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しばらくして意識を取り戻した時、もう元の地下に連れて行かれていた。
もちろん、あいつの姿はなかった。
「いてててて…。なんだったんだ…」
体がものすごく重たい…だるい…
それに、ものすごく腹が減った…
「誰かー誰かいる?腹減ったんだけどー」
ちぇっ、やっぱ誰も来ない。
というか、人の気配がない。
「あー腹減ったー。あっ、そうだ~」
仕方ないから僕は部屋の戸棚の二重底を開け、日々少しずつ隠していた食料を中から取り出した。
「堅いけど仕方ない。しっかし、どうなってるんだ…?」
固いパンをモグモグと頬張りながら状況を把握しようと考えてみたが、すぐにギブアップした。
「ん~んー…は~やめやめ。僕には向いてないや」
ゴクン
「んーやっぱりこれだけじゃなぁ…足りない…」
隠していた食料を全部食べ尽くしたけど、まだ腹3分目もいっていなかった。
何もすることがなくなったので、寝台の上にゴロンと寝転がった。
思い出されるのは数年ぶりに会った生まれたときからずっと一緒にいた片割れの変わった姿
「あいつ…大丈夫かな…」
ぼんやりと思い浮かべていたらいつの間にか眠ってしまったようだった。
扉がガチャガチャする音で目が覚めた。
「あ…眠っちまったのか…」
目を擦り、音がする方を見ると、そーっと入ってくる人影があった。
「誰?何の用?」
「シーッ、シーッ、静かにしろ」
ヒソヒソ声で返事が返ってきた。
聞いたことがある声だと思ったら、黒マントで姿を隠したキースだった。
「えっ?キース?まだ神殿にいたの?」
キースは忍び足で近づいてきて僕の質問に答えた。
「まぁ、俺は他に行くとこなんてないしな。お前たちのことを知ってしまった下っ端は悉く左遷されたよ。俺もこないだまで最北のど田舎に飛ばされてたけどな。3年ぶりに戻ってきたらなんかヤバそうなことになってんじゃん。なぁお前、弟がどうなってるか知ってんのか?」
「弟?」
「あれ?あいつは弟じゃないのか?まぁいいや、お前の片割れだよ、あいつもうすぐ死ぬぜ?」
キースは怪訝そうな顔をしたが、気を取り直し、衝撃的な事を言い放った。
「何だって!?」
僕は思わず叫ぶように声が出た。
キースは慌てて僕の口を塞ぎ辺りをキョロキョロと見回し、囁き声で僕を叱った。
「シーッ、シーッ、忍び込んでんのがバレるだろうが!」
「ご、ごめん。で、なんであいつが死ぬんだ?こないだやったアレのせいか?」
ここ最近で僕たちが死ぬような事、
何かをしたと言われて思い当たる節は1つしかなかった。
「アレ?」
「詳しくはわかんない…でも、大神官の部屋に呼ばれて魔法陣の上に座らされて魔法かけられた」
「まっ‥マジか。お前は?体に変化は?」
「ん~…力がゴッソリと抜けた感じがして意識を失った」
キースは考え込み、腑に落ちた顔をした。
「成る程な…だからあいつは…」
「な、なぁ、どうなってるんだ?教えてくれよ」
「いや、お前の目で見たほうが早い。行くぞ」
「えっ?えっ?」
戸惑う僕を肩に担ぎ、キースは地下室から出た。
塔の外に出る途中、何故か見張りが1人もいなかった。
そもそも塔は無人だった。
僕はもう用済みだったんだ…。
僕はそのうち死ぬと棄てられたのだと察するのは一瞬だった。
「泣くな、お前はまだ生きている」
僕の顔なんて見えないはずなのにキースが慰めの声をかけてきた。
「泣いてなんかない…グスッ…久しぶりの外で鼻水が出ただけだ」
「ふふっ、そうかそうか、そいつはスマンな」
キースはニッと笑って大神殿の方に走った。
夜陰に乗じてとはいえ、見廻りも、見張りも本当に誰一人見掛けなかった。
もちろん、あいつの姿はなかった。
「いてててて…。なんだったんだ…」
体がものすごく重たい…だるい…
それに、ものすごく腹が減った…
「誰かー誰かいる?腹減ったんだけどー」
ちぇっ、やっぱ誰も来ない。
というか、人の気配がない。
「あー腹減ったー。あっ、そうだ~」
仕方ないから僕は部屋の戸棚の二重底を開け、日々少しずつ隠していた食料を中から取り出した。
「堅いけど仕方ない。しっかし、どうなってるんだ…?」
固いパンをモグモグと頬張りながら状況を把握しようと考えてみたが、すぐにギブアップした。
「ん~んー…は~やめやめ。僕には向いてないや」
ゴクン
「んーやっぱりこれだけじゃなぁ…足りない…」
隠していた食料を全部食べ尽くしたけど、まだ腹3分目もいっていなかった。
何もすることがなくなったので、寝台の上にゴロンと寝転がった。
思い出されるのは数年ぶりに会った生まれたときからずっと一緒にいた片割れの変わった姿
「あいつ…大丈夫かな…」
ぼんやりと思い浮かべていたらいつの間にか眠ってしまったようだった。
扉がガチャガチャする音で目が覚めた。
「あ…眠っちまったのか…」
目を擦り、音がする方を見ると、そーっと入ってくる人影があった。
「誰?何の用?」
「シーッ、シーッ、静かにしろ」
ヒソヒソ声で返事が返ってきた。
聞いたことがある声だと思ったら、黒マントで姿を隠したキースだった。
「えっ?キース?まだ神殿にいたの?」
キースは忍び足で近づいてきて僕の質問に答えた。
「まぁ、俺は他に行くとこなんてないしな。お前たちのことを知ってしまった下っ端は悉く左遷されたよ。俺もこないだまで最北のど田舎に飛ばされてたけどな。3年ぶりに戻ってきたらなんかヤバそうなことになってんじゃん。なぁお前、弟がどうなってるか知ってんのか?」
「弟?」
「あれ?あいつは弟じゃないのか?まぁいいや、お前の片割れだよ、あいつもうすぐ死ぬぜ?」
キースは怪訝そうな顔をしたが、気を取り直し、衝撃的な事を言い放った。
「何だって!?」
僕は思わず叫ぶように声が出た。
キースは慌てて僕の口を塞ぎ辺りをキョロキョロと見回し、囁き声で僕を叱った。
「シーッ、シーッ、忍び込んでんのがバレるだろうが!」
「ご、ごめん。で、なんであいつが死ぬんだ?こないだやったアレのせいか?」
ここ最近で僕たちが死ぬような事、
何かをしたと言われて思い当たる節は1つしかなかった。
「アレ?」
「詳しくはわかんない…でも、大神官の部屋に呼ばれて魔法陣の上に座らされて魔法かけられた」
「まっ‥マジか。お前は?体に変化は?」
「ん~…力がゴッソリと抜けた感じがして意識を失った」
キースは考え込み、腑に落ちた顔をした。
「成る程な…だからあいつは…」
「な、なぁ、どうなってるんだ?教えてくれよ」
「いや、お前の目で見たほうが早い。行くぞ」
「えっ?えっ?」
戸惑う僕を肩に担ぎ、キースは地下室から出た。
塔の外に出る途中、何故か見張りが1人もいなかった。
そもそも塔は無人だった。
僕はもう用済みだったんだ…。
僕はそのうち死ぬと棄てられたのだと察するのは一瞬だった。
「泣くな、お前はまだ生きている」
僕の顔なんて見えないはずなのにキースが慰めの声をかけてきた。
「泣いてなんかない…グスッ…久しぶりの外で鼻水が出ただけだ」
「ふふっ、そうかそうか、そいつはスマンな」
キースはニッと笑って大神殿の方に走った。
夜陰に乗じてとはいえ、見廻りも、見張りも本当に誰一人見掛けなかった。
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