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コラボ配信を高野たちが聞いていたことにも驚いたが、それよりも驚いたのは、高野が『もう一つのチャンネル』を知っていたことだ。
鈴木が『サク』の名前で配信しているのはゲーム配信と台本や台詞を読む配信。聞いてくれている人がどんな人なのかは知らないが、台本を読むほうのチャンネル登録者はほとんど女の人だ。まあ、やっていることを考えれば当然なのだろうけれど。
(うわぁ……)
教室では必要な時以外に話さないし、作った声も出さないから気付かれてはいないだろう。とは思うけれど、『サク』の名前を聞いて、バクバクを心音が早くなった。ぎゅっと手を握って、息を飲む。
「台本? ってことはイケボなんだ。かっこいい系?」
「ちょ、望美! 声おっきい」
高野が「声大きいって」と相川に言う。「ごめん」と言った相川の声が小さくなった。
「……で、どんな感じなの?」
(俺も知りたい)
相川の質問に頭の中で答える。高野がどう思っているのか、気になる。
「かっこいい、かな。どっちもやってるけど」
(マジか! うわぁ、うわぁ……)
高野は鈴木が『サク』だと知らないだろうけれど、鈴木自身は知っているのだ。『サク』の声がかっこいいというのは、鈴木の声がかっこいいと言われたのと同じだ。まあ、作った声だけれど。
心なしか顔も熱くなってきた気がするし、うるさいくらいに脈が速くなる。
わかっている。
高野は鈴木自身をかっこいいと言ったわけではない。
かっこいいと言われたのは『サク』だ。誰かが作った、女性受けする台本を演じた偽物。
理解しているのに、耐性がないからだろうか。急激に恥ずかしくなってきて、顔が上げられなくなった。
だって、顔見知りの人間に『かっこいい』なんて言われたことはないのだ。それこそ、人生で初めての経験である。それも、高野みたいな、人気者で陽キャの、かわいい女子に言われるなんて、妄想だってしたことがない。
鈴木が一生言われることがないと思っていた言葉である。
(なんか、ヤバイ……)
どんな顔で話でいるのだろう。気になって腕の上で顔をずらす。そっと薄目を開けてみたけれど、高野の姿は見えなかった。
鈴木が『サク』の名前で配信しているのはゲーム配信と台本や台詞を読む配信。聞いてくれている人がどんな人なのかは知らないが、台本を読むほうのチャンネル登録者はほとんど女の人だ。まあ、やっていることを考えれば当然なのだろうけれど。
(うわぁ……)
教室では必要な時以外に話さないし、作った声も出さないから気付かれてはいないだろう。とは思うけれど、『サク』の名前を聞いて、バクバクを心音が早くなった。ぎゅっと手を握って、息を飲む。
「台本? ってことはイケボなんだ。かっこいい系?」
「ちょ、望美! 声おっきい」
高野が「声大きいって」と相川に言う。「ごめん」と言った相川の声が小さくなった。
「……で、どんな感じなの?」
(俺も知りたい)
相川の質問に頭の中で答える。高野がどう思っているのか、気になる。
「かっこいい、かな。どっちもやってるけど」
(マジか! うわぁ、うわぁ……)
高野は鈴木が『サク』だと知らないだろうけれど、鈴木自身は知っているのだ。『サク』の声がかっこいいというのは、鈴木の声がかっこいいと言われたのと同じだ。まあ、作った声だけれど。
心なしか顔も熱くなってきた気がするし、うるさいくらいに脈が速くなる。
わかっている。
高野は鈴木自身をかっこいいと言ったわけではない。
かっこいいと言われたのは『サク』だ。誰かが作った、女性受けする台本を演じた偽物。
理解しているのに、耐性がないからだろうか。急激に恥ずかしくなってきて、顔が上げられなくなった。
だって、顔見知りの人間に『かっこいい』なんて言われたことはないのだ。それこそ、人生で初めての経験である。それも、高野みたいな、人気者で陽キャの、かわいい女子に言われるなんて、妄想だってしたことがない。
鈴木が一生言われることがないと思っていた言葉である。
(なんか、ヤバイ……)
どんな顔で話でいるのだろう。気になって腕の上で顔をずらす。そっと薄目を開けてみたけれど、高野の姿は見えなかった。
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