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1章 脇役は砂糖と塩と共に
人攫いは調理中に
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アメリカにいるお父さんとお母さんへ
突然の手紙で驚いていると思います。
長男の俺、左都 志央と妹の真里亜は今――異世界にいます。
(なんて、ありえないよなぁ)
ありえないけど信じてほしい。
俺と真里亜が今いる場所はテレビや遊園地でしか見たことのないザ・お城の中で、デカい窓から見える景色は中世のヨーロッパ風の街並み――
だけど、ここは遊園地ではないし、俺達が旅行に出掛けてて古い街並みを散策している……ってわけでもない。
(俺だってまだ夢の中を疑っているのに……)
それは、日本の都内にあるマンションの一室で起きた。
日曜日の昼下がり。
俺のバイトは休みで真里亜も出かける用事はなかった。だから、たまには二人で何か作ろうと昼飯の準備をしてたんだ。
すると、妹の叫び声が響いた。
きっとゴキブリでも出たんだと俺は振り返って、その光景に驚愕した。
キッチンの床には魔法陣みたいな変な紋様、そしてそこから溢れるように現れた無数の光る手が、妹を魔法陣の中へ引きずり込もうとしていたのだ。
『い、いや!やめて、はなしてっ!!お、お兄ちゃん――!!』
『ま、真里亜!?』
やめろ、馬鹿!!俺の妹を放しやがれ!!!
混乱する間もなく俺は魔法陣に向かって怒鳴り散らし、力いっぱいぐいっと真里亜の腕を引いたが多勢に無勢。光の手の力に敵わないまま俺の体は妹諸共引きずり込まれ――
ハッと目を見開くと、そこは全然知らない身に覚えのない場所だった。
「は……?」
一体どこだ?……なんか…教会みたいな場所だけど……
まるで、RPGかファンタジー映画の中に迷い込んだみたいだった。
「きゃ!?な、なにが…、っ!?ここはどこ!?」
「真里亜、大丈夫だ。下がってろ」
――――コスプレ、なのか?
ズラッと俺と真里亜を取り囲むように並んでたのは純白のローブをまとった怪しい連中だ。
ざっと二十人くらいはいそうだけど…、どこのなんの教団かも分からない。咄嗟に妹を背に隠した。
「真里亜」
「や、やめてよ!!なに?…っ、そんなの知らない!人違いよ!」
「っ、真里亜、落ち着いて。彼らを刺激しちゃダメだ」
「でもお兄ちゃん!こいつらの言ってること頭おかしいよ!?」
「あぁ、どんな事情があっても、中学二年生の女の子を誘拐する連中が正しいわけないさ」
だから、俺の前に出るなと頼む。
俺が冷静でいられたのは、隣に妹がいるおかげだ。もしも一人だったら真里亜と同じか、それ以上に取り乱してパニックに陥っていただろう。
(で、どこまで定番のお約束だ……?)
ゲームで遊んだこともライトノベルも知らない真里亜が知らないのはしょうがない。
俺だって立ち読み程度で詳しいわけじゃないけど……少なくとも彼らが真里亜に向けているのは、深いお辞儀と笑顔だ。
おそらく真里亜に危害を与えるつもりはないんだと思う。
だけど……
「ふ、ふざけないで!!この人はあたしのお兄ちゃんだ!!それに、あたしは聖女なんかじゃない!」
――… オッケー?
真里亜は聖女として召喚された。そして俺は…、連中の反応を見るに歓迎されてはいない。その証拠に俺が視線を上げれば目を逸らすか、口元をローブで隠すような仕草をする。
巻き込まれ、オマケ、召喚失敗。
これが俺のポジションであることは理解した。
「人さらいなんてありえない!お兄ちゃんだけでもいいから元の世界に戻してよ!!馬鹿!」
俺の後ろでフーッ・シャーッと猫のように毛を逆立て彼らを睨む真里亜だ。
とにかく妹の気を和めなくては話が先に進まない……。
だから俺は地面に額をこすりつけた。
「お願いします、妹を刺激しないでください」
土下座の意味が、彼らに伝わらなくたっていい。重要なのは妹の反応だ。
「お、お兄ちゃん!?」
「…………状況が分からないんだ、まずは彼等に説明してもらおう」
だから落ち着いてほしい―――。
地面に丸くなる俺を見て、少しだけ気を落ち着かせてくれたのかコクリと妹はうなずいてくれた。
突然の手紙で驚いていると思います。
長男の俺、左都 志央と妹の真里亜は今――異世界にいます。
(なんて、ありえないよなぁ)
ありえないけど信じてほしい。
俺と真里亜が今いる場所はテレビや遊園地でしか見たことのないザ・お城の中で、デカい窓から見える景色は中世のヨーロッパ風の街並み――
だけど、ここは遊園地ではないし、俺達が旅行に出掛けてて古い街並みを散策している……ってわけでもない。
(俺だってまだ夢の中を疑っているのに……)
それは、日本の都内にあるマンションの一室で起きた。
日曜日の昼下がり。
俺のバイトは休みで真里亜も出かける用事はなかった。だから、たまには二人で何か作ろうと昼飯の準備をしてたんだ。
すると、妹の叫び声が響いた。
きっとゴキブリでも出たんだと俺は振り返って、その光景に驚愕した。
キッチンの床には魔法陣みたいな変な紋様、そしてそこから溢れるように現れた無数の光る手が、妹を魔法陣の中へ引きずり込もうとしていたのだ。
『い、いや!やめて、はなしてっ!!お、お兄ちゃん――!!』
『ま、真里亜!?』
やめろ、馬鹿!!俺の妹を放しやがれ!!!
混乱する間もなく俺は魔法陣に向かって怒鳴り散らし、力いっぱいぐいっと真里亜の腕を引いたが多勢に無勢。光の手の力に敵わないまま俺の体は妹諸共引きずり込まれ――
ハッと目を見開くと、そこは全然知らない身に覚えのない場所だった。
「は……?」
一体どこだ?……なんか…教会みたいな場所だけど……
まるで、RPGかファンタジー映画の中に迷い込んだみたいだった。
「きゃ!?な、なにが…、っ!?ここはどこ!?」
「真里亜、大丈夫だ。下がってろ」
――――コスプレ、なのか?
ズラッと俺と真里亜を取り囲むように並んでたのは純白のローブをまとった怪しい連中だ。
ざっと二十人くらいはいそうだけど…、どこのなんの教団かも分からない。咄嗟に妹を背に隠した。
「真里亜」
「や、やめてよ!!なに?…っ、そんなの知らない!人違いよ!」
「っ、真里亜、落ち着いて。彼らを刺激しちゃダメだ」
「でもお兄ちゃん!こいつらの言ってること頭おかしいよ!?」
「あぁ、どんな事情があっても、中学二年生の女の子を誘拐する連中が正しいわけないさ」
だから、俺の前に出るなと頼む。
俺が冷静でいられたのは、隣に妹がいるおかげだ。もしも一人だったら真里亜と同じか、それ以上に取り乱してパニックに陥っていただろう。
(で、どこまで定番のお約束だ……?)
ゲームで遊んだこともライトノベルも知らない真里亜が知らないのはしょうがない。
俺だって立ち読み程度で詳しいわけじゃないけど……少なくとも彼らが真里亜に向けているのは、深いお辞儀と笑顔だ。
おそらく真里亜に危害を与えるつもりはないんだと思う。
だけど……
「ふ、ふざけないで!!この人はあたしのお兄ちゃんだ!!それに、あたしは聖女なんかじゃない!」
――… オッケー?
真里亜は聖女として召喚された。そして俺は…、連中の反応を見るに歓迎されてはいない。その証拠に俺が視線を上げれば目を逸らすか、口元をローブで隠すような仕草をする。
巻き込まれ、オマケ、召喚失敗。
これが俺のポジションであることは理解した。
「人さらいなんてありえない!お兄ちゃんだけでもいいから元の世界に戻してよ!!馬鹿!」
俺の後ろでフーッ・シャーッと猫のように毛を逆立て彼らを睨む真里亜だ。
とにかく妹の気を和めなくては話が先に進まない……。
だから俺は地面に額をこすりつけた。
「お願いします、妹を刺激しないでください」
土下座の意味が、彼らに伝わらなくたっていい。重要なのは妹の反応だ。
「お、お兄ちゃん!?」
「…………状況が分からないんだ、まずは彼等に説明してもらおう」
だから落ち着いてほしい―――。
地面に丸くなる俺を見て、少しだけ気を落ち着かせてくれたのかコクリと妹はうなずいてくれた。
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