叡知の夢

同の章

勝負師の切り札 前編

麻綾（叡知は、亜里沙や美樹と共に彼岸花の社で修行を始めて８日が経過。7月17日（水）の山羊座の満月の日。叡知は、斗宿曜星(ひつきぼし)の紋章を六壬神課式盤に刻む。そこに行き着くまでの出来事を振り返って見ると・・・。）

麻綾（7月10日（水）の同時期。大和各地で他の宿曜師が奮戦する中、彩夏と元春はSAIVIAN（サビアン）天文科学館に到着するも、恕の姿はなく、これまでの疲れも考慮して恕を待つことにする。）

麻綾（一方の恕は、ようやく事態を把握し、鈴夜と共闘して朱雀に憑依された亜樹ら怪鳥族並びに、アンデット・ゴーレムの混成部隊に備えるべく、大和図書館に向かうも、彼女は地下室で魔導書を読み耽り、恕の存在に気づいていなかった。）

麻綾（やむなく恕は、SAIVIAN（サビアン）天文科学館に引き返そうとするも、折り悪く朱雀に憑依された亜樹と遭遇！抵抗するも、紅魔紅月印によって、憑依状態に陥る。）

麻綾（そのまま大和図書館を攻めるも、魔導書の悪霊悪魔に憑依された鈴夜や書籍に憑依した悪霊悪魔によって返り討ちに遭い、大和図書館を包囲する方向に切り替えた。また、同時期に亜矢と桃矢が真悟いるSYBILLA CLUB（シビラクラブ）に到着する。）

麻綾（7月1１日（木）。大和図書館の異変を察知した彩夏と元春が駆けつけ、そのまま乱戦に突入！そこから、一進一退の攻防の長期戦に発展する。また、亜里沙もその間、叡知や美樹を護りつつ、一樹と協力して魔獣族の魔手から集落を防衛に成功！）

麻綾（しかし、真悟達（亜矢と桃矢）が依然動きが見られない。確かに午町のゴロツキ達の抑えにはなっているが、このままでは彩夏と元春が持ち堪えられず、引いては、他の戦線にまで悪影響が出てしまうだろう。）

麻綾（そんな中で、迎えた7月17日（水）、満月の日の陽の刻。彩夏と元春はSAIVIAN（サビアン）天文科学館を拠点に態勢を整えながら、応戦していた。）

彩夏「プハ⭐︎・・・流石に、あれだけの数で囲まれたら、如何しようも無いね。」

元春「だが、大和図書館は思いの他、持ち堪えている。それに今宵は満月。妖魔が凶暴化するが、私達月神（シャトラ）の眷属秘めた月兎のDNAの恩恵を受けることが出来る。」

彩夏「元春は日曜日の生まれだから、黄色い髪は紫に変色し、紫の目は黄色へと変化するね。そう言えば、満月の日と新月の日に願い事をすると細やかな幸運が舞い降りるそうだね。あたいは、叡知のためにも恕の目を覚ませることを願うよ。」

元春「まだ、手に堕ちたとは限らんが、そのつもりでいた方が良いな。今回の満月は、山羊座。今夜辺りに仕掛けて見るか。」

麻綾（彩夏と元春は、陰の刻に再度攻撃を仕掛けるために束の間の休息を取る。一方、恕を籠絡しに来た朱雀に憑依された亜樹ら怪鳥族並び、アンデット・ゴーレムの混成部隊は、大和図書館で立ち往生していた。）

亜樹（鈴夜を引き釣り出すつもりで、アンデット・ゴーレムの混成部隊を数体突入させたけど、駄目だったみたいね。それに、これまで陽の刻ばかりを狙って襲撃してきていた彩夏と元春が、今日に限って来ないのも気になるわね。）

朱雀（あたしの同宿の特性（相剋）で、仲間割れさせても良かったんじゃないかしら？丁度、男女2人だった訳だし、そこでアンデット・ゴーレムの混成部隊を嗾ければ・・・。）

亜樹（あの2人に、そんな小細工が通用するとも思えない・・・！そっか今宵は満月。恕にアンデット・ゴーレムの混成部隊を預けて、SAIVIAN（サビアン）天文科学館に先行させて、私達は陰の刻と同時に、向かうわよ。）

麻綾（亜樹は朱雀の同宿の特性（相剋）を小細工と吐き捨て、アンデット・ゴーレムの混成部隊を恕に預けて、SAIVIAN（サビアン）天文科学館に向かわせ、自身も、大和図書館の包囲を密かに解いて鳳閣楼に撤退して、陰の刻と同時に向かう手筈を整えようとする。）

麻綾（その一連の出来事を亜里沙が水晶を通して見ていた。）

亜里沙（大和図書館を包囲していた怪鳥族が少しずつその場から離れて行く？今宵は満月・・・これまで陽の刻を選んで攻撃していた彩夏と元春が、今日は何の行動も起こしていない・・・。）

亜里沙（これは激戦になりそうですね。そうなると大混戦で、彩夏と元春が散り散りになるかもしれませんね。）

亜里沙（鳳閣楼の幻視（ヴィジョン）が見えない所を考慮すると、朱雀に憑依された亜樹は既にその場にいない。ならば、その場に居残った怪鳥族は私と美樹で一掃すれば或いは・・・。）

亜里沙（その間に、叡知と一樹には、SYBILLA CLUB（シビラクラブ）に向かってもらいましょう。幸いなことに、亜矢と桃矢もいるようみたいですね。）

麻綾（亜里沙は水晶を通して、一連の出来事を把握する。一方、鋼鉄の剣を扱えるまでに調子を取り戻した叡知は、美樹が立ち会う中、一樹と剣の修練に励む。）

叡知「これが鳳凰の剣か・・・鋼鉄の剣が棒切れのようやわ。」

一樹「武器の性能に関してはそうだろうが、その棒切れで、ここまでやれるって言うのも、正直プライドが傷つくぜ。」

美樹「叡知は普段から鍛え込んでいるから、何かの拍子で調子が悪くなっても、立ち直りが早いよね♪」

亜里沙「ですが、それだけでは真悟との交渉は難しいです。まして、SYBILLA CLUB（シビラクラブ）のある午町を始め、隣接する辰巳町は異世界香天と呼ばれ、大和で最も治安の悪い場所。それに今宵は満月。」

叡知「如何すれば良い？彼処は人外もおるし、かと言ってカジノは陰の刻にならんとオープンせいへんし。」

亜里沙「幸いなことに、亜矢、桃矢がいますし、一樹を同行させますので、目的地に辿りつき、真悟に会うこと自体は問題ありません。」

亜里沙「問題は真悟が、兌為沢と坎為水の通常攻撃（ダメージは不安定だが、追加効果）で、ルーン製の武器は蠍の尻尾と言う大斧。しかも、投擲用の短剣をダーツのように命中させることも得意と言うこと。」

亜里沙「何より注意すべきは、SYBILLA CLUB（シビラクラブ）がトランプ専門のカジノであり、占いの館であることです。真悟は、スートに特質で貴方を見極めようとしてくるでしょうから、基本を教えておきます。」

亜里沙「♥️は、愛情に関する事柄や人々の結び付きを示します。タイムは早い。四季は春。四元素は水です。」

亜里沙「♣️は、幸運と成功、目標達成、願望の成就を示します。タイムは早くはないがカードにより異なる。四季は夏。四元素は火です。」

亜里沙「♠️は、困難な時期の到来や事件・事故、厄災を示します。タイムは長く続く。四季は秋。四元素は風です。」

亜里沙「♦️は、仕事、財産、所有物、情報や機会の訪れを示します。タイムは場合により異なる。四季は冬。四元素は地です。」

亜里沙「また、九星気学の運気の観点では、♣️は健康運、♦️は金運、スペード♠️は仕事運、♥️は恋愛運です。」

亜里沙「トランプはジョーカーを含めて５３枚ですが、スートの特性を押えて置けば応用が利きます。鋼鉄の剣は差し上げます。出発は、陽の刻から陰の刻の移行段階のタイミングが良いとして、それまではこれでも飲んで、ゆっくりして下さい。」

麻綾（亜里沙はリンゴジュースに、ハイビスカスとローズヒップのブレンドティーを少々加えたグラデーションドリンクをみんなに配り、小休止を取る。）