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『有意義』な1日をエンジョイ!
第5話
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「奈落さんってカッコイイですね!
彼女さんとかいないんですか?」
神谷先輩が奈落に質問を投げかけた。
「今はそれどころじゃないかな…。
もっと、仕事で腕を磨かなきゃ。
俺の周りには、もっと凄い男どもがいるからな。
せめて、追いつかねぇと。」
「ヘェ~。」
それって…爽さんとか、槇さんの事かな?
確か…上層部があるみたいな事を話してたし。
出世って、事かな…じゃあ、今回の僕との仕事が上手く行けば、奈落を出世させてあげられるって事なのかな?
僕が奈落にしてあげられる事は、やっぱりそれしか無いんだ…。
僕は自分に与えられた、この1年が彼の運命にも関わるというプレッシャーに押し潰されそうだった。
今の僕は非力すぎて…。
悔しくて、哀しくて、情けなかった。
グイィ!
「痛いっ!痛いよ!奈落!」
奈落が僕の頬を思い切りつねった。
「せっかく、楽しむ為に来てんだろ!
何考え込んでるんだか知らねーけど、ンなの後にしろ!
今は今日という日を思い切り、エンジョイしろ!
でなきゃ、『有意義』じゃ無くなるだろ!」
「あ!ご、ごめん!」
そうだった。
もっと前向きに!もっと楽しんで!
それこそが、奈落の為になるんだ!
せめて…今日1日を『有意義』に!
見上げると、奈落の後ろから日が射して、まるで後光のように見える。
僕を暗い闇の中から救い出してくれた…。
光輝く彼に僕は満面の笑みで応えた。
「いい顔、出来るんじゃん!ほら、行くぞ!」
奈落の後に付いて僕等は、武家屋敷を見学して、商屋街に入って、団子やお茶を堪能した。
「ハイハイ!いい顔!」
ピッ!ピッ!
途中、途中で奈落が記念写真を撮ってくれた。
特に仲のいい仲間じゃなかったはずなのに、完全に打ち解けて、神谷先輩も土屋先輩も腹を抱えて笑うほどになっていた。
「あ!そろそろ、兄さんたちのショーが始まる時間だ!
中央広場に戻ろうよ。」
神谷先輩に促されて、僕等は広場へと向かった。
広場には沢山の人が集まっていて、ショーの始まりを今か今かと、待ち構えていた。
「な~らちゃん、見っけ~~!」
ガシッと奈落の背後から、何者かの腕が回された。
「なっ!ま…槇ちゃん!?」
「槇さん!?どうしてここに?」
奈落の肩に腕を掛けながら、にこやかに、槇さんは僕に手を振った。
「近くで、用事があってね。
奈落の仕事振りにも興味あったし。」
槇さんは、グレーのスーツにブランド物っぽいネクタイをしていて、そのネクタイをグルグル回しながら言った。
「奈落さんの知り合いですか?
初めまして神谷です。」
「土屋です!またイケメンだわ!」
「ありがとう。
俺は奈落の従兄弟の華京院 槇でーす!
宜しく!」
スーツには似合わない軽い挨拶を交わした。
奈落は槇さんに向き直った。
「槇ちゃん、今日は仕事無いの?」
「んにゃ。
今日は…紘さんに会って、芸能部署の新設の提案をしに行ってきた。」
「は…ひ、紘さんに会ったのか?
トップの人に会えるなんて凄いじゃん!!
さすが上層部!どうだった?
どんな人だった?やっぱ、カッコイイか?」
「奈落~。すげえ食いつくな…。」
「そりゃ、そうだ!あの女どもを黙らせるほどの力を持ってんだぞ!
理想だよな~~。男の中の男って感じで!」
「奈落はまだ会った事無いんだよな…。
あ、いや…そうでも無いってか…全然イメージと違うぞ。
小柄で細くて、背も低いし顔も小さい、長髪の…綺麗な顔した人形みたいな感じで…。」
「えっ?マジ?嘘だろ!?」
「マジ…俺も初めは驚いた。
でも、話してみてわかった。
あれは…ウサギの衣を借る虎…そんな男だってね。
奥底から滲み出る、あの威圧感は半端ねぇ。
爽なんか、屁でもねぇ感じだ。」
「うー!早く会ってみてぇ!」
「…で、ここで奈落と合流した目的のもう1つは…芸能部署設立で検討の許可は、出たんだけど…企画、提案などの正式許可を貰えるプレゼンしなきゃなんないからさ。
アイデアの参考に…と思って。」
「なるほどねー。
槇ちゃん、攻めてるね。
俺も負けてられないなぁ。」
そんな2人のやり取りを遠目で見ていると、大きな太鼓の音と笛の音がスピーカーから流れてきた。
ドンドン!ドドーン!ドンドン!
ピー!ピー!
「曲者だー!であえ!曲者だー!ひっ捕らえろ!」
いよいよ、忍者ショーの始まりだ。
彼女さんとかいないんですか?」
神谷先輩が奈落に質問を投げかけた。
「今はそれどころじゃないかな…。
もっと、仕事で腕を磨かなきゃ。
俺の周りには、もっと凄い男どもがいるからな。
せめて、追いつかねぇと。」
「ヘェ~。」
それって…爽さんとか、槇さんの事かな?
確か…上層部があるみたいな事を話してたし。
出世って、事かな…じゃあ、今回の僕との仕事が上手く行けば、奈落を出世させてあげられるって事なのかな?
僕が奈落にしてあげられる事は、やっぱりそれしか無いんだ…。
僕は自分に与えられた、この1年が彼の運命にも関わるというプレッシャーに押し潰されそうだった。
今の僕は非力すぎて…。
悔しくて、哀しくて、情けなかった。
グイィ!
「痛いっ!痛いよ!奈落!」
奈落が僕の頬を思い切りつねった。
「せっかく、楽しむ為に来てんだろ!
何考え込んでるんだか知らねーけど、ンなの後にしろ!
今は今日という日を思い切り、エンジョイしろ!
でなきゃ、『有意義』じゃ無くなるだろ!」
「あ!ご、ごめん!」
そうだった。
もっと前向きに!もっと楽しんで!
それこそが、奈落の為になるんだ!
せめて…今日1日を『有意義』に!
見上げると、奈落の後ろから日が射して、まるで後光のように見える。
僕を暗い闇の中から救い出してくれた…。
光輝く彼に僕は満面の笑みで応えた。
「いい顔、出来るんじゃん!ほら、行くぞ!」
奈落の後に付いて僕等は、武家屋敷を見学して、商屋街に入って、団子やお茶を堪能した。
「ハイハイ!いい顔!」
ピッ!ピッ!
途中、途中で奈落が記念写真を撮ってくれた。
特に仲のいい仲間じゃなかったはずなのに、完全に打ち解けて、神谷先輩も土屋先輩も腹を抱えて笑うほどになっていた。
「あ!そろそろ、兄さんたちのショーが始まる時間だ!
中央広場に戻ろうよ。」
神谷先輩に促されて、僕等は広場へと向かった。
広場には沢山の人が集まっていて、ショーの始まりを今か今かと、待ち構えていた。
「な~らちゃん、見っけ~~!」
ガシッと奈落の背後から、何者かの腕が回された。
「なっ!ま…槇ちゃん!?」
「槇さん!?どうしてここに?」
奈落の肩に腕を掛けながら、にこやかに、槇さんは僕に手を振った。
「近くで、用事があってね。
奈落の仕事振りにも興味あったし。」
槇さんは、グレーのスーツにブランド物っぽいネクタイをしていて、そのネクタイをグルグル回しながら言った。
「奈落さんの知り合いですか?
初めまして神谷です。」
「土屋です!またイケメンだわ!」
「ありがとう。
俺は奈落の従兄弟の華京院 槇でーす!
宜しく!」
スーツには似合わない軽い挨拶を交わした。
奈落は槇さんに向き直った。
「槇ちゃん、今日は仕事無いの?」
「んにゃ。
今日は…紘さんに会って、芸能部署の新設の提案をしに行ってきた。」
「は…ひ、紘さんに会ったのか?
トップの人に会えるなんて凄いじゃん!!
さすが上層部!どうだった?
どんな人だった?やっぱ、カッコイイか?」
「奈落~。すげえ食いつくな…。」
「そりゃ、そうだ!あの女どもを黙らせるほどの力を持ってんだぞ!
理想だよな~~。男の中の男って感じで!」
「奈落はまだ会った事無いんだよな…。
あ、いや…そうでも無いってか…全然イメージと違うぞ。
小柄で細くて、背も低いし顔も小さい、長髪の…綺麗な顔した人形みたいな感じで…。」
「えっ?マジ?嘘だろ!?」
「マジ…俺も初めは驚いた。
でも、話してみてわかった。
あれは…ウサギの衣を借る虎…そんな男だってね。
奥底から滲み出る、あの威圧感は半端ねぇ。
爽なんか、屁でもねぇ感じだ。」
「うー!早く会ってみてぇ!」
「…で、ここで奈落と合流した目的のもう1つは…芸能部署設立で検討の許可は、出たんだけど…企画、提案などの正式許可を貰えるプレゼンしなきゃなんないからさ。
アイデアの参考に…と思って。」
「なるほどねー。
槇ちゃん、攻めてるね。
俺も負けてられないなぁ。」
そんな2人のやり取りを遠目で見ていると、大きな太鼓の音と笛の音がスピーカーから流れてきた。
ドンドン!ドドーン!ドンドン!
ピー!ピー!
「曲者だー!であえ!曲者だー!ひっ捕らえろ!」
いよいよ、忍者ショーの始まりだ。
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