叡知の夢

松本羊平

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聚の章

傾斜宮と十二支の方位の波動術 前編

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麻綾(大和全土を震撼させた大地震。それは、勇樹の得物の神龍牙戟によるもの。これにより、中宮府を囲む八角の城壁は崩壊。都市部の機能は完全に停止。勇樹に誘導された美樹は勿論、美樹を追って来た元春と亜里沙は離れ離れになってしまった。)

麻綾(後から駆けつけた恕、亜樹、康史、一樹は難を逃れるも完全に立往生。その間に、勇樹は龍蛇族や怪鳥族、アンデット・ゴーレムの混成部隊と共に紫微城目掛けて突入!彼の前に立ちはだかった者達は尽く蹴散らされ、紫微城は呆気なく陥落した。)

勇樹(言われた通り紫微城を陥し、美樹を捕えたぞ騰蛇。)

騰蛇(満月の波動(マナ)のピークの丑三つ時(2:00~2:30)。その時を待って、羅刹の剣の陰の波動(マナ)を充満させれば・・・。)

???「見つけましたよ勇樹!」

勇樹「ほぅ・・・誰かと思えば亜里沙か。実に20年振りと言った所か。」

亜里沙「少々順序が変わってしまいましたが、貴方を再び冷却睡眠を施し、宇宙空間に幽閉します。」

勇樹「賢しいだけのお前に何が出来る?まあ、丑三つ時(2:00~2:30)までの暇潰しにはなるか。掛かってこい亜里沙!」

美樹(お兄ちゃん・・・亜里沙・・・美樹の責でこんな事に・・・。)

麻綾(美樹が見守る中、両者は激しく激突!一方、元春は亜里沙を探しながら妖魔との死闘を繰り広げる。)

元春(倒しても倒してもキリが無い。このままでは・・・。)

???「加勢するぜ元春。」

元春「一樹か。亜里沙を見なかったか?」

一樹「亜里沙の心配よりも自分の心配をした方が良いぜ。これ以上此処に留まってるのは危険だ。此処からなら山海(丑寅・卯町)が程近いから、1人でも多くの中宮府の都民を救助しながら撤退しようか。」

麻綾(元春を宥めた一樹は、中宮府の都民の救助をしつつ撤退を開始。一方、美樹の救出のために中宮府にやって来た康史と恕は、迫り来る妖魔を撃破しながら突き進む。)

康史「さっきの大地震で、建物が倒壊した瓦礫で複雑な迷路になっているね。周囲からは妖魔の刺すような波動(マナ)がビンビン感じるけど、肝心の勇樹と美樹の波動(マナ)が感じないとなると厄介だね。」

恕「それだけ2人の波動(マナ)が強大過ぎるってことの証だね。この状況じゃあ、水晶盤のFPSも使えないし困ったね・・・。」

???「だったら、元春か亜里沙の波動(マナ)を頼りに進んで見るのは如何かしら?」

恕「亜樹じゃないか⭐︎そうか⭐︎先に先行している元春か亜里沙なら、既に勇樹と接触していても可笑しく無いね。旨く接触出来れば、俺が勇樹を惹きつけている間に、康史は美樹を救出すると良いよ⭐︎」

康史「でも、それで接触に成功しても勇樹との戦闘は避けられないよ。そうなると、美樹を救出しても、恕は逃げられない事になるけど・・・。」

亜樹「私が隙を衝いて、勇樹を瀕死状態に追い込むと同時に撤退するから康史は、美樹を救出する事だけを考えて。私達はその後、麻綾と鋭気のいる竹取砦に向かうわよ。」

麻綾(康史と恕は、亜樹の助言に従う。既に元春と一樹の波動(マナ)が中宮府から離れているのを確認すると亜里沙の波動(マナ)を頼りに接触を図る。一方、私は白虎に憑依された美里の襲撃に備えている所に鋭気がやってきた。)

鋭気「其方は何も無かったか麻綾?」

麻綾「そうね。てっきり亜矢、桃矢に魔獣族をぶつけて、自ら私の所に来ると思っていたのだけど・・・。」

鋭気「一樹がいないとなると、強固突破を狙っているな。それなら虎狼宮を攻める素振りをすれば、奴等も引き返そうとする筈。亜矢、桃矢と桃矢がその隙を衝いてくれれば、この局地戦は俺達の勝利だぜ。」

麻綾(私は鋭気に提案に乗って、白虎の本拠地である虎狼宮を目指す。一方、真悟と鈴夜は、恕を欠いていることもあって、虫系の幻妖族の苛烈な攻撃に苦戦を強いられる。)

真悟「畜生・・・恕がいれば、こんな虫螻、九頭龍偃月刀で薙ぎ払ってくれるのにYO・・・。」

鈴夜「戦車のカードが逆境を乗り越えた後の勝利を意味しています。これだけの数をぶつけて来るとなると、天空自ら叡知を始末するつもりね。恐らく、幻惑の樹海の進行ルートには植物系の幻妖族が行手を阻むでしょうね。」

真悟「て事は、突破口を切り開けば・・・。」

鈴夜「3の目が出ました。殆ど確実です。天空がそれを仕掛けるタイミング満月の波動(マナ)のピークの丑三つ時(2:00~2:30)。それまで間に合わせれられれば私達の勝ちよ。」

麻綾(弱音を吐く真悟を鈴夜が鼓舞しつつ、突破口を切り開く。そして、運命の丑三つ時(2:00~2:30)の時刻。叡知達(彩夏と利沙)は30分前に狐狸の祠に入って、盛大な乱行パーティーを開催。暫くすると其処に天空に憑依された美緒が狐狸の祠にやってきた。)

美緒&天空「面白そうね。私も交ぜてくれないかしら?」

叡知「えっ!?ちょっ・・・。」

麻綾(天空に憑依された美緒は、彩夏と利沙を振り払うと、叡知と性交渉!其処で叡知は、美緒の精神世界である人間牧場を訪れた。)

美緒&天空「あら?刺激が強過ぎたかしら?でもね私達支配者層の生活は、こう言った牛女達の犠牲の上で成り立っているのよ。」

叡知「言いたい事はそれだけか?満月の波動(マナ)のピークは、お前ら妖魔の専売特許やない。俺もこの時に限ってはみんなと同等の実力や!彭侯子、彭常子、命児子、悉入窈冥之中、去離我身!」

美緒&天空「うっ・・・これは・・・。」

叡知「迂闊やったな。邪神とは言え、精神世界で俺とやり合う事自体がな!赫赫陽陽、日出東方、断絶悪夢、辟除不祥、急急如律令!」

麻綾(叡知は三尸を駆除する呪文で苦しむ天空に対し、間髪入れずに凶夢を吉夢に変える呪文を唱えて、美緒から分離!天空は正体を現す。)

天空「やってくれますわね。かくなる・・・。」

利沙「今だ仁!」

麻綾(気を失っている美緒と叡知に襲い掛かろうとする天空。しかし、利沙の合図で、仁の蜀漢式連弩から放たれた矢が容赦無く突き刺さる。)

仁「僕の通常攻撃(相手の力の四元素(攻撃力、守備力、行動力、精神力)を下降)を喰らった以上、例え邪神と言えど無力。大人しく降参する事だね。」

天空「なっ・・・舐めんじゃ・・・」

麻綾(仁に標的を変えて襲い掛かろうとするも利沙が間髪入れずに、流れるような剣舞で天空を攻撃する。)

利沙「ついでに言うと、これがあたしの通常攻撃(相手を無防備にして懐に入って一撃)。しかも二刀流だから威力もなかなかだろ。」

天空「・・・何をしているの貴方達!早く此奴ら・・・。」

彩夏「あんたの引き連れて来た妖魔はあたいが撃退して置いたよ。そろそろ満月の波動(マナ)のピークの過ぎる頃だね。」

天空「・・・安倍あ・・・。」

麻綾(天空は、そう言い切る前に、その場に駆け付けた鈴夜によって一刀両断!)

天空(まさか私がやられるなんて・・・でもただでは・・・天空衝撃針!)

叡知「いっ!」

麻綾(天空は最後の力を振り絞って、叡知に亡命を打ち込んだ後、魂魄となって、勾陳、玄武、白虎、そして、勇樹のもとへと向かう。)

鈴夜「ふぅ・・・何とか間に合ったみたいね。それよりも、美緒と叡知が凄い事になってるわね。」

仁「美緒と叡知はこのまま伝国堂に運ぶよ。真悟と鈴夜も疲れただろ?今日は伝国堂に泊まると良いよ。」

麻綾(仁達(彩夏、利沙、真悟、鈴夜)は美緒と叡知を運んで伝国堂へと向かう。)
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