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5話 おじさん
しおりを挟む私はある日旅に出る事にした。もちろん旅といってもキャンプ場で一泊して帰るだけのものだった。
親に了承を取り、寝袋と他簡単なものをリュックサックに詰め込み電車に乗った。
私が何かしら行動を起こした事が嬉しかったようで反対はしなかった。
「ありがとう、やったー!」
と私は笑顔で答えるも、内心は考えうる最高の罵倒を両親にぶつける。
とにかく家を出たかった。
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電車に2時間ほど揺られて1度降りてみる。駅の近所を散歩するも特に何もなく丁度いい田舎だった。駅にあるその土地の観光看板を30分ほど眺め、何もせずのんびりとしているだけだったが私は今まで経験した事の無い感情に心躍らせた。
ワクワクするような、落ち着くようなそんな気持ちだった。
出発前に何となく決めたキャンプ場に向かうため電車を乗り換え、さらに山深い地方へと進んで行く。
家から150㎞ほどにある備後矢野駅に到着した。今にしてみれば近所とも言える距離だが当時は初めての距離で、その事実が私の心を高ぶらせた。
私はまず感じたことが無い程の濃密な空気に感動した。
周りには山しかなく古民家のような駅を抜け、右に行くのか左が正解なのか分からなかった私は近くのベンチに座っていた人に道を尋ねた。
「すいませーん」
……
「道を教えて欲しいんですけど」
……
返事が無い。死んでいるのかと思ったがどうやら人間ですらなかった。
カカシに声をかけた私は何もなかったかのようにあたりを見渡す。
私の感では山へと向かう上り坂が正解だと思ってはいたが一応ということでここで父に借りたiPadで道を調べる。
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私は道なりに3㎞ほど歩いた。
トンビの鳴き声、小川の音、何もかもが新鮮に感じた。こんな素晴らしい世界があるのだと感動すると同時に今までの生活が頭の片隅に浮かぶ。
そうこうしていたら目的地(四季の里キャンプ場)に到着した。
受付でテントとマットを借りた私は心配してついてきてくれた管理人と3人でテントを立て、施設の説明をされた。
その後食事が無いことを言うと軽トラに乗せられ近くのコンビニに連れて行ってもらった。弁当を買ってもらった私は帰りの車の中で軽く会話をしながら〝優しさ〟というものがやっと理解出来た気がした。
その後自分のテントの横にあるベンチで1人で弁当を食べた私は生きているということを実感した。
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親の許可をもらったと言っても中学生だった私が1人で来た事を心配してくれた管理人が親と警察に連絡を入れてくれたようだった。
1人パトカーでやってきた駐在さんに事情を聞かれた。
中学生だった私は初めて警察官と話したが、緊張が最高潮だった事は言うまでも無いだろう。
家出では無いことの確認と持ち物検査だけした彼はパトカーの中に戻ったがそこを離れる事は無かった。
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…パチッ……パチパチッ
と言う音が聞こえ不思議に思いiPadで天気予報を確認するとそこには豪雨直撃、土砂崩れの危険ありとしか書いてなかった。
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