イマワノキワ -その時に私を呼んでー

たまひめ

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第8章

8話 【白✖️黒の闘い】

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 反対に、これらの人間の汚い感情を利用し、自分たちのパワーへと変えるのが、黒弧族だった。
 人間というものは、表面はニコニコしていたり平静を装っていても、内面には様々な感情を抱えているものである。
 希和のクラスの皆も、担任も、それぞれに誰かを憎み、また誰かに恨まれていた。そうした環境は、黒弧族の黒柳にとっては願ってもいない状態で、おいしいおいしい餌場となっていた。
 クロのシャーマンである黒柳は、クラスの皆と担任の悪の感情を利用して、シロのシャーマンである希和を痛めつけようと、虎視眈々と狙っていたのだった。

 希和は、担任に促されて自分の席に着いたが、正直、担任の素っ気ない態度に、とても傷ついていた。
 希和の机の上には、留美のために作られた祖母の手作りのチューリップが、バラバラの形になって置かれていた。
 希和は、それらの花の部分を両手でギュッと握りしめ、悲しみをこらえようとした。
 そんな、目に悔し涙をたたえた希和の心を逆撫でするように、希和の席より前の方に座っていた棘林は、後ろを振り返り、
「花がバラバラで、希和の心もバラバラってか!」
 と、心ない言葉を浴びせた。
 そうすると、棘林のそのセリフが合図かのように、みゆきを除くクラス全員が、希和の方を振り返り、「ククククッ」と、ニヤニヤしながら、気味の悪い笑いを浮かべていた。
 その目は、狐のように三日月の形をしていた。
 あろうことか、担任も口に手を当てて隠してはいるが、その目は生徒たちと同じように、三日月の形をしていて、たしかに笑っていた。
 それを見た瞬間、希和の心の中で何かが壊れた。
『ひどいよ皆、許せない!』
 そう思って、希和がシャーマンとしての能力を解放しようとした時、
『希和! 落ち着け。黒幕は黒弧族の若造じゃ!』
 という、トヨの声が聞こえた。
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