17 / 60
何故、妹は姉をざまぁするに至ったか⑯
しおりを挟む
「……ごめんなさい、情けない所見せてしまったわ」
ずっとずっと、泣かないようにと思ってた。泣きたくないと思ってた。私は公爵家の娘だから。涙など見せずに、乗り切ろうと思ってた。
でも、流石にこんな予想外の事を知ってしまって、私は動揺してならなかった。
そのげぇむというものの中で、私という存在がお姉様にとってどうでもいいという事。その事実を知って悲しかった。お姉様にとって、この世界はその乙女げぇむの世界で、だからこそ私を見ないという事実。それを私は正しく理解してしまった。
思わず泣いてしまった事を、涙をぬぐってウーログに謝罪をする。
「ううん、ごめんね、イエルノ」
「……どうして、ウーログが謝るの?」
「暴きたくない真実を、暴いてしまったかなって思って……。ごめんね、僕、イエルノに泣いて欲しくないんだ。イエルノにとって、悲しい事を言ってしまってごめんね」
「謝らないで。私は……、貴方にお礼を告げたい。謝罪なんて求めてない。寧ろ、ありがとう」
ウーログは悲しそうな顔をして、私を見てる。私が悲しんでいるのが悲しいと、そんな目で。私のために、私の事を思ってそんな表情をしてくれる事が不謹慎だけど嬉しかった。私は、この人の事が好きだ。近づけば近づくほど、私はその気持ちを実感する。
ウーログが、私の事をちゃんと見ていてくれている事が心の底から嬉しかった。
「ウーログ、私のために悲しまないで。ウーログのおかげでお姉様がどうしておかしくなってしまったのか分かったもの。悲しいけど、どうして私の事を見ているようでまるで見ていない理由が分かったもの」
悲しい。その気持ちは確かだ。
でも――、お姉様がどうしてああなっているのか、それが知れたのは私にとっての大きな前進なんだ。どうしてもお姉様と昔のように笑いあいたいって、私の事を見てほしいって。そんな過去に縋っている私にとって、重要な情報だったんだ。
「ウーログ、私は、お姉様に、私の事を見てほしいの」
「うん」
「だから、あのね……そのために、手伝ってくれる? もしかしたら、予想外の事になったりするかもしれないけど。その……、私、ウーログ以外に、お姉様の事を相談できる人がいないの。お姉様が変になっているの、なるべく他に知られたくないの。知られてしまったら、お姉様が周りをちゃんと見た時に、その後大変だから……。我儘だってのは分かっているけど……」
「うんうん、大丈夫だよ。イエルノ。そんなに必死にならなくても、僕は君の味方をするよ。イエルノは、アクノール様がちゃんと生きていけるように傷をつけたくないんだよね?」
「うん……。だって、もしこんな風に前世の記憶があるとか、この世界をその、創作物の世界だと思っているとか、そういうのが知られてしまったらお姉様は頭のおかしい令嬢と認識されてしまうもの」
「うん。イエルノは優しい子だね」
ウーログの方を見れば、驚くぐらいにやさしい目でウーログは私を見ている。何だか、私のすべてを受け入れてくれるようなそんな穏やかな瞳。そんな瞳で見つめられたら、何だかドキドキしてきてしまった。
「私は、お姉様が大好きなの。今は、私の事を見てくれてないけど。でも私はお姉様が私にやさしくしてくれていた日々を覚えているの。お姉様は確かに今は私の事を見ていないけれど、ちゃんとお姉様なの。だからなるべくお姉様の名に傷をつける事なく、お姉様にちゃんとわかってもらいたい」
「うん。イエルノはアクノール様が大好きなんだね。じゃあ、作戦会議しようか」
「作戦会議?」
「そうそう。こういうのはちゃんと、作戦を練ってから行動したほうがいいからね。後先考えずに行動したら、取り返しのつかないことになる可能性があるからね」
ウーログはそう言って笑ってくれる。こんな風な態度をされたら、何だか甘えてしまいそうになる。というより、大分、もう枷が外れてしまって、甘えてしまっていると思う。
「うん……ありがとう、ウーログ」
「お礼はいらないよ。僕はイエルノが大切だから、力を貸したいと思っているだけだから。イエルノに好かれたいっていう下心ももちろんあるし」
「意味ないわ。……もう、好きだから」
ぼそっと言った言葉だったけれど、ウーログの耳にはしっかり届いたみたいで、ウーログが「僕も、イエルノの事、好きだよ」とにこにこと笑っていた。恥ずかしくなった。
「そ、そんなことより、お姉様に分かってもらうための作戦会議をするのでしょう」
ごまかすように慌てて、話題を変える。私が恥ずかしがっているのが分かっているのか、ウーログは相変わらず穏やかで、優しい笑みを浮かべて、私を見ていた。
そして、私とウーログによる作戦会議が始まった。
ずっとずっと、泣かないようにと思ってた。泣きたくないと思ってた。私は公爵家の娘だから。涙など見せずに、乗り切ろうと思ってた。
でも、流石にこんな予想外の事を知ってしまって、私は動揺してならなかった。
そのげぇむというものの中で、私という存在がお姉様にとってどうでもいいという事。その事実を知って悲しかった。お姉様にとって、この世界はその乙女げぇむの世界で、だからこそ私を見ないという事実。それを私は正しく理解してしまった。
思わず泣いてしまった事を、涙をぬぐってウーログに謝罪をする。
「ううん、ごめんね、イエルノ」
「……どうして、ウーログが謝るの?」
「暴きたくない真実を、暴いてしまったかなって思って……。ごめんね、僕、イエルノに泣いて欲しくないんだ。イエルノにとって、悲しい事を言ってしまってごめんね」
「謝らないで。私は……、貴方にお礼を告げたい。謝罪なんて求めてない。寧ろ、ありがとう」
ウーログは悲しそうな顔をして、私を見てる。私が悲しんでいるのが悲しいと、そんな目で。私のために、私の事を思ってそんな表情をしてくれる事が不謹慎だけど嬉しかった。私は、この人の事が好きだ。近づけば近づくほど、私はその気持ちを実感する。
ウーログが、私の事をちゃんと見ていてくれている事が心の底から嬉しかった。
「ウーログ、私のために悲しまないで。ウーログのおかげでお姉様がどうしておかしくなってしまったのか分かったもの。悲しいけど、どうして私の事を見ているようでまるで見ていない理由が分かったもの」
悲しい。その気持ちは確かだ。
でも――、お姉様がどうしてああなっているのか、それが知れたのは私にとっての大きな前進なんだ。どうしてもお姉様と昔のように笑いあいたいって、私の事を見てほしいって。そんな過去に縋っている私にとって、重要な情報だったんだ。
「ウーログ、私は、お姉様に、私の事を見てほしいの」
「うん」
「だから、あのね……そのために、手伝ってくれる? もしかしたら、予想外の事になったりするかもしれないけど。その……、私、ウーログ以外に、お姉様の事を相談できる人がいないの。お姉様が変になっているの、なるべく他に知られたくないの。知られてしまったら、お姉様が周りをちゃんと見た時に、その後大変だから……。我儘だってのは分かっているけど……」
「うんうん、大丈夫だよ。イエルノ。そんなに必死にならなくても、僕は君の味方をするよ。イエルノは、アクノール様がちゃんと生きていけるように傷をつけたくないんだよね?」
「うん……。だって、もしこんな風に前世の記憶があるとか、この世界をその、創作物の世界だと思っているとか、そういうのが知られてしまったらお姉様は頭のおかしい令嬢と認識されてしまうもの」
「うん。イエルノは優しい子だね」
ウーログの方を見れば、驚くぐらいにやさしい目でウーログは私を見ている。何だか、私のすべてを受け入れてくれるようなそんな穏やかな瞳。そんな瞳で見つめられたら、何だかドキドキしてきてしまった。
「私は、お姉様が大好きなの。今は、私の事を見てくれてないけど。でも私はお姉様が私にやさしくしてくれていた日々を覚えているの。お姉様は確かに今は私の事を見ていないけれど、ちゃんとお姉様なの。だからなるべくお姉様の名に傷をつける事なく、お姉様にちゃんとわかってもらいたい」
「うん。イエルノはアクノール様が大好きなんだね。じゃあ、作戦会議しようか」
「作戦会議?」
「そうそう。こういうのはちゃんと、作戦を練ってから行動したほうがいいからね。後先考えずに行動したら、取り返しのつかないことになる可能性があるからね」
ウーログはそう言って笑ってくれる。こんな風な態度をされたら、何だか甘えてしまいそうになる。というより、大分、もう枷が外れてしまって、甘えてしまっていると思う。
「うん……ありがとう、ウーログ」
「お礼はいらないよ。僕はイエルノが大切だから、力を貸したいと思っているだけだから。イエルノに好かれたいっていう下心ももちろんあるし」
「意味ないわ。……もう、好きだから」
ぼそっと言った言葉だったけれど、ウーログの耳にはしっかり届いたみたいで、ウーログが「僕も、イエルノの事、好きだよ」とにこにこと笑っていた。恥ずかしくなった。
「そ、そんなことより、お姉様に分かってもらうための作戦会議をするのでしょう」
ごまかすように慌てて、話題を変える。私が恥ずかしがっているのが分かっているのか、ウーログは相変わらず穏やかで、優しい笑みを浮かべて、私を見ていた。
そして、私とウーログによる作戦会議が始まった。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
婚約破棄ですか?構いませんわ。ですがその契約、すべて我が家のものです
ふわふわ
恋愛
王太子ユリウスは、王立学園の卒業舞踏会で突然宣言した。
「カリスタ・ヴァレリオンとの婚約を破棄する!」
隣には涙を流す義妹ルミレア。
彼女は「姉に虐げられてきた可哀想な令嬢」を演じ、王太子はそれを信じてしまう。
だが――王太子は知らなかった。
ヴァレリオン公爵家が
王国銀行の資金、港湾会社の株式、商人組合の信用保証――
王国経済の中枢を支える契約のほとんどを握っていたことを。
婚約破棄と同時に、カリスタは静かに言った。
「では契約を終了いたします」
その瞬間、王国の歯車は止まり始める。
港は停止。
銀行は資金不足。
商人は取引停止。
そしてついに――
王宮大広間で王太子の公開断罪が始まる。
「私は悪くない!」
「騙されたんだ!」
見苦しく喚き暴れる王太子は、衛兵に取り押さえられ、床を引きずられるようにして連行されていく。
王太子、義妹、義父母。
すべてが破滅したとき、カリスタはただ静かに告げる。
「契約は終わりました」
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる