叡知の夢

松本羊平

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聚の章

大和の中枢と四つの区域  後編

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麻綾(あれから15日が経過。8月30日(金)の乙女座の新月の日の陽の刻。叡知は(亜樹と彩夏)は、四隅(未申・酉町)の陰陽館に向かう。目的は、鋭気や利沙との合流と、有事の際に身動きが取れ易く、仁や天空から解放した時の美緒との交渉にも対応し易いからだ。)

亜樹「それじゃあ、私は恕に謝罪を兼ねて、鈴夜を動いてもらうように頼んでくるわ。」

叡知「別に今じゃなくても、束の間の休息期間(8月8日(木)から10月16日(水))は、1ヶ月半はあるし、鋭気と会ってからでも・・・。」

彩夏「亜樹は、あんたの役に立ちたいんだよ。それに今宵は新月。落ち着いて話が出来るってもんさ。」

叡知「・・・せやな。じゃあ、俺らは先に行くな。鈴夜達(真悟と恕)の件は任せたで。」

麻綾(こうして亜樹は、叡知と彩夏と別れ、恕のいるSAIVIAN(サビアン)天文科学館へと向かう。一方、四隅(未申・酉町)の狐狸の祠で幻妖族と戦闘をしていた利沙達(鋭気と仁)は、伝国堂で休息を取っていた。)

鋭気「さてと。そろそろ叡知が次の戦いに備えて動くだろうな。となると、彩夏の活動拠点の陰陽館に行くはず。竹取砦で頑張っている麻綾の様子を見つつ、俺達も叡知に合流しようぜ。」

利沙「いや、あたしはもう少しここにいるよ。幾ら、束の間の休息期間(8月8日(木)から10月16日(水))つっても、亜里沙達(元春と美樹)や鈴夜達(真悟と恕)が動いたのを確認してからじゃないと、仁が1人で危ないからな。」

仁「利沙も行ってやりなよ。竹取砦の麻綾は1人で頑張ってるし、ここは僕1人で十分だから。」

利沙「麻綾の場合は、亜矢達(一樹と桃矢)と共闘しているのに対し、あたしらは自力で今日までやって来た。今ここであたしまで抜けるのは得策とは言えないだろ?そういうことだ。取り敢えずお前だけでも叡知と合流しろ鋭気。」

麻綾(かくして鋭気は叡知と合流するべく陰陽館に向かい、利沙は仁と共に伝国堂に留まる。一方、叡知と彩夏は、元春のいる梅花心易堂を立ち寄る。)

叡知「ふぅ・・・やっとついたで。中宮府を経由したから良えけど、交通機関の類が無いと陸路はきついな。せめて船が使えればな・・・。」

彩夏「まあ、旧街道や中継地点のルートじゃないだけ良いじゃないか。彼処は、道路があると言っても舗装もままならず、妖魔の巣窟と化していて危険だしね。それよりも、久し振りだね元春。」

元春「そうだな。それよりも、亜樹がこの場にいないと言うことは・・・。」

彩夏「お察しの通りだよ。あたいらは、陰陽館に向かうね。」

麻綾(叡知と彩夏は挨拶をそこそこに元春と別れ、陰陽館に向かう。一方、SAIVIAN(サビアン)天文科学館に到着した亜樹は、恕に朱雀戦の件を謝罪した上で、天空に憑依された美緒への対応を依頼する。)

恕「束の間の休息期間(8月8日(木)から10月16日(水))も、まだ1ヶ月半もあるのに叡知も気が早いね。」

亜樹「朱雀が撃破された以上、敵も総力を上げて私達を潰しに掛かるはず。何より、叡知は、勇樹と直接対峙していることもあって、神経質になっているのよ。」

恕「奴の行動に計画性は皆無。とは言え、奴は羅刹の剣を無しにしても、実力は俺達の意図の遥か上・・・そう考えると、もう1ヶ月半しか無いね。分かった鈴夜に掛け合ってやるよ⭐︎」

亜樹「ありがとう恕。」

麻綾(亜樹は恕に礼を述べると、叡知と彩夏の後を追う。恕は、亜樹を見送ると、鈴夜を訪ねるべく、大和図書館に向かう。そこには真悟の姿あり、恕は亜樹の話を伝える。)

真悟「叡知がとち狂って、天空に挑む心配は無くなったが、問題は天空のいる夢想園は、幻惑の樹海の中だ。闇雲に突っ込むのは危険過ぎるぜ?」

鈴夜「お茶の葉の残りに水車の形が表れました。問題は解決する前に大きく変化することになるでしょう。幻惑の樹海の進行ルートは、狐狸の祠以外だと、OGHAM(オガム)香草園よ。そこにいるのは、翼宿曜星(たすきぼし)の宿曜師の康史よ。」

恕「俺にとっては壊の中距離だね⭐︎俺が先行して、OGHAM(オガム)香草園を奪取すれば、狐狸の祠の利沙達(鋭気と仁)とで挟み撃ちに出来るね⭐︎」

鈴夜「多分、鋭気は既にその場を離れているわ。利沙も叡知と合流したいでしょうけど、私達(真悟と恕)の動向を確認しない限り、その場を離れないわね。それじゃあ、行くとしますか。」

麻綾(かくして鈴夜達(真悟と恕)は、密やかにOGHAM(オガム)香草園を目指す。一方、亜里沙は叡知達(亜樹と彩夏)や鈴夜達(真悟と恕)の動向を水晶を通して静観する。そこに元春と美樹がやって来る。)

元春「亜里沙、叡知と彩夏が・・・。」

亜里沙「陰陽館に到着したのですね。既に鈴夜達(真悟と恕)もOGHAM(オガム)香草園に向かっています。」

美樹「流石♪何でもお見通し♪」

亜里沙「私達(元春と美樹)は、鈴夜達(真悟と恕)がOGHAM(オガム)香草園を奪取した頃に、山海(丑寅・卯町)の七星館に向かいましょう。」

麻綾(亜里沙(元春と美樹)は、あえて動かず、引き続き叡知達(亜樹と彩夏)や鈴夜達(真悟と恕)の動向を水晶を通して静観する。一方、鋭気は麻綾の様子を見に、竹取砦に赴き、これまでの経緯を話す。)

麻綾「叡知の気配を感じたと思ったら、次の戦いに備えて陰陽館まで来ているのね。」

鋭気「次の長期凌犯期間の2ヶ月前(10月16日(水))まで、まだ1ヶ月半。陰陽館はしばらくの間、俺達(亜樹と彩夏)で見ているから、次の新月の日(9月29日(日))までなら、叡知と一緒に過ごせるぜ?」

麻綾「駄目よ。叡知と彩夏が、まだ太陰と対面していない以上、幻妖族と魔獣族に挟まれているここは危険だわ。私のことは気にせず、鋭気は叡知達(亜樹と彩夏)と合流して、勾陳戦に備えて。」

鋭気「そうか・・・分かった。あんまり無理はするなよ。」

麻綾(私は叡知に会いたい思いを抑えて竹取砦に残り、鋭気は陰陽館へと向かう。一方、叡知と彩夏も陰陽館に到着。亜樹も遅れて到着する。)

亜樹「あら?貴方達も今到着したの?天空戦の件、恕が鈴夜に掛け合ってくれるそうよ。」

叡知「ありがとうな亜樹。」

彩夏「これで鋭気と利沙がここに来てくれれば・・・。」

???「利沙は暫く来ないぜ。」

叡知「鋭気!久し振りやな。」

鋭気「ああ。積もる話もあるだろうが、とにかく中に入ろうぜ。」

麻綾(叡知と彩夏は、亜樹と鋭気と合流を果たし、陰陽館に入る。お互いにこれまでの経緯を話す。)

亜樹「麻綾たら、無理しちゃって・・・。」

鋭気「だが、麻綾の言う事も一理ある。と言う事で、勾陳戦の攻略に当たって、大和の中枢と四つの区域について言っておく。言うまでもなく、大和は中宮府を中心に・・・。」

鋭気「山海(丑寅・卯町)、香天(辰巳・午町)、四隅(未申・酉町)、正中(戌亥・子町)で区分けされている。順当で行くと利沙も含めて5人。この四隅(未申・酉町)と山海(丑寅・卯町)の2手に分かれて、香天(辰巳・午町)を伺うことになる。」

叡知「その時は、四隅(未申・酉町)は、俺ら(亜樹と鋭気)。彩夏と利沙は、山海(丑寅・卯町)で良えな?」

彩夏「まあ、取り敢えず腹拵えでしないかい?亜樹と鋭気もゆっくり落ち着いてからでも良いだろ?」

麻綾(彩夏の言う通り昼食を取る。その時、底宿曜星(ともぼし)の紋章が六壬神課式盤に刻まれた。)
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