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モノ再訪④
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シルヴァーはずっとシロと磯で遊んでいるらしく、姿を確認できない。
それでも僕たちは、「三日月浜」で活動している間は固く口を噤んだ。そして、荷物を胸いっぱいに抱えてジャングルに足を踏み入れるや否や、生き返ったように会話を再開した。
島での生活に役立つなど、僕にとって価値が高い情報は少なかったかもしれない。それでも、幅広い情報を取得できた。取得すればするほど、外の世界、そしてモノに対する興味関心は膨らんでいった。
同時に、僕は理解していた。外界への期待の表れは内界への失望――すなわち、シルヴァーから遠ざかりたいという欲求の裏返しだということを。
この欲求が膨らむのは、僕にとって広い意味で望ましいことだとは思えない。腰を据えて思案するべき議題だ、とも思う。
ただ、問題を突き詰めることへの漠然とした恐れと、モノと会話する時間に浸っていたい気持ち、二つの強力な要因に屈する形で、問題に真正面から向き合うのをひとまず避けた。
「いろいろ話してくれて、ありがとう」
荷物を全て小屋まで運び終え、絨毯の前に立った僕は、隣に立ったモノに謝辞を述べた。幸いにも、シルヴァーがまだ散歩から帰ってきていなかったため、別れる前に言葉を交わす機会を作れた。
僕の言葉に対してモノは、モノらしく、表情を変えずに淡々とした口調で、
「わざわざ礼を言われるほどでもないよ。最初に言ったように、伝えておかなければならないことを伝えただけだから。ついつい無駄話が多くなってしまったけど」
「無駄じゃないよ。記憶喪失の僕にはどの話も新鮮で、興味深かった」
敬語を使わない会話にもすっかり慣れた。
僕たちの距離は、着実に縮まっている。
「モノ。また十日後に島まで来てくれるんだよね」
「そうだね。陛下がそう命じられたから、そうなると思う」
「そのときは、今日みたいに僕に話してくれる? 外の世界のこととか、モノ自身のこととか」
「いいよ。あくまでも仕事に支障が出ない範囲内で、だけどね」
僕は思わず笑みをこぼしていた。答えたさいの彼女の口角に、微笑と呼んでも差し支えない色が滲んでいたからだ。
もう少し話がしたかったが、砂を蹴る軽快な足音に我に返る。磯が広がっている方面から、シロがこちらへと駆けてくる。その後ろには、急がない足取りで歩くシルヴァーの姿がある。
合流を果たしてから舟が動き出すまでは早かった。遠ざかっていくその一艘を、シルヴァーが海に背を向けて歩き出すまでの短い間、僕は瞳に映し続けた。
それでも僕たちは、「三日月浜」で活動している間は固く口を噤んだ。そして、荷物を胸いっぱいに抱えてジャングルに足を踏み入れるや否や、生き返ったように会話を再開した。
島での生活に役立つなど、僕にとって価値が高い情報は少なかったかもしれない。それでも、幅広い情報を取得できた。取得すればするほど、外の世界、そしてモノに対する興味関心は膨らんでいった。
同時に、僕は理解していた。外界への期待の表れは内界への失望――すなわち、シルヴァーから遠ざかりたいという欲求の裏返しだということを。
この欲求が膨らむのは、僕にとって広い意味で望ましいことだとは思えない。腰を据えて思案するべき議題だ、とも思う。
ただ、問題を突き詰めることへの漠然とした恐れと、モノと会話する時間に浸っていたい気持ち、二つの強力な要因に屈する形で、問題に真正面から向き合うのをひとまず避けた。
「いろいろ話してくれて、ありがとう」
荷物を全て小屋まで運び終え、絨毯の前に立った僕は、隣に立ったモノに謝辞を述べた。幸いにも、シルヴァーがまだ散歩から帰ってきていなかったため、別れる前に言葉を交わす機会を作れた。
僕の言葉に対してモノは、モノらしく、表情を変えずに淡々とした口調で、
「わざわざ礼を言われるほどでもないよ。最初に言ったように、伝えておかなければならないことを伝えただけだから。ついつい無駄話が多くなってしまったけど」
「無駄じゃないよ。記憶喪失の僕にはどの話も新鮮で、興味深かった」
敬語を使わない会話にもすっかり慣れた。
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「モノ。また十日後に島まで来てくれるんだよね」
「そうだね。陛下がそう命じられたから、そうなると思う」
「そのときは、今日みたいに僕に話してくれる? 外の世界のこととか、モノ自身のこととか」
「いいよ。あくまでも仕事に支障が出ない範囲内で、だけどね」
僕は思わず笑みをこぼしていた。答えたさいの彼女の口角に、微笑と呼んでも差し支えない色が滲んでいたからだ。
もう少し話がしたかったが、砂を蹴る軽快な足音に我に返る。磯が広がっている方面から、シロがこちらへと駆けてくる。その後ろには、急がない足取りで歩くシルヴァーの姿がある。
合流を果たしてから舟が動き出すまでは早かった。遠ざかっていくその一艘を、シルヴァーが海に背を向けて歩き出すまでの短い間、僕は瞳に映し続けた。
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