?」
剣豪は寂しそうに笑った。
説明しても誰にも理解されぬ。
阿呆の妄想と一笑に付されるだけ。
「そのような大それた望みはない。
ただ酒を酌み交わす約束したでござる。
そのささやかな望みのためでござる」
曇りなき空を剣豪は見つめた。
温かい神の声で心が満たされることはなかった。
去来するのは、常の神の最後の言葉であった。
『十四郎よ、至るのだ。神へ届く一振りへ至れ!
そのとき、君と酒を酌み交わせるかもしれない。
酒にも強くなっておけよ』
「俺に言葉の真贋を見抜く称号も能力もないが、
あなたのその言葉を今は信じよう」
ヴェルは二人の会話が大事に至らぬと判断し、
アミラを伴って死んだ二人の遺体を埋葬すべく準備を始めた。
「すまない、アルフレート。
あそこへ向かうのに力を貸して欲しい」
莉々の名を冠する騎士が同じく莉々の名を
冠する二人の埋葬された場所に目を向けた。
「ええ、構いません」
誠一は動けない莉々を抱き上げた。
鎧を脱がせたが意外と重かった。
自分より身長は高いが、すらりとして十分に女性らしさを
感じさせる体型からは想像もつかない重さであった。
「ふふっ重いか。すまないが、頼む」
そう言って莉々は直ぐに目を閉じた。
「むむっ」
そのやりとりに少し拗ねているシエンナだった。
埋葬された場所の前で誠一に抱きかかえられながら、
祈る莉々であった。
「ありがとう、アルフレート。
もう十分だ。ここに降ろしておいてくれ」
そう言い残して、莉々は再び目を閉じた。
「ふうううぅ、全くアルが傷ついた女性を
こんなところに置いていく訳ないのにね」
シエンナは懐から神より下賜された
スーパーリラックス安眠薬(ハーブ入り)を莉々の口に含ませた。
その効果は顕著であった。
顔色は悪いが、莉々の苦しそうな表情が若干、
やわらいだように誠一には見えた。
誠一とシエンナは荷車に莉々を運び、寝かせた。
「アル、ここは私が看ているから、
みんなに次の行動に関して話さないと」
誠一は荷車の幌を上げて出ようとした。
そこにはキャロリーヌに肩を抱かれているサリナがいた。
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