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逃げたいの番外編〜
番外編 vs将来について
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番外編 vs将来について
恋人ができたら?
パートナーができたら?
例えば手を繋いで街を歩くとか、映画館や動物園とかでデートにショッピング。
時には人気のスイーツ店やカフェで外食とかもして…
(金がかかる)
現実とはシビアだ。
どうにか僅かばかりの貯金を増やしたいけどアルバイトは禁止されている。
先生に甘えていると分かっているけど、ただでさえΩには生き辛い社会なんだから高卒の資格は欲しい。
といっても俺は番い契約したおかげで普通のΩよりは就職先はまだある。
(食費と光熱費…あとは家賃で、月…)
支出、支出、支出ばっかりだ。
俺を養うのに最低かかる金額と家賃掛ける一年をざっくり計算するだけでとんでもない額になってしまう。
いくら先生の実家が太くても、さすがに居候の俺の面倒まではみてないだろから全て先生の負担だ。
てか、俺っていうか事故番いの存在を先生の親は知ってんのかな?
………だめだ、その辺を考えると胃が痛くなるからやめとこ。
「唯君、どうしたの?そんなに数字を書き殴って…簿記でもとるつもりかい?」
「なぁ、先生。先生の収入っていまどんくらい?」
「は??」
キョトンとした顔と声に俺はしちゃダメな質問をしたことに気づいた。
「君はなんでそんな事考えちゃうんだろうねぇ??確かにお金は大事だけどさ、もっと大人を頼るとか甘えるとか、俺は君の番いなんだから遠慮しなくていいのに」
「そんなの、どうやって?」
素朴な疑問は先生を困らせてしまった…
でも知らない。
俺の知ってる大人に頼るってのはお金ありきでしかなかった。
母さんの恋人達は時々お菓子やお小遣いをくれたけど、それを受け取ると母さんは嫌な顔をするから極力関わることを控えて避けた。
まともな大人がいるところなんて学校か、この人しか知らない。甘えるって行為も今がまさにそうだろ。
「俺は、先生から貰うのを当たり前にしたくないだけだ。早く自立した大人にならなきゃだし、学校を出たら働いて稼ぎたい、ちゃんと恩返しがしたい」
掃除に洗濯、料理。
俺にできることは全部やるし先生は毎回褒めてくれる。
「ありがとう」や「美味しい」と言われるともっと頑張りたいって思う。
でもこれだけで満足してたらダメだ。もっとちゃんと先生の役に立ちたい。
「まったく、唯君のしっかりした性格には惚れ惚れするよ。そうだね、お金の面は君が働き出した時、二人で考えよう」
「……!」
分かってもらえたことが嬉しくて「ほんと!?」と明るくなる。
「ところで何処で働きたいとか候補はあるのかい?」
「求人ガイドみてたら夜勤なんだけど、黒服ってのが一番時給がよくて」
「ははは。なら俺は、君が卒業する前に地下室の付いた家を探そうかな」
もちろん冗談じゃないよ、と
ビリッと冷たい空気はαの威圧ではなく、先生の冷笑から感じる圧だった…
(先生と将来の話をするのはまだ先でいいかな…)
end
恋人ができたら?
パートナーができたら?
例えば手を繋いで街を歩くとか、映画館や動物園とかでデートにショッピング。
時には人気のスイーツ店やカフェで外食とかもして…
(金がかかる)
現実とはシビアだ。
どうにか僅かばかりの貯金を増やしたいけどアルバイトは禁止されている。
先生に甘えていると分かっているけど、ただでさえΩには生き辛い社会なんだから高卒の資格は欲しい。
といっても俺は番い契約したおかげで普通のΩよりは就職先はまだある。
(食費と光熱費…あとは家賃で、月…)
支出、支出、支出ばっかりだ。
俺を養うのに最低かかる金額と家賃掛ける一年をざっくり計算するだけでとんでもない額になってしまう。
いくら先生の実家が太くても、さすがに居候の俺の面倒まではみてないだろから全て先生の負担だ。
てか、俺っていうか事故番いの存在を先生の親は知ってんのかな?
………だめだ、その辺を考えると胃が痛くなるからやめとこ。
「唯君、どうしたの?そんなに数字を書き殴って…簿記でもとるつもりかい?」
「なぁ、先生。先生の収入っていまどんくらい?」
「は??」
キョトンとした顔と声に俺はしちゃダメな質問をしたことに気づいた。
「君はなんでそんな事考えちゃうんだろうねぇ??確かにお金は大事だけどさ、もっと大人を頼るとか甘えるとか、俺は君の番いなんだから遠慮しなくていいのに」
「そんなの、どうやって?」
素朴な疑問は先生を困らせてしまった…
でも知らない。
俺の知ってる大人に頼るってのはお金ありきでしかなかった。
母さんの恋人達は時々お菓子やお小遣いをくれたけど、それを受け取ると母さんは嫌な顔をするから極力関わることを控えて避けた。
まともな大人がいるところなんて学校か、この人しか知らない。甘えるって行為も今がまさにそうだろ。
「俺は、先生から貰うのを当たり前にしたくないだけだ。早く自立した大人にならなきゃだし、学校を出たら働いて稼ぎたい、ちゃんと恩返しがしたい」
掃除に洗濯、料理。
俺にできることは全部やるし先生は毎回褒めてくれる。
「ありがとう」や「美味しい」と言われるともっと頑張りたいって思う。
でもこれだけで満足してたらダメだ。もっとちゃんと先生の役に立ちたい。
「まったく、唯君のしっかりした性格には惚れ惚れするよ。そうだね、お金の面は君が働き出した時、二人で考えよう」
「……!」
分かってもらえたことが嬉しくて「ほんと!?」と明るくなる。
「ところで何処で働きたいとか候補はあるのかい?」
「求人ガイドみてたら夜勤なんだけど、黒服ってのが一番時給がよくて」
「ははは。なら俺は、君が卒業する前に地下室の付いた家を探そうかな」
もちろん冗談じゃないよ、と
ビリッと冷たい空気はαの威圧ではなく、先生の冷笑から感じる圧だった…
(先生と将来の話をするのはまだ先でいいかな…)
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