『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

文字の大きさ
63 / 280
必要とされる喜びと責任

第5話

しおりを挟む
 僕がイキナリ切り出したせいか、3人の表情には?マークが浮き出ていた。

「あっ!すいません!
 槇さんとの話し合いのアイディアで、その…切れ端とか貰えたらと思って。」
「あのね~!友禅をバカにしてんの?
 端だろうと、布地は高級素材なんだから、小物に転用したり出来るし、切れ端と言えど値が付くのよ!」
「じゃあ!転用出来ないくらいの物とか、ほつれたり、虫食い穴のある部分とか…?」

 あまりの食いつき様に、槇さんが僕の気持ちを察してくれた。

「なぁ、みんな座って話さないか?
 これは、どうやら本気の仕事の話らしい。
 じっくり聞いてみようよ。
 神楽のお眼鏡に叶った奴の才能を拝ませて貰えるはずだよ。
 俺としてもその為に有村君を連れて来たんだからね。」
「そ…そうだぞ!神楽!
 俺達は槇ちゃんの仕事で呼ばれたんだ!
 有村にちょっかい出すな!」
「あの…今、僕の方が神楽さんに問いかけてるんだよ…奈落…。」

 奈落はちょっと神楽さんに襟首を掴まれたからか、興奮気味みたいだ。

 僕等は槇さんに促されるままに、ソファに腰掛けた。
 ちょうどその時、さっきまで廊下で気絶していた男の子がフラフラと戻って来た。

「お帰りなさい。槇さん…。」
「あ、一馬…大丈夫か?
 キッチンの冷蔵倉庫横の棚に頂き物のハーブティーのセットがあるんだ。
 お客様にそれでお茶をお出しして。」
「あ…はい。神楽さん…先程は失礼致しました。
 今後、この様な事の無いように精進させて頂きます。」

 一馬君はこちらに向かって、一礼するとお茶の準備をする為に奥に向かった。

 すごいな…中学生なのに、ちゃんとした大人の挨拶が身体に染み付いてる…。

「で、まずは有村君は何故、急に友禅の事を?」

 槇さんの仕切りで、4人の間の空気が引き締まった。
 そうだ…これは仕事の話なんだ。

「実は忍者パフォーマンスの衣装…。
 ワザワザ購入しないで、少し手を加えて外国人記者の興味を引く事が出来ないか考えたんだ。
 どうせ一度きりのショーの予定なら、出費を抑えられるところは抑えられるんじゃないかと。
 太鼓の生演奏依頼とかでは手を抜けないでしょう。
 見えないところで、コストを抑えたらって…。
 すいません…あの…貧乏性なのでつい。」
「忍者の衣装!?なら、適当な偽物の和風柄の布を使いなさいよ!
 今時100円ショップにでもあるわよ。」
「いえ!ダメです。
 本物じゃなきゃダメなんです。
 相手は外国人です。
 本物を見た事がない人の目を惹くには、ほんの少しのアクセントで構わないから本物の質の高い生地が必要です。
 女性のアクセサリーだって、偽物をジャラジャラ付けるより、本物を一点付ける方が多くの人を惹きつけます。
 それは本物だけが持つ輝きがあるからです。
 例えば、黒の忍者服に金刺繍の腰ひもを巻いただけで、格上の忍者を表現する…みたいな。」
「ちょっと待って!そもそも何で、忍者衣装なんて…槇!最初から詳しく説明しなさい!
 話しが、見えない!」

 神楽さんが一旦話しを止めて、これまでの経緯を槇さんから説明して貰った。

「つまり…外国人記者クラブで最高の忍者パフォーマンスをする為に、衣装の工夫をしたいって事ね。
 しかも、一度きりの短時間のパフォーマンスの為に掛けるコストは出来るだけ抑えたいって事なのね?
 槇はお金を出すつもりは無いの?」
「いやいや、資金援助や提供についても今から話し合うつもりだったんだ。
 けど…俺もコストを掛けるだけ掛けるなんて、無駄な事は考えてない。
 こう言ってはなんだが、成功するとは限らない。
 最高のパフォーマンスにするには、コストを掛ける部分と抑える部分のバランスが必要だ。」
「最高のパフォーマンスを最低限度のコストで最大限度の成功に導く!
 これは華京院の経営理念と近いよな。
 神楽、どうやら有村はお前に使われなくてもそこまでわかってる奴らしいな。」

 槇さんと奈落に話しを聞いた後で、神楽さんは口元に手を当てて何か考え込んでしまった。
 そこで、隙を突く様に奈落が槇さんに資金援助の話しを切り出した。

「槇ちゃん、資金提供の話だけど…この前も話した通り、向こうも協力を惜しむ訳では無いけど、実績の無い物に高額援助するのは…。
 だから、無利子での貸し付けではどうかと提案されたんだ。
 返却期限や時期はそちらに任すと。
 槇ちゃん的にも、簡単に金を出されるよりいいんじゃないか?
 成功とは限らないし、失敗成功に関わらず返金するなら後腐れや問題も起こりにくい。
 その辺の契約は爽にも相談したんだ。
 爽もその方が良いってさ。
 いくら叔父さんでも仲介に入る有村は、被験者だし…イザコザに発展するなんて事は避けたい。
 資金援助の話しは爽に仲介して貰える様に頼みたいんだ。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。 元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。 バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。 だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。 アイドル時代のファンかも知れない。 突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。 主人公の時田香澄は殺されてしまう。 気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。 自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。 ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。 魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

王宮メイドは今日も夫を「観察」する

kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」 王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。 ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。 だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……? ※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう
ファンタジー
【火曜、木曜、土曜、に投稿中!】 千年前に起こった大戦を鎮めたのは、最強と恐れられ畏怖された「魔女」を冠する魔法使いだった。 月日は流れ千年後。「永久の魔女」の二つ名を持つ最強の魔法使いトキワ・ルカはふとしたことで眠ってしまいようやく目が覚める。 気がつくとそこは魔力の濃度が下がり魔法がおとぎ話と呼ばれるまでに落ちた世界だった。 代わりに魔術が存在している中、ルカは魔術師になるためアルカード魔術学校に転入する。 けれど最強の魔女は、有り余る力を隠しながらも周囲に存在をアピールしてしまい…… 最強の魔法使い「魔女」の名を冠するトキワ・ルカは、現代の魔術師たちを軽く凌駕し、さまざまな問題に現代の魔術師たちと巻き込まれていくのだった。 ※こちらの作品は小説家になろうやカクヨムでも投稿しています。

異世界で姪が勇者になったけれど、俺はのんびり料理屋を開く

夕日(夕日凪)
ファンタジー
突然姉が亡くなり、その遺児である姪の『椛音』を男手一つで育てていた元料理人の『翔』。 椛音が十六歳になった時。二人は異世界に召喚されて…!? 椛音は勇者として異世界を飛び回ることになり、椛音のおまけとして召喚された翔は憧れていた料理人の夢を異世界で叶えることに。 デスクレイフィッシュ、大猪、オボロアナグマ──。 姪が旅先から持ち込む数々の食材(モンスター)を使った店を、翔は異世界で開店する。 翔の料理を食べると不思議と力が湧くようで、いろいろな人物が店を来訪するように──。 ※表紙は小鶴先生に描いていただきました!

処理中です...