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続編幕前話 ――Before the curtain――
《Before the curtain12》 Epilogue――母からの贈り物
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――狐人族の里を出立してから数週間後。
再びリアベルの街を訪れたツグナたちは、この日もギルドで大量の依頼受注を申請し、きちんと(ユティスの何か諦めた表情を見せられながらも)受理された上で、「その日のうちに」申請した依頼すべてを達成して街へと戻っていた。
「くああぁぁぁ~っ! 仕事を終えた後の一杯はたまらないねぇ~!」
「……前にも同じようなセリフを聞かされたと思うのだけれど、気のせいかしら?」
「うんにゃ。私も丁度同じことを思ってたところだよ、リーナ姉」
ギルドに併設されている食事スペース。そのとあるテーブル席では、席に座ったソアラがジョッキに入ったツグナ特製のジュースをぐびぐびと一息のうちに喉の奥に流し込んでいた。
その勢いよくジョッキを呷る彼女の姿と発言に、向かい合う席に座るリーナとアリアが同じくジュースの入ったジョッキを傾けながら呆れ顔で呟いていた。
「まぁでも、今日は私も同感かな。最近、あのオークの一件でバタバタしてたからさ」
「それもそうね。ようやく平常運転に戻ったと思うべきなんでしょうね……」
再びジョッキを傾けながら呟くアリアの指摘に、リーナもまた同じようにジュースで喉を潤しながら賛同を示す。ただし、ギルドの依頼を一日に二十を超える量を平然と達成する事態を「平常運転」の一言で片づけられるその考え自体、他の者たちからすれば突っ込みどころ満載な言葉なのだが。
――あの日、ツグナたちがソアラの故郷においてオーク・エンペラー率いるオークの大群と戦ったことは、既にギルドには報告済みだ。
「……オークの大群を、貴方のレギオンメンバーだけで?」
「あぁそうだ」
「……ねぇ。冗談に付き合ってられるほど、こっちはヒマじゃないのよ?」
当初、ギルドマスターであるユティスは、ツグナの報告を真面目に受け取らなかった。それもそのはずで、通常、オークの群れの発生は、ギルドでは緊急依頼を出して対処する案件である。
それをたった5人で解決まで至らせたのだ。ツグナとしても疑り深い目で報告を聞くユティスの態度は分からないでもなかった。
しかし、ツグナがオーク・エンペラーの魔煌石を見せた瞬間、その態度は一変した。「嘘でしょ!?」と目を剥いて驚いた顔をしたのは痛快だったと今でも思っている。
その後、ユティス(もといサブギルドマスターのクロウス)の方で頑張ってもらい、諸々の報告と手続きを終えたのがつい一週間前のことだ。
報告の際、レギオン全体で討伐したオークやオーク・エリート、オーク・ジェネラル――およそ1,200体分をギルドに買い取ってもらった。なお、本来の討伐数としては1,500体前後に上るのだが、残る300体分は狐人族の里と自分たちの食糧として確保したため、この数で報告と相成った。
「あの子……市場でも崩壊させるつもりなのかしら? これほどまでの数と量……確実に値崩れするわよ」
買い取り場として設けたスペースにうず高く積み上げられたオークの遺体に、ユティスはため息交じりに呟き、隣では「ま、また仕事が……」と白目を剥いて呆然と立ち尽くすクロウスの姿があったのだが――ツグナは知らない。
そんなバタバタの報告を終え、再びの落ち着きを取り戻したツグナたち。リーナたちの持つジョッキ、その中にあったジュースが底を突いた時、
「……待たせたな」
ギルドにこの日の依頼達成の報告を終えたツグナが、脇に小包みを持ちながらリーナたちのいるテーブル席に姿を見せる。彼の後ろには報告手続きに付き添ったキリアも一緒だ。
「……どうしたの、それ?」
ふとツグナの抱えていた包みに気付いたソアラが指を差しながら訊ねると、彼は「これか?」と目の前に掲げながら呟く。
「報告した際、ユティスから渡されたんだよ。『ソアラの故郷の方から』ってな」
「へっ? お母さんたちから? 今度は何だろ……」
彼の言葉に、ソアラはビクリとわずかに身を震わせながら小包みを受け取った。
恐る恐る小包を開いて中を確認すると、そこには本革の鞘に収められた一振りのナイフと翡翠の宝玉が嵌められた一組のイヤリング、そして手紙が入っていた。ソアラは静かにナイフを手に取ると、本革製の鞘からその刀身を引き抜く。
「へぇ……ミスリル製のナイフか。ソアラは確か火系統と水系統の魔法も扱えたよな? ミスリルは魔法との相性がいいって聞いたことがあるし、ナイフなら動きも阻害されないな」
引き抜かれたその銀の刃に、彼女の隣に立っていたツグナが口を挟む。
「ええっと……手紙によると、ナイフは『銀狐の小刀』、イヤリングの方は『翠狐の耳飾り』というアイテムらしいですね。兄さんの見立て通り、ナイフはミスリル製で魔法を刃に纏うことができるみたいですね。イヤリングは、敏捷性を向上させる補助効果があるようです。両アイテムとも、レイラさんが冒険者として活躍されていた際に装備していたものとも書いてあります。『私の思い出の品を、今度は貴女に……』とも」
ナイフに見惚れるソアラに代わり、同封されていた手紙に目を通したリーナがそれぞれのアイテムの説明を読み上げた。
「なるほど。子どもへのプレゼントに母親の思い出の品……か。確かに品自体はいいものだし、効果もソアラの戦闘スタイルにマッチしてる。良かったな」
「うん! このグローブと同様、大切に使わせてもらうよ」
望外の贈り物に、嬉しさを露わにするソアラ。それを見て釣られるように笑うツグナに、ジトりと視線が突き刺さる。
その視線に気付いたツグナが、その元の方に顔を向けると――
「へぇ……プレゼント、ですか。そう言えば、私もあの一件に尽力した身として報酬の一つや二つ、もらってもいいとは思いませんか? ねぇ、兄さん?」
「そうねぇ~、私もリーナの意見に賛成よ。そう言えば、行きつけの魔法書関連のお店に、新しいのが入荷したって耳にしたんだけど……」
「あー、それなら私は細剣を新調したいなぁ~。今のもいいんだけど、結構使い込んでてヘタってきたんだよねぇ……」
笑みを浮かべながらも有無を言わせぬ圧力でツグナを見つめる女性陣がいた。
「えっと……プレゼントって……そもそもキミたちのお金、その管理って全部俺に丸投げしてるじゃん」
気圧されながらもやっとの思いで言葉を紡ぐツグナに、キッと女性陣の目がキツいものに変化する。
「分かってないねぇ、ツグ兄。私たちはそういうのを言ってるんじゃなくて、『ツグ兄から』買ってもらいたいんだよ。そういう女心を読み解くのはまだまだ修行が足りないみたいだねぇ……」
大きなため息と共に呟くアリアに、ツグナはムスッとした表情で「悪かったな……」と言葉を返す。
「あ゛ー、もう分かったよ。それじゃあ明日、一緒に買いに来るか?」
ガリガリと頭を掻きながら呟くツグナに、女性陣はパッと笑顔にその表情を変えて返事をする。
「「「うん、是非っ!!!」」」
場の空気に押される形で承諾したツグナだったのだが、この時の彼は未だ知らなかった。
――如何に女性の買い物ほど長く、そしてひたすらに疲れるものであるのか、ということを。
そのことを後にツグナは盛大に後悔するのだが、その頃にはもう……
「燃え尽きた……」
とベンチに腰を下ろし、脱力したまま固まったという。
再びリアベルの街を訪れたツグナたちは、この日もギルドで大量の依頼受注を申請し、きちんと(ユティスの何か諦めた表情を見せられながらも)受理された上で、「その日のうちに」申請した依頼すべてを達成して街へと戻っていた。
「くああぁぁぁ~っ! 仕事を終えた後の一杯はたまらないねぇ~!」
「……前にも同じようなセリフを聞かされたと思うのだけれど、気のせいかしら?」
「うんにゃ。私も丁度同じことを思ってたところだよ、リーナ姉」
ギルドに併設されている食事スペース。そのとあるテーブル席では、席に座ったソアラがジョッキに入ったツグナ特製のジュースをぐびぐびと一息のうちに喉の奥に流し込んでいた。
その勢いよくジョッキを呷る彼女の姿と発言に、向かい合う席に座るリーナとアリアが同じくジュースの入ったジョッキを傾けながら呆れ顔で呟いていた。
「まぁでも、今日は私も同感かな。最近、あのオークの一件でバタバタしてたからさ」
「それもそうね。ようやく平常運転に戻ったと思うべきなんでしょうね……」
再びジョッキを傾けながら呟くアリアの指摘に、リーナもまた同じようにジュースで喉を潤しながら賛同を示す。ただし、ギルドの依頼を一日に二十を超える量を平然と達成する事態を「平常運転」の一言で片づけられるその考え自体、他の者たちからすれば突っ込みどころ満載な言葉なのだが。
――あの日、ツグナたちがソアラの故郷においてオーク・エンペラー率いるオークの大群と戦ったことは、既にギルドには報告済みだ。
「……オークの大群を、貴方のレギオンメンバーだけで?」
「あぁそうだ」
「……ねぇ。冗談に付き合ってられるほど、こっちはヒマじゃないのよ?」
当初、ギルドマスターであるユティスは、ツグナの報告を真面目に受け取らなかった。それもそのはずで、通常、オークの群れの発生は、ギルドでは緊急依頼を出して対処する案件である。
それをたった5人で解決まで至らせたのだ。ツグナとしても疑り深い目で報告を聞くユティスの態度は分からないでもなかった。
しかし、ツグナがオーク・エンペラーの魔煌石を見せた瞬間、その態度は一変した。「嘘でしょ!?」と目を剥いて驚いた顔をしたのは痛快だったと今でも思っている。
その後、ユティス(もといサブギルドマスターのクロウス)の方で頑張ってもらい、諸々の報告と手続きを終えたのがつい一週間前のことだ。
報告の際、レギオン全体で討伐したオークやオーク・エリート、オーク・ジェネラル――およそ1,200体分をギルドに買い取ってもらった。なお、本来の討伐数としては1,500体前後に上るのだが、残る300体分は狐人族の里と自分たちの食糧として確保したため、この数で報告と相成った。
「あの子……市場でも崩壊させるつもりなのかしら? これほどまでの数と量……確実に値崩れするわよ」
買い取り場として設けたスペースにうず高く積み上げられたオークの遺体に、ユティスはため息交じりに呟き、隣では「ま、また仕事が……」と白目を剥いて呆然と立ち尽くすクロウスの姿があったのだが――ツグナは知らない。
そんなバタバタの報告を終え、再びの落ち着きを取り戻したツグナたち。リーナたちの持つジョッキ、その中にあったジュースが底を突いた時、
「……待たせたな」
ギルドにこの日の依頼達成の報告を終えたツグナが、脇に小包みを持ちながらリーナたちのいるテーブル席に姿を見せる。彼の後ろには報告手続きに付き添ったキリアも一緒だ。
「……どうしたの、それ?」
ふとツグナの抱えていた包みに気付いたソアラが指を差しながら訊ねると、彼は「これか?」と目の前に掲げながら呟く。
「報告した際、ユティスから渡されたんだよ。『ソアラの故郷の方から』ってな」
「へっ? お母さんたちから? 今度は何だろ……」
彼の言葉に、ソアラはビクリとわずかに身を震わせながら小包みを受け取った。
恐る恐る小包を開いて中を確認すると、そこには本革の鞘に収められた一振りのナイフと翡翠の宝玉が嵌められた一組のイヤリング、そして手紙が入っていた。ソアラは静かにナイフを手に取ると、本革製の鞘からその刀身を引き抜く。
「へぇ……ミスリル製のナイフか。ソアラは確か火系統と水系統の魔法も扱えたよな? ミスリルは魔法との相性がいいって聞いたことがあるし、ナイフなら動きも阻害されないな」
引き抜かれたその銀の刃に、彼女の隣に立っていたツグナが口を挟む。
「ええっと……手紙によると、ナイフは『銀狐の小刀』、イヤリングの方は『翠狐の耳飾り』というアイテムらしいですね。兄さんの見立て通り、ナイフはミスリル製で魔法を刃に纏うことができるみたいですね。イヤリングは、敏捷性を向上させる補助効果があるようです。両アイテムとも、レイラさんが冒険者として活躍されていた際に装備していたものとも書いてあります。『私の思い出の品を、今度は貴女に……』とも」
ナイフに見惚れるソアラに代わり、同封されていた手紙に目を通したリーナがそれぞれのアイテムの説明を読み上げた。
「なるほど。子どもへのプレゼントに母親の思い出の品……か。確かに品自体はいいものだし、効果もソアラの戦闘スタイルにマッチしてる。良かったな」
「うん! このグローブと同様、大切に使わせてもらうよ」
望外の贈り物に、嬉しさを露わにするソアラ。それを見て釣られるように笑うツグナに、ジトりと視線が突き刺さる。
その視線に気付いたツグナが、その元の方に顔を向けると――
「へぇ……プレゼント、ですか。そう言えば、私もあの一件に尽力した身として報酬の一つや二つ、もらってもいいとは思いませんか? ねぇ、兄さん?」
「そうねぇ~、私もリーナの意見に賛成よ。そう言えば、行きつけの魔法書関連のお店に、新しいのが入荷したって耳にしたんだけど……」
「あー、それなら私は細剣を新調したいなぁ~。今のもいいんだけど、結構使い込んでてヘタってきたんだよねぇ……」
笑みを浮かべながらも有無を言わせぬ圧力でツグナを見つめる女性陣がいた。
「えっと……プレゼントって……そもそもキミたちのお金、その管理って全部俺に丸投げしてるじゃん」
気圧されながらもやっとの思いで言葉を紡ぐツグナに、キッと女性陣の目がキツいものに変化する。
「分かってないねぇ、ツグ兄。私たちはそういうのを言ってるんじゃなくて、『ツグ兄から』買ってもらいたいんだよ。そういう女心を読み解くのはまだまだ修行が足りないみたいだねぇ……」
大きなため息と共に呟くアリアに、ツグナはムスッとした表情で「悪かったな……」と言葉を返す。
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ガリガリと頭を掻きながら呟くツグナに、女性陣はパッと笑顔にその表情を変えて返事をする。
「「「うん、是非っ!!!」」」
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