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橋の袂までいっしょに歩く。そんなのはなんでもないことだ、という顔を住友さんはしている。だけど、僕にとっては一大事だ。水分補給をしてクールダウンしたばかりだというのに、肌にはうっすらと汗すらかいているし、つい考えてしまう。
住友さんはなにを思って、僕にそんな提案をしたのだろう。
一人さびしく休日のひとときを送っていたから、同情した? それも少しあるかもしれない。深い意味なんてない? たぶん、それが正解なのだろう。
たしかなのは、木曜日と金曜日の一件がなければ、そんな提案をするどころか、僕に声をかけることすらなかった、ということだ。
「香坂、走りかた、ちょっとおかしくなかった? 足を痛めてるの?」
「え? いや、別に。運動が得意じゃないから、かな」
「短い距離だから、得意も苦手もないと思うけど。……まあ、いいや。行こう」
住友さんが歩き出したので、それに続く。彼女が川の側を、僕が道路に近い側を歩く形だ。
僕たちのあいだに隔たっているのは、一人か一人半分の横幅。ほぼ横並びだ。歩きはじめた当初は、互いが相手の歩調に合わせようとしたせいで、二・三歩ごとに立ち止まって隣をうかがうような、ぎこちない歩行になってしまったけど、すぐに最適化された。
「その袋、重いの?」
住友さんが一瞬歩を緩めて、袋の持ち手を握り直したのを見て、それを話し出すきっかけにした。彼女は頭を振って、
「ううん、別に。大きいけど、入っているのは一着だけだから。夏物のワンピースなんだけど」
僕の頭に浮かんだのは、ノースリーブの純白のワンピース。剥き出しになった白く華奢な肩、照りつける夏の日差し、麦わら帽子の下でほほ笑む住友さん。完全なる僕の願望にもとづく妄想だけど、でも、白系の服は住友さんにとても似合っている。今日の服装だって、いつも着ている夏用の制服だって。
「この前店に寄ったときは、絶対に欲しいって感じではなかったんだけど、今日改めて見てみると考えが変わって。香坂って普段、服はどこで買うの?」
僕は全国チェーンの衣料品店の名前を挙げた。
「服装に特にこだわりはないから、必要に迫られたときだけ買うって感じ。楽しみの一つとして服を買いに行くことは、正直ないかな」
「男子は香坂みたいな人が多いよね。ファッションに無頓着な」
苦笑いしながらうなずく。実際は、恥ずかしながら、私服は中学生になった今でも親に買ってもらっている。この事実を明かしたら、よくも悪くも話が盛り上がりそうだけど、僕も男だ。女の子にかっこ悪い一面を知られたくない。
「服に興味がないんだったら、休みの日はどこに行くの、なんて思っちゃうけどね。香坂も含めた世の男子中学生たちは」
「さあ、どうなんだろう。僕の場合は家で過ごすのが好きだから、読書以外だとゲームとか」
「ああ、ゲームね。たしかに、ゲームは男子がするイメージある。女子でもやってる子はやってるみたいだけど」
住友さんはなにを思って、僕にそんな提案をしたのだろう。
一人さびしく休日のひとときを送っていたから、同情した? それも少しあるかもしれない。深い意味なんてない? たぶん、それが正解なのだろう。
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「え? いや、別に。運動が得意じゃないから、かな」
「短い距離だから、得意も苦手もないと思うけど。……まあ、いいや。行こう」
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僕たちのあいだに隔たっているのは、一人か一人半分の横幅。ほぼ横並びだ。歩きはじめた当初は、互いが相手の歩調に合わせようとしたせいで、二・三歩ごとに立ち止まって隣をうかがうような、ぎこちない歩行になってしまったけど、すぐに最適化された。
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僕の頭に浮かんだのは、ノースリーブの純白のワンピース。剥き出しになった白く華奢な肩、照りつける夏の日差し、麦わら帽子の下でほほ笑む住友さん。完全なる僕の願望にもとづく妄想だけど、でも、白系の服は住友さんにとても似合っている。今日の服装だって、いつも着ている夏用の制服だって。
「この前店に寄ったときは、絶対に欲しいって感じではなかったんだけど、今日改めて見てみると考えが変わって。香坂って普段、服はどこで買うの?」
僕は全国チェーンの衣料品店の名前を挙げた。
「服装に特にこだわりはないから、必要に迫られたときだけ買うって感じ。楽しみの一つとして服を買いに行くことは、正直ないかな」
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