ずっとしたかった異世界転生!その夢叶いました

伏目 もももん

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2章 屋敷での生活

不安(ティナ視線)

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 ロセが部屋から飛び出してから、屋敷中大騒ぎになった。
 使用人たちは交代で私の様子を見に来ては、涙ぐみながら「良かった。」といって部屋を出ていく。料理長は「ティアーナ様に消化の良い物を!」と張り切って料理を作ってくれた。
 そんな騒ぎも一段落つき、今は家族と落ちたいて話をしている。

・・・本当に大変だった。使用人達もそうだったが、一番手がつけれなかったのは家族だ。ロセが、父に私が起きたことを伝えたのだろう。父のフェルナンドと、兄のリュオルドが血相を変えて部屋に飛び込んできた。あの時驚き悲鳴をあげてしまったのは仕方ないと思う。
 そして、お父様とリュオお兄様は私の顔をみた瞬間泣き出してしまった。


「ティナ、目が覚めたんだな。・・・本当に良かった。」  
 お父様は泣かない様に我慢しているみたいだったけど、目尻には涙が溜まっていた。

「ティナ、良かった。君を、君をもう一度失うかと思ってっ・・・僕っ」
 リュオお兄様は綺麗な紫色の瞳からポロポロと涙を流しながら私に抱きついた。その肩は微かに震えていて、心配かけてしまったと申し訳ない気持ちで一杯になった。
 暫くして、母のマリーナが泣きそうな顔をしてやって来た。お母様にも泣かれては困ると思い、軽く微笑みながら
「かーさま、おはようございます。」
 といったら、泣き出してしまった。何でだろ?
 まぁ、そんなことがあって、今は落ち着いて話が出来る状態になった。皆は私のベッドの近くに座っている。

「ごめんなさい、心配かけて。」

「いや、ティナが無事で良かったよ。所で、ティナが倒れたとき、何があったんだ?」
 と、お父様は優しく頭を撫でながら聞いてきた。ここで、「実は、私前世持ちで悪役令嬢なの!」とか言ったら、頭が可笑しくなったとか思われる。いや、お父様とお兄様は信じるかもだけど。なので、その事は墓まで持っていこうと思う。
 そして私は、もしかしたら将来自分が死ぬかも知れない事と、家族からも見放される可能性があることを思い出した。

「とーさま、かーさま、にーさま・・・」

「どうした?ティナ。」

「ティナちゃん?具合が悪いの?」

「ティナ?・・・震えるけど、大丈夫?」

 そういって皆は心配そうに私顔を覗きこんだ。私の家族は、私を愛してくれている。分かっているつもりでも、未来がどうしようもなく怖かった。

「もし、もし私が道を踏み外してしまう事があっても、元の道へ連れ戻してくれますか?見捨てないでいてくれますか?」
 震える声でそういった。
 もしかしたら、なるつもりが微塵もなくても、ゲームの補正で悪役令嬢になってしまうかもしれない。自分はゲームのティアーナじゃないと思っていても、いつか家族に見放されるかもしれないと思うと、震えが止まらなかつまた。

・・・フワッ

 空気が動いた気配がして、顔をあげてみると、自分が家族に抱きつかれている事に気づいた。

「ティナ、君が何に怯えているのか分からないが、私達がティナを見捨てることは絶対にない。」

「そーよ?だってあなたは私達の可愛い娘なんですもの。」

「当たり前だよ!可愛い妹が道を踏み外したら、僕が正してあげる。」

「あぁ、そうだな。大切な家族が道を間違えたら、それを正すのも家族の役目だ。」

 皆は優しく微笑みながらそういった。目頭が熱くなり、目から涙が溢れてしまう。

「ふ、ぅ、ひっくっ、うぅぅぅ!」
 
滲む視界で様子を見てみると、いきなり泣き出した私に皆オロオロと慌てていた。そんな皆をみて、私は何があっても皆の信頼を裏切らないと心に誓ったのだった。
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