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「ようするに子どもなんだよ、樹音は。周りの人間の気持ちを考えられないし、自分の感情をコントロールできない、子どもの中の子ども。威張ってるけど、全然凄いことじゃないからね、我慢できないのって。そういうわがままなところを凄いと認識しちゃってること自体、子どもの証拠っていうか」
的確で無駄のない言い回しで断罪する玲奈に、真理愛は黒目を輝かせて盛んに首を縦に振る。
いじめ問題の根本的な解決は難しいかもしれない。しかし神宮寺玲奈がそばにいてくれる限り、生きていける。真理愛はそんな思いさえ抱いていた。
もともと陰りを見せはじめていたダイニングのLED電球が、二・三日前からとうとう明滅するようになった。
間隔にして十分に一回程度、一回につき一度きりの明暗の変化。気になるといえば気になるし、我慢できるといえば我慢できる、そんなレベルの明滅だ。
少し前までの真理愛であれば、気になる側だった。
無言で何度も電球に目をやり、「電球、そろそろ交換したほうがよくない?」というメッセージを暗に発信する。直接、口頭で要望する。「光が弱くなっているのはずっと前からわかっていたのだから、早く替えておけばよかったのに」と、自らの怠慢を棚に上げて家族の怠慢を非難する。
家族に対して、それらのいずれかの行動をとらずにはいられなかっただろう。
しかし、今日の真理愛は違う。
電球の寿命がいよいよ尽きようとしていることに気がついてはいるが、気にならない。明滅の間隔がもう少し短くなるか、最悪でも明かりが灯らなくなるかすれば、さすがの親も対応するだろうから、放っておけばいい。そうきっぱり割り切って、今晩のメインである豚の生姜焼きを付け合わせの千切りキャベツに巻きつけては口へと運んでいる。
彼女を寛大な気持ちにさせている立役者は、神宮寺玲奈に他ならない。
今日真理愛と玲奈が交流したのは、昼休みの一時間弱のみ。それ以外の時間には一言も言葉を交わしていない。連絡先は交換していないから、放課後にもやりとりはいっさいない。
それでも真理愛の心はポジティブだ。今日は楽しかったし、明日も楽しい時間を過ごせる。そんな確信が、彼女をほとんど別人にさせていた。玲奈のことを考えてさえいれば、靖彦の愚痴も、麻子の諦めきった態度も、まったく気にとめずに済んだ。
心が浮ついている自覚はある。だから家族と夕食をともにしている今は、意識して感情を抑えるようにしている。両親に異変を察知されて、「学校でなにかあったの?」などとつまらない言葉をかけられたくなかったから。
楽しみは自分の一人のものにしておきたい。
そして、玲奈も同じ気持ちでいることを願った。
的確で無駄のない言い回しで断罪する玲奈に、真理愛は黒目を輝かせて盛んに首を縦に振る。
いじめ問題の根本的な解決は難しいかもしれない。しかし神宮寺玲奈がそばにいてくれる限り、生きていける。真理愛はそんな思いさえ抱いていた。
もともと陰りを見せはじめていたダイニングのLED電球が、二・三日前からとうとう明滅するようになった。
間隔にして十分に一回程度、一回につき一度きりの明暗の変化。気になるといえば気になるし、我慢できるといえば我慢できる、そんなレベルの明滅だ。
少し前までの真理愛であれば、気になる側だった。
無言で何度も電球に目をやり、「電球、そろそろ交換したほうがよくない?」というメッセージを暗に発信する。直接、口頭で要望する。「光が弱くなっているのはずっと前からわかっていたのだから、早く替えておけばよかったのに」と、自らの怠慢を棚に上げて家族の怠慢を非難する。
家族に対して、それらのいずれかの行動をとらずにはいられなかっただろう。
しかし、今日の真理愛は違う。
電球の寿命がいよいよ尽きようとしていることに気がついてはいるが、気にならない。明滅の間隔がもう少し短くなるか、最悪でも明かりが灯らなくなるかすれば、さすがの親も対応するだろうから、放っておけばいい。そうきっぱり割り切って、今晩のメインである豚の生姜焼きを付け合わせの千切りキャベツに巻きつけては口へと運んでいる。
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それでも真理愛の心はポジティブだ。今日は楽しかったし、明日も楽しい時間を過ごせる。そんな確信が、彼女をほとんど別人にさせていた。玲奈のことを考えてさえいれば、靖彦の愚痴も、麻子の諦めきった態度も、まったく気にとめずに済んだ。
心が浮ついている自覚はある。だから家族と夕食をともにしている今は、意識して感情を抑えるようにしている。両親に異変を察知されて、「学校でなにかあったの?」などとつまらない言葉をかけられたくなかったから。
楽しみは自分の一人のものにしておきたい。
そして、玲奈も同じ気持ちでいることを願った。
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