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本編
第116話 深紅の呪い竜②
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「兄さんが行くのでしたら私も。後はお願いします」
「そうね。彼だけじゃあ心もとないでしょうし、サポート役は必須でしょ」
「あっ、待ってよツグ兄ぃ~! 私も行くって!」
「ちょ、ちょっと待って! あと一口で食べ終わ……ったから!」
駆け出したツグナの後を、リーナ、キリア、アリア、ソアラが次々と席を立って駆けていく。
「うえっ!? ちょ、みんなぁ~!」
駆け出していくツグナたちに、やや遅れて千陽も現場に向かおうと席を立った――が、不意にその手首を掴まれる。
「えっ? ちょ、何――!?」
自分の手首を掴んだ相手――尊琉の方に顔を向けた千陽は、「何をするんだ」と食って掛かる態度を露わにしつつ問いかける。
「会計……まだ終わってないだろ。頼む、今月ピンチで足りそうにないんだヨ……」
今にも泣きそうな顔で「この場は割り勘でいいから!」と縋る尊琉に、千陽は込み上げてくる怒りを深く息を吐いて鎮めることしかできなかった。
◆◇◆
「お、おいおい、マジかよ……」
泡を食って我先にと逃げ惑う人の波に逆らい、ようやく現場にたどり着いたツグナはその相手の姿に続く言葉を失った。
纏装の指輪による偽装を解除し、臨戦態勢となった彼が中央広場に現れた竜を仰ぎ見る。
「――クリムゾン・カース・ドラゴンロード……だと?」
彼は自身のスキル「異界の鑑定眼」で得た相手の情報に目を見開いて驚いた。「ドラゴンロード」という、竜種の中でも別格とされるその名前もさることながら、より驚きを禁じ得なかったのは、「鑑定不可」が並ぶ#基礎能力値_ステータス__#項目及びレベル、そして名前の横に記載された「改造種」という名称であった。
(っ――!? な、何なんだよ、『鑑定不可』ってのは……! まさか、これって「改造」ってのをされた影響なのか?)
辛うじて分かるのは「紅血閃線」と「呪血廻宴」というスキルのみだ。
「ほぅ……貴方がアルファの言っていた少年ですか」
「っ――!? 誰だ!」
突如として響く男の声に、ツグナは見上げながら誰何の声を上げる。
「これは失礼いたしました。私の名はゼクスと申します。以後、お見知りおきを」
ドラゴンロードの肩に立ったゼクスは、軽く頭を下げながら自己紹介を述べ、
「先日は私の部下とやり合ったようで……差し当たってその返礼に参りました」
(私の部下、だと? それじゃあコイツが……)
余裕たっぷりに挨拶するゼクスに、ツグナは彼を睨みながら頭の中でニアからの話を思い返す。
「このドラゴンロードは貴方に随分と思い入れがあるらしいので、私の主の手で直々に鍛えていただきました。それでは存分に――殺し合ってください」
「グオオオオオオオアアアアアアアッ!!」
ゼクスが告げると同時、ドラゴンロードの咆哮が轟き、大地を揺るがす。
「ハッ! いい加減付き纏われるのはこっちとしても勘弁願いたいんでねぇ! ここらで終いにしてやるよ!」
相手の咆哮に負けじと声を張り上げたツグナは、左腰に吊った鞘から欄顎樟刀を引き抜いて構える。
「ツグナ!」
「兄さん!」
「ツグ兄っ!」
「ちょっと、大丈夫っ!?」
直後、鯉口から刀を抜いた彼の後方から、追って来たソアラ・リーナ・アリア・キリアの四人が姿を見せる。
「ふむ……折角用意した舞台に上がった主役なんですから、余計な手出しは野暮というものですよ。ならば――貴女がたはこの者たちの相手でもしてもらいましょうかねぇ……」
背中から大きなコウモリにも似たワインレッドの羽根を生やし、その羽根をたなびかせながら空中に浮かぶゼクスは、ポツリと呟きながらパチンと指を弾く。
途端、彼の周囲に直径1メートルほどの六つの魔法陣が描かれ、中から各10体ずつゼクスの生やした羽根と同じワインレッドの肌と羽根を持つ異形の生き物が姿を見せた。
「そうね。彼だけじゃあ心もとないでしょうし、サポート役は必須でしょ」
「あっ、待ってよツグ兄ぃ~! 私も行くって!」
「ちょ、ちょっと待って! あと一口で食べ終わ……ったから!」
駆け出したツグナの後を、リーナ、キリア、アリア、ソアラが次々と席を立って駆けていく。
「うえっ!? ちょ、みんなぁ~!」
駆け出していくツグナたちに、やや遅れて千陽も現場に向かおうと席を立った――が、不意にその手首を掴まれる。
「えっ? ちょ、何――!?」
自分の手首を掴んだ相手――尊琉の方に顔を向けた千陽は、「何をするんだ」と食って掛かる態度を露わにしつつ問いかける。
「会計……まだ終わってないだろ。頼む、今月ピンチで足りそうにないんだヨ……」
今にも泣きそうな顔で「この場は割り勘でいいから!」と縋る尊琉に、千陽は込み上げてくる怒りを深く息を吐いて鎮めることしかできなかった。
◆◇◆
「お、おいおい、マジかよ……」
泡を食って我先にと逃げ惑う人の波に逆らい、ようやく現場にたどり着いたツグナはその相手の姿に続く言葉を失った。
纏装の指輪による偽装を解除し、臨戦態勢となった彼が中央広場に現れた竜を仰ぎ見る。
「――クリムゾン・カース・ドラゴンロード……だと?」
彼は自身のスキル「異界の鑑定眼」で得た相手の情報に目を見開いて驚いた。「ドラゴンロード」という、竜種の中でも別格とされるその名前もさることながら、より驚きを禁じ得なかったのは、「鑑定不可」が並ぶ#基礎能力値_ステータス__#項目及びレベル、そして名前の横に記載された「改造種」という名称であった。
(っ――!? な、何なんだよ、『鑑定不可』ってのは……! まさか、これって「改造」ってのをされた影響なのか?)
辛うじて分かるのは「紅血閃線」と「呪血廻宴」というスキルのみだ。
「ほぅ……貴方がアルファの言っていた少年ですか」
「っ――!? 誰だ!」
突如として響く男の声に、ツグナは見上げながら誰何の声を上げる。
「これは失礼いたしました。私の名はゼクスと申します。以後、お見知りおきを」
ドラゴンロードの肩に立ったゼクスは、軽く頭を下げながら自己紹介を述べ、
「先日は私の部下とやり合ったようで……差し当たってその返礼に参りました」
(私の部下、だと? それじゃあコイツが……)
余裕たっぷりに挨拶するゼクスに、ツグナは彼を睨みながら頭の中でニアからの話を思い返す。
「このドラゴンロードは貴方に随分と思い入れがあるらしいので、私の主の手で直々に鍛えていただきました。それでは存分に――殺し合ってください」
「グオオオオオオオアアアアアアアッ!!」
ゼクスが告げると同時、ドラゴンロードの咆哮が轟き、大地を揺るがす。
「ハッ! いい加減付き纏われるのはこっちとしても勘弁願いたいんでねぇ! ここらで終いにしてやるよ!」
相手の咆哮に負けじと声を張り上げたツグナは、左腰に吊った鞘から欄顎樟刀を引き抜いて構える。
「ツグナ!」
「兄さん!」
「ツグ兄っ!」
「ちょっと、大丈夫っ!?」
直後、鯉口から刀を抜いた彼の後方から、追って来たソアラ・リーナ・アリア・キリアの四人が姿を見せる。
「ふむ……折角用意した舞台に上がった主役なんですから、余計な手出しは野暮というものですよ。ならば――貴女がたはこの者たちの相手でもしてもらいましょうかねぇ……」
背中から大きなコウモリにも似たワインレッドの羽根を生やし、その羽根をたなびかせながら空中に浮かぶゼクスは、ポツリと呟きながらパチンと指を弾く。
途端、彼の周囲に直径1メートルほどの六つの魔法陣が描かれ、中から各10体ずつゼクスの生やした羽根と同じワインレッドの肌と羽根を持つ異形の生き物が姿を見せた。
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