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気楽な会話の合間に、住友さんと由佳、二人の少女をいろいろな角度から比較しながら、のんびりとしたペースで道を歩く。
やがて神社の鳥居の前まで来た。自宅を出てから十五分ほどが経っている。
「そろそろ引き返すね」
「えっ、もう? ちょっと早くない?」
「親にコンビニに行くって言っちゃったから、もう帰らないと怪しまれる」
「ああ、具体的な行き先を告げたせいで自縄自縛しちゃったパターンか。間抜けね」
「間抜けでいいから、帰るよ」
そう、自縄自縛。事実をいつわることで、その場を取り繕うことはできるかもしれない。だとしても、時間が経つとどうしても、なにかしらの綻びが生じてしまう。
コンビニに行くという嘘であれば、たとえばれたとしても、最悪でも、親から小言を言われてそれでおしまい。僕自身を含めて、誰の人生にもなんの影響も与えない。
でも、由佳に対する嘘の場合はどうだろう。ずっと昔から親しく付き合ってきた相手に隠しごとをする、というのは。
往路でのやりとりをコピーしたものに、多少のアレンジを加えたようなやりとりを交わすうちに、あっという間に香坂家が行く手に見えた。
その旨を告げると、言下に返ってきたのは、僕が今どこにいるのかを把握しきっているかのような「わかってる」の一言。
それを境に、由佳の声の調子が少し変わった。
「一つだけ遥斗に言っておきたいのはね」
シリアスな色を帯びたのだ。
「あたしと遥斗、気軽には会えないじゃん? だから、遥斗はどうしても住友みのりに心が傾いちゃうと思うのね。いつでも電話なりメッセージなりで連絡をとれるとはいえ、会えないっていうハンデはかなり大きいから。そこらへんの女が相手なら覆す自信はあるけど、住友みのりはまあまあかわいいからね。もちろん、あたしには遠く及ばないけど」
由佳は少し笑った。無理して笑ったわけではないようだけど、ほんの少しさびしい気持ちになる。
「でも――いや、だからって言うべきかな。あたしが構ってアピールしたときは、ちゃんと相手してよ。友だちが他に何人いようが、あたしにとって遥斗は特別なの。だから、今日みたいにされるとすごくさびしい。ちゃんとした理由があったとしても」
「……ごめん」
「ちょっと! 簡単に謝らないでよ。雰囲気が暗くなるから。返事は元気よく『うん、わかった』でしょ。はい、やり直して」
「うん、わかったよ」
「もうちょっと元気が欲しいなー。エクスクラメーションマークがつくような元気が」
「もう夜の十時だよ。外にいるのに大声は、ちょっと」
「ああ、それもそうだね。じゃあ、特別サービスで及第点ってことにしておこうかな」
「恩に着るよ」
笑い合ったことで、元のような雰囲気に限りなく近づいた。少し気まずい空気や暗い雰囲気になったとしても、持ち前の明るさですぐに無理なく軌道修正ができる。これも由佳のいいところの一つだ。
「じゃあ、おやすみ」
別れのあいさつを交わして、通話が切れたのを確認してから家の中に入る。
けっきょく、由佳には隠しごとはばれなかったけど、素直によろこんでもいいのだろうか?
それがわからなくて、自信が持てなくて、一抹の不安が胸に残った。
やがて神社の鳥居の前まで来た。自宅を出てから十五分ほどが経っている。
「そろそろ引き返すね」
「えっ、もう? ちょっと早くない?」
「親にコンビニに行くって言っちゃったから、もう帰らないと怪しまれる」
「ああ、具体的な行き先を告げたせいで自縄自縛しちゃったパターンか。間抜けね」
「間抜けでいいから、帰るよ」
そう、自縄自縛。事実をいつわることで、その場を取り繕うことはできるかもしれない。だとしても、時間が経つとどうしても、なにかしらの綻びが生じてしまう。
コンビニに行くという嘘であれば、たとえばれたとしても、最悪でも、親から小言を言われてそれでおしまい。僕自身を含めて、誰の人生にもなんの影響も与えない。
でも、由佳に対する嘘の場合はどうだろう。ずっと昔から親しく付き合ってきた相手に隠しごとをする、というのは。
往路でのやりとりをコピーしたものに、多少のアレンジを加えたようなやりとりを交わすうちに、あっという間に香坂家が行く手に見えた。
その旨を告げると、言下に返ってきたのは、僕が今どこにいるのかを把握しきっているかのような「わかってる」の一言。
それを境に、由佳の声の調子が少し変わった。
「一つだけ遥斗に言っておきたいのはね」
シリアスな色を帯びたのだ。
「あたしと遥斗、気軽には会えないじゃん? だから、遥斗はどうしても住友みのりに心が傾いちゃうと思うのね。いつでも電話なりメッセージなりで連絡をとれるとはいえ、会えないっていうハンデはかなり大きいから。そこらへんの女が相手なら覆す自信はあるけど、住友みのりはまあまあかわいいからね。もちろん、あたしには遠く及ばないけど」
由佳は少し笑った。無理して笑ったわけではないようだけど、ほんの少しさびしい気持ちになる。
「でも――いや、だからって言うべきかな。あたしが構ってアピールしたときは、ちゃんと相手してよ。友だちが他に何人いようが、あたしにとって遥斗は特別なの。だから、今日みたいにされるとすごくさびしい。ちゃんとした理由があったとしても」
「……ごめん」
「ちょっと! 簡単に謝らないでよ。雰囲気が暗くなるから。返事は元気よく『うん、わかった』でしょ。はい、やり直して」
「うん、わかったよ」
「もうちょっと元気が欲しいなー。エクスクラメーションマークがつくような元気が」
「もう夜の十時だよ。外にいるのに大声は、ちょっと」
「ああ、それもそうだね。じゃあ、特別サービスで及第点ってことにしておこうかな」
「恩に着るよ」
笑い合ったことで、元のような雰囲気に限りなく近づいた。少し気まずい空気や暗い雰囲気になったとしても、持ち前の明るさですぐに無理なく軌道修正ができる。これも由佳のいいところの一つだ。
「じゃあ、おやすみ」
別れのあいさつを交わして、通話が切れたのを確認してから家の中に入る。
けっきょく、由佳には隠しごとはばれなかったけど、素直によろこんでもいいのだろうか?
それがわからなくて、自信が持てなくて、一抹の不安が胸に残った。
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https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
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