24 / 60
何故、妹は姉をざまぁするに至ったか㉓
しおりを挟む
「そう……アクノール様はそんなことを」
「……ええ」
お姉様にげぇむの事を告げて、お姉様がそのことをなかったことにした事。それをウーログに伝えた。こういう相談はウーログ以外には出来ない。
それにしてもげぇむの事を口にした瞬間、お姉様は確かに私を見た。”イエルノ・カプラッド”というげぇむの登場人物の妹という認識ではなく、確かに私を見ていた。だからこそ私はお姉様がちゃんとここがげぇむではないと理解してくれるのではないかと期待した。だけど、お姉様は……私の事をたたいた。そしてなかったこととして処理してしまった。
「お姉様は、またげぇむの事を口にしたらこうなりそうだわ。少しずつ理解してもらおうと動くつもりではあるけれど」
「……イエルノの話を聞いている限り、アクノール様は本当にこの世界を乙女ゲームの世界だと信じ切っているんだね。それこそ妹であるイエルノの言葉を一切聞かないぐらい。イエルノ、無理をしないで。僕はイエルノが叩かれたりするのは嫌なんだ。イエルノが望むからアクノール様の事を協力をしているけど、僕はアクノール様よりもイエルノの方が大切だから」
私がお姉様に叩かれてしまった事を知って、悲しそうな顔を浮かべている。
お姉様よりも私の方が大切だというウーログは、私に言うのだ。
「僕は……イエルノが傷つくぐらいなら、アクノール様が破滅しようが構わない。アクノール様の事はもう放っておいたらって正直そんな風に思うよ」
お姉様が破滅しようが構わないと、もう放っておいたらどうかと。
その言葉に私が反論の声をあげる前に、ウーログは言う。
「でも、イエルノはアクノール様の事を放っておけないんでしょ? イエルノは優しいからね。……だから止められないよ。でも、イエルノ。僕はイエルノが僕の知らない所で傷ついているのが嫌なんだ。だから――、せめて無茶をするのならば僕と一緒にいる時に無茶をして。僕はイエルノに何かあるのは嫌なんだよ」
ウーログは、私の欲しい言葉をいつもくれる。
ウーログは、前世の記憶があるからか分からないけれども、とても冷静で、優しい。……私がお姉様を諦めてしまえば、それだけで楽になれる。お姉様の事を放っておけば、多分、勝手に悪い方向に転がっていくと思う。だってお姉様は婚約者であるデル兄様の事も全く見ていないから。デル兄様の心は離れていっている。それは確かだと思う。例え、結婚したとしてもこのままではお姉様も出る兄様も幸せになんてなれないと思う。
「ウーログ……ごめんなさい。お姉様の事を諦められたら、ウーログを巻き込むこともしなくてよかったのに」
「イエルノ、悲しそうな顔をしないで。大丈夫だよ。僕はイエルノに巻き込まれるのならば、どんどん巻き込まれたい。好きな子の問題なら、自分の問題と一緒なんだから」
「ウーログ……」
私の問題を自分の問題と言ってくれる事が嬉しいと思った。好意を抱いている相手だからこそ、巻き込みたくないという思いはある。だけれども、やっぱり嬉しいという気持ちは嘘なんかではない。それだけウーログの中で私の存在が大きくなっているという事だから。……こんな事を考えていると知ったら引かれてしまうだろうか。
「とりあえず言っても理解しない事は分かったわけだけど、どうしようか。もうすぐアクノール様も学園に通ってしまうわけだけど」
「……一番は、そのげぇむの物語が始まる前にお姉様にげぇむの世界と現実が違う事を分かってもらう事だけど、厳しいかもしれない」
私が望んでいるのは、お姉様がげぇむの物語が始まる前にちゃんと理解してくれる事だ。でも、それは難しいかもしれない。だってお姉様に私の声は届かない。私が何を言っても、またなかったことにするのではないかと、そんな風に思ってしまう。
「もし、駄目だった場合はどうしたい? もしかしたらアクノール様は、乙女ゲームがはじまったとしても変わらないかもしれないよ」
「……ええ。あの、その乙女げぇむってもの、エンディングって主人公が誰かを選んでハッピーエンドになって、お姉様が断罪されるのよね」
「うん。そうみたいだね」
「……なら、本当にお姉様が分かってくれないなら、お姉様が私達をちゃんと見てくれないなら、一度、エンディングをちゃんと迎えてみるのはどうかと思うの。どんな風に迎えるかなんて考えてないけど、お姉様が、断罪される未来というか、一区切りするのは仕方がないのかもしれないって、この前のお姉様を見て思ったの」
だって幾ら私が動いたとしてもお姉様は現実を見ないかもしれない。その可能性が強いと思う。だからこそ、もし、お姉様は本当にそんな風に分からないままで生きるというのならば、一度終わらせるべきかと思った。
げぇむの世界だと信じているお姉様がげぇむの世界を終えたらどうなるかは分からない。だけど、そこで、ちゃんと私達が一人一人生きている人間だってわかってくれたらと思うから。
「そうだね……最悪、そうしないといけないかも」
「ええ。その時は、助けてもらえる?」
「もちろん」
――出来れば、そこまで行く前にどうにかしたい。だけれども、そこまで行くかもしれない。その時は、私はお姉様を、この手で断罪したい。そんな思いさえ、私には湧いてきていた。
「……ええ」
お姉様にげぇむの事を告げて、お姉様がそのことをなかったことにした事。それをウーログに伝えた。こういう相談はウーログ以外には出来ない。
それにしてもげぇむの事を口にした瞬間、お姉様は確かに私を見た。”イエルノ・カプラッド”というげぇむの登場人物の妹という認識ではなく、確かに私を見ていた。だからこそ私はお姉様がちゃんとここがげぇむではないと理解してくれるのではないかと期待した。だけど、お姉様は……私の事をたたいた。そしてなかったこととして処理してしまった。
「お姉様は、またげぇむの事を口にしたらこうなりそうだわ。少しずつ理解してもらおうと動くつもりではあるけれど」
「……イエルノの話を聞いている限り、アクノール様は本当にこの世界を乙女ゲームの世界だと信じ切っているんだね。それこそ妹であるイエルノの言葉を一切聞かないぐらい。イエルノ、無理をしないで。僕はイエルノが叩かれたりするのは嫌なんだ。イエルノが望むからアクノール様の事を協力をしているけど、僕はアクノール様よりもイエルノの方が大切だから」
私がお姉様に叩かれてしまった事を知って、悲しそうな顔を浮かべている。
お姉様よりも私の方が大切だというウーログは、私に言うのだ。
「僕は……イエルノが傷つくぐらいなら、アクノール様が破滅しようが構わない。アクノール様の事はもう放っておいたらって正直そんな風に思うよ」
お姉様が破滅しようが構わないと、もう放っておいたらどうかと。
その言葉に私が反論の声をあげる前に、ウーログは言う。
「でも、イエルノはアクノール様の事を放っておけないんでしょ? イエルノは優しいからね。……だから止められないよ。でも、イエルノ。僕はイエルノが僕の知らない所で傷ついているのが嫌なんだ。だから――、せめて無茶をするのならば僕と一緒にいる時に無茶をして。僕はイエルノに何かあるのは嫌なんだよ」
ウーログは、私の欲しい言葉をいつもくれる。
ウーログは、前世の記憶があるからか分からないけれども、とても冷静で、優しい。……私がお姉様を諦めてしまえば、それだけで楽になれる。お姉様の事を放っておけば、多分、勝手に悪い方向に転がっていくと思う。だってお姉様は婚約者であるデル兄様の事も全く見ていないから。デル兄様の心は離れていっている。それは確かだと思う。例え、結婚したとしてもこのままではお姉様も出る兄様も幸せになんてなれないと思う。
「ウーログ……ごめんなさい。お姉様の事を諦められたら、ウーログを巻き込むこともしなくてよかったのに」
「イエルノ、悲しそうな顔をしないで。大丈夫だよ。僕はイエルノに巻き込まれるのならば、どんどん巻き込まれたい。好きな子の問題なら、自分の問題と一緒なんだから」
「ウーログ……」
私の問題を自分の問題と言ってくれる事が嬉しいと思った。好意を抱いている相手だからこそ、巻き込みたくないという思いはある。だけれども、やっぱり嬉しいという気持ちは嘘なんかではない。それだけウーログの中で私の存在が大きくなっているという事だから。……こんな事を考えていると知ったら引かれてしまうだろうか。
「とりあえず言っても理解しない事は分かったわけだけど、どうしようか。もうすぐアクノール様も学園に通ってしまうわけだけど」
「……一番は、そのげぇむの物語が始まる前にお姉様にげぇむの世界と現実が違う事を分かってもらう事だけど、厳しいかもしれない」
私が望んでいるのは、お姉様がげぇむの物語が始まる前にちゃんと理解してくれる事だ。でも、それは難しいかもしれない。だってお姉様に私の声は届かない。私が何を言っても、またなかったことにするのではないかと、そんな風に思ってしまう。
「もし、駄目だった場合はどうしたい? もしかしたらアクノール様は、乙女ゲームがはじまったとしても変わらないかもしれないよ」
「……ええ。あの、その乙女げぇむってもの、エンディングって主人公が誰かを選んでハッピーエンドになって、お姉様が断罪されるのよね」
「うん。そうみたいだね」
「……なら、本当にお姉様が分かってくれないなら、お姉様が私達をちゃんと見てくれないなら、一度、エンディングをちゃんと迎えてみるのはどうかと思うの。どんな風に迎えるかなんて考えてないけど、お姉様が、断罪される未来というか、一区切りするのは仕方がないのかもしれないって、この前のお姉様を見て思ったの」
だって幾ら私が動いたとしてもお姉様は現実を見ないかもしれない。その可能性が強いと思う。だからこそ、もし、お姉様は本当にそんな風に分からないままで生きるというのならば、一度終わらせるべきかと思った。
げぇむの世界だと信じているお姉様がげぇむの世界を終えたらどうなるかは分からない。だけど、そこで、ちゃんと私達が一人一人生きている人間だってわかってくれたらと思うから。
「そうだね……最悪、そうしないといけないかも」
「ええ。その時は、助けてもらえる?」
「もちろん」
――出来れば、そこまで行く前にどうにかしたい。だけれども、そこまで行くかもしれない。その時は、私はお姉様を、この手で断罪したい。そんな思いさえ、私には湧いてきていた。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
婚約破棄ですか?構いませんわ。ですがその契約、すべて我が家のものです
ふわふわ
恋愛
王太子ユリウスは、王立学園の卒業舞踏会で突然宣言した。
「カリスタ・ヴァレリオンとの婚約を破棄する!」
隣には涙を流す義妹ルミレア。
彼女は「姉に虐げられてきた可哀想な令嬢」を演じ、王太子はそれを信じてしまう。
だが――王太子は知らなかった。
ヴァレリオン公爵家が
王国銀行の資金、港湾会社の株式、商人組合の信用保証――
王国経済の中枢を支える契約のほとんどを握っていたことを。
婚約破棄と同時に、カリスタは静かに言った。
「では契約を終了いたします」
その瞬間、王国の歯車は止まり始める。
港は停止。
銀行は資金不足。
商人は取引停止。
そしてついに――
王宮大広間で王太子の公開断罪が始まる。
「私は悪くない!」
「騙されたんだ!」
見苦しく喚き暴れる王太子は、衛兵に取り押さえられ、床を引きずられるようにして連行されていく。
王太子、義妹、義父母。
すべてが破滅したとき、カリスタはただ静かに告げる。
「契約は終わりました」
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる