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必要とされる喜びと責任
第5話
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僕がイキナリ切り出したせいか、3人の表情には?マークが浮き出ていた。
「あっ!すいません!
槇さんとの話し合いのアイディアで、その…切れ端とか貰えたらと思って。」
「あのね~!友禅をバカにしてんの?
端だろうと、布地は高級素材なんだから、小物に転用したり出来るし、切れ端と言えど値が付くのよ!」
「じゃあ!転用出来ないくらいの物とか、ほつれたり、虫食い穴のある部分とか…?」
あまりの食いつき様に、槇さんが僕の気持ちを察してくれた。
「なぁ、みんな座って話さないか?
これは、どうやら本気の仕事の話らしい。
じっくり聞いてみようよ。
神楽のお眼鏡に叶った奴の才能を拝ませて貰えるはずだよ。
俺としてもその為に有村君を連れて来たんだからね。」
「そ…そうだぞ!神楽!
俺達は槇ちゃんの仕事で呼ばれたんだ!
有村にちょっかい出すな!」
「あの…今、僕の方が神楽さんに問いかけてるんだよ…奈落…。」
奈落はちょっと神楽さんに襟首を掴まれたからか、興奮気味みたいだ。
僕等は槇さんに促されるままに、ソファに腰掛けた。
ちょうどその時、さっきまで廊下で気絶していた男の子がフラフラと戻って来た。
「お帰りなさい。槇さん…。」
「あ、一馬…大丈夫か?
キッチンの冷蔵倉庫横の棚に頂き物のハーブティーのセットがあるんだ。
お客様にそれでお茶をお出しして。」
「あ…はい。神楽さん…先程は失礼致しました。
今後、この様な事の無いように精進させて頂きます。」
一馬君はこちらに向かって、一礼するとお茶の準備をする為に奥に向かった。
すごいな…中学生なのに、ちゃんとした大人の挨拶が身体に染み付いてる…。
「で、まずは有村君は何故、急に友禅の事を?」
槇さんの仕切りで、4人の間の空気が引き締まった。
そうだ…これは仕事の話なんだ。
「実は忍者パフォーマンスの衣装…。
ワザワザ購入しないで、少し手を加えて外国人記者の興味を引く事が出来ないか考えたんだ。
どうせ一度きりのショーの予定なら、出費を抑えられるところは抑えられるんじゃないかと。
太鼓の生演奏依頼とかでは手を抜けないでしょう。
見えないところで、コストを抑えたらって…。
すいません…あの…貧乏性なのでつい。」
「忍者の衣装!?なら、適当な偽物の和風柄の布を使いなさいよ!
今時100円ショップにでもあるわよ。」
「いえ!ダメです。
本物じゃなきゃダメなんです。
相手は外国人です。
本物を見た事がない人の目を惹くには、ほんの少しのアクセントで構わないから本物の質の高い生地が必要です。
女性のアクセサリーだって、偽物をジャラジャラ付けるより、本物を一点付ける方が多くの人を惹きつけます。
それは本物だけが持つ輝きがあるからです。
例えば、黒の忍者服に金刺繍の腰ひもを巻いただけで、格上の忍者を表現する…みたいな。」
「ちょっと待って!そもそも何で、忍者衣装なんて…槇!最初から詳しく説明しなさい!
話しが、見えない!」
神楽さんが一旦話しを止めて、これまでの経緯を槇さんから説明して貰った。
「つまり…外国人記者クラブで最高の忍者パフォーマンスをする為に、衣装の工夫をしたいって事ね。
しかも、一度きりの短時間のパフォーマンスの為に掛けるコストは出来るだけ抑えたいって事なのね?
槇はお金を出すつもりは無いの?」
「いやいや、資金援助や提供についても今から話し合うつもりだったんだ。
けど…俺もコストを掛けるだけ掛けるなんて、無駄な事は考えてない。
こう言ってはなんだが、成功するとは限らない。
最高のパフォーマンスにするには、コストを掛ける部分と抑える部分のバランスが必要だ。」
「最高のパフォーマンスを最低限度のコストで最大限度の成功に導く!
これは華京院の経営理念と近いよな。
神楽、どうやら有村はお前に使われなくてもそこまでわかってる奴らしいな。」
槇さんと奈落に話しを聞いた後で、神楽さんは口元に手を当てて何か考え込んでしまった。
そこで、隙を突く様に奈落が槇さんに資金援助の話しを切り出した。
「槇ちゃん、資金提供の話だけど…この前も話した通り、向こうも協力を惜しむ訳では無いけど、実績の無い物に高額援助するのは…。
だから、無利子での貸し付けではどうかと提案されたんだ。
返却期限や時期はそちらに任すと。
槇ちゃん的にも、簡単に金を出されるよりいいんじゃないか?
成功とは限らないし、失敗成功に関わらず返金するなら後腐れや問題も起こりにくい。
その辺の契約は爽にも相談したんだ。
爽もその方が良いってさ。
いくら叔父さんでも仲介に入る有村は、被験者だし…イザコザに発展するなんて事は避けたい。
資金援助の話しは爽に仲介して貰える様に頼みたいんだ。」
「あっ!すいません!
槇さんとの話し合いのアイディアで、その…切れ端とか貰えたらと思って。」
「あのね~!友禅をバカにしてんの?
端だろうと、布地は高級素材なんだから、小物に転用したり出来るし、切れ端と言えど値が付くのよ!」
「じゃあ!転用出来ないくらいの物とか、ほつれたり、虫食い穴のある部分とか…?」
あまりの食いつき様に、槇さんが僕の気持ちを察してくれた。
「なぁ、みんな座って話さないか?
これは、どうやら本気の仕事の話らしい。
じっくり聞いてみようよ。
神楽のお眼鏡に叶った奴の才能を拝ませて貰えるはずだよ。
俺としてもその為に有村君を連れて来たんだからね。」
「そ…そうだぞ!神楽!
俺達は槇ちゃんの仕事で呼ばれたんだ!
有村にちょっかい出すな!」
「あの…今、僕の方が神楽さんに問いかけてるんだよ…奈落…。」
奈落はちょっと神楽さんに襟首を掴まれたからか、興奮気味みたいだ。
僕等は槇さんに促されるままに、ソファに腰掛けた。
ちょうどその時、さっきまで廊下で気絶していた男の子がフラフラと戻って来た。
「お帰りなさい。槇さん…。」
「あ、一馬…大丈夫か?
キッチンの冷蔵倉庫横の棚に頂き物のハーブティーのセットがあるんだ。
お客様にそれでお茶をお出しして。」
「あ…はい。神楽さん…先程は失礼致しました。
今後、この様な事の無いように精進させて頂きます。」
一馬君はこちらに向かって、一礼するとお茶の準備をする為に奥に向かった。
すごいな…中学生なのに、ちゃんとした大人の挨拶が身体に染み付いてる…。
「で、まずは有村君は何故、急に友禅の事を?」
槇さんの仕切りで、4人の間の空気が引き締まった。
そうだ…これは仕事の話なんだ。
「実は忍者パフォーマンスの衣装…。
ワザワザ購入しないで、少し手を加えて外国人記者の興味を引く事が出来ないか考えたんだ。
どうせ一度きりのショーの予定なら、出費を抑えられるところは抑えられるんじゃないかと。
太鼓の生演奏依頼とかでは手を抜けないでしょう。
見えないところで、コストを抑えたらって…。
すいません…あの…貧乏性なのでつい。」
「忍者の衣装!?なら、適当な偽物の和風柄の布を使いなさいよ!
今時100円ショップにでもあるわよ。」
「いえ!ダメです。
本物じゃなきゃダメなんです。
相手は外国人です。
本物を見た事がない人の目を惹くには、ほんの少しのアクセントで構わないから本物の質の高い生地が必要です。
女性のアクセサリーだって、偽物をジャラジャラ付けるより、本物を一点付ける方が多くの人を惹きつけます。
それは本物だけが持つ輝きがあるからです。
例えば、黒の忍者服に金刺繍の腰ひもを巻いただけで、格上の忍者を表現する…みたいな。」
「ちょっと待って!そもそも何で、忍者衣装なんて…槇!最初から詳しく説明しなさい!
話しが、見えない!」
神楽さんが一旦話しを止めて、これまでの経緯を槇さんから説明して貰った。
「つまり…外国人記者クラブで最高の忍者パフォーマンスをする為に、衣装の工夫をしたいって事ね。
しかも、一度きりの短時間のパフォーマンスの為に掛けるコストは出来るだけ抑えたいって事なのね?
槇はお金を出すつもりは無いの?」
「いやいや、資金援助や提供についても今から話し合うつもりだったんだ。
けど…俺もコストを掛けるだけ掛けるなんて、無駄な事は考えてない。
こう言ってはなんだが、成功するとは限らない。
最高のパフォーマンスにするには、コストを掛ける部分と抑える部分のバランスが必要だ。」
「最高のパフォーマンスを最低限度のコストで最大限度の成功に導く!
これは華京院の経営理念と近いよな。
神楽、どうやら有村はお前に使われなくてもそこまでわかってる奴らしいな。」
槇さんと奈落に話しを聞いた後で、神楽さんは口元に手を当てて何か考え込んでしまった。
そこで、隙を突く様に奈落が槇さんに資金援助の話しを切り出した。
「槇ちゃん、資金提供の話だけど…この前も話した通り、向こうも協力を惜しむ訳では無いけど、実績の無い物に高額援助するのは…。
だから、無利子での貸し付けではどうかと提案されたんだ。
返却期限や時期はそちらに任すと。
槇ちゃん的にも、簡単に金を出されるよりいいんじゃないか?
成功とは限らないし、失敗成功に関わらず返金するなら後腐れや問題も起こりにくい。
その辺の契約は爽にも相談したんだ。
爽もその方が良いってさ。
いくら叔父さんでも仲介に入る有村は、被験者だし…イザコザに発展するなんて事は避けたい。
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