黒の創造召喚師 ―Closs over the world―

幾威空

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本編

第117話 深紅の呪い竜③

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「この者たちは私の力で支配した劣等悪魔レッサーデーモンでしてね。どれほどの実力を持っているのか確認したかったのですが……丁度いい。貴女がたにはこの者たちの相手をしてもらいましょうか」
 ゼクスは上空からソアラたちを指差しながら現れた配下のレッサーデーモンたちに、指示を下す。

「――行け」

 下された指令に、召喚されたレッサーデーモンたちは「ゲッゲッゲッ……」と耳障りな鳴き声を漏らしながら一直線にソアラたちに強襲をかける。

「くっ!? 仕方がないわね……ソアラっ!」
 向かってくる敵の質と量から、瞬時に「ツグナのサポート」から「敵の迎撃」に思考を切り替えたキリアが叫ぶ。
「アイサー! いっくよぉ~……天鋼糸断てんこうしだんっ!」
 キリアの合図に合わせ、両腕をレッサーデーモンたちに向かって突き出したソアラが、その指の数と同数の魔鋼糸を伸ばす。
 そして、彼女がくいっとその指先を軽く曲げた瞬間、先頭のレッサーデーモン10体の頭がポトリと落ちた。
「――千和雷槍っ!」
 次いでリーナの放った雷の槍が後続の敵に襲い掛かり、その身体を次々に貫いていく。
「落ちたヤツは任せて! 行くよ……朱鳳散華しゅほうさんげ!」
 リーナが魔法を放つと同時に駆け出したアリアは、雷の槍で羽根を損傷し地上に降りてきたレッサーデーモンたちに攻撃を仕掛ける。
「だりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃああああっ!」
 駆けながら抜いた細剣を目にも留まらぬ速さで突く彼女の周囲に、レッサーデーモンたちの血が花吹雪のようにパッと散る。

「す、凄い……」
「凄いのは師匠だけかと思ったけど……あの連携、相当にレベルが高いぞ」

 遅れて到着した千陽と尊琉は、二人の視線の先で行われているソアラたちの戦いに目が釘付けとなっていた。
 
 細剣を手に地上のレッサーデーモンたちを狩る近距離攻撃メインのアリア
 魔鋼糸という強靭な糸で近づいてくる敵の首を狩る中距離攻撃メインのソアラ
 魔法を武器に上空の敵を次々と落とす遠距離攻撃メインのリーナ
 そして、全体を俯瞰しつつ、仲間たちを支援しつつ、状態異常の魔法で敵の能力・行動を阻害する後方支援メインのキリア

 それぞれが自らの強みを発揮し、次々と敵を倒す彼女らの戦闘技術は、もはや熟練者の戦い方と同じだ。
 そうしたハイレベルな戦闘が繰り広げられているのを、やや興奮気味に食い入るように見つめる千陽と尊琉に対し、上空に留まりながら彼女らを観察するゼクスの表情に焦燥の二字はない。

「――ふむ。なかなかに使えそうな・・・・・少女たちですね。そろそろ放った兵隊レッサーデーモンたちも狩り尽くされるでしょうし……ここは私自ら動くとしましょうか」

 眼鏡を掛け直したゼクスは、一度大きく羽根を広げるとレッサーデーモンたちに紛れて地上へと降り立つ。

「だりゃああっ! これでラストォ!」
「ギギイィッ!?」

 最後の一体を倒したアリアは、手にした細剣に付着した血を振って落とし、静かに鞘へと戻す。
「ふぅ……終わっ――」
 大きく息を吐いて気持ちを落ち着かせた瞬間、物陰に潜んでいたゼクスが仕掛ける。
「油断大敵、ですよ」
「ぐあっ!?」
 左手でアリアの首を掴んだゼクスは、その左腕一本で彼女の身体を持ち上げる。
「私の兵隊をプチプチと元気に狩っていたようですが……ここからは私のターンです」
 口の両端を大きく吊り上げたゼクスは、喉を締め付けられる痛みと息苦しさに苦悶の表情を浮かべるアリアの眼をじっと見つめ、「支配」の力を行使した。

「ぐああああっ!?」
 アリアの中にゼクスの力の核となる「楔」を打ち込まれ、言い様のない苦しみが彼女を襲う。
「ふぅむ……なかなか頑張りますねぇ。ですが……この辺で十分でしょう。さて次は――」
 アリアの首を掴んでいた左手を放し、ドサりと崩れ落ちる彼女をそのままに、ゼクスは次の標的のもとへと向かう。

 ゼクスが地上へと降り立ってから十分と経たぬ間に、彼の目当ての「駒」が揃った。
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