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必要とされる喜びと責任
第14話
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人生の教訓…華京院の話しは本当に飽きない。
面白いし、勉強になる。
学校の勉強なんかよりずっと役に立ちそうだし。
コミュニケーションの練習にもなる。
「そういや、奈落。
仕事に精を出すのもいいけど、ちゃんとレポート書いてんのか?」
槇さんが助手席の奈落に問いかけた。
「やってるよ!
それこそ爽に死ぬほど渡された。
特別対応にしたって、出し過ぎだろ。」
「いやいや、そこはクリアしとかないと。
学力だって、新生院に負けたくねぇだろ。」
「ふん!わかってるよ。
けど…机の上での作業は基本的に合わねぇんだよ。
足で稼ぐタイプだからなぁ。」
「ジッとしてるの苦手なんて、爽にまだまだ子供扱いされるぞ。」
「槇ちゃんまで!くそッ!
下手に神楽と双子だから比べられる…!
おかげで、子供扱いだ!」
「まぁな。でも、神楽は特別だろ。
あれこそ、本来の華京院の血筋だ。
野心と負けず嫌い…戦前の華京院の女当主の生まれ変わりみたいなもんだ。」
「隔世遺伝恐ぇ~!」
「けど、それが現在に通用するかしないかは別の話しだ。
暴君まがいの態度が敵を生みやすいのは当然だし。」
「槇ちゃんはすぐ分析するな~。
頭の構造どうなってんだよ。
あやかりてぇ。」
「いやいや、これで中々不便なんだぜ。
相手の嫌なとこまで見えちまう。
知らなくていい事だって世の中にはあるからな。」
「そういうのが羨ましいんだよ。
大人の意見!
俺の口からは出て来ねー。」
「そんな事ないよ!
奈落だってちゃんとカッコいいよ!」
「あははは!有村君は優しいね。
奈落にはいいパートナーだ。」
「ああ、感謝してるよ。
有村は俺にとって最高のパートナーだ。」
奈落だって最高のサポーターだ。
車の中で僕等は他愛のない話しをしながら笑い合った。
おそらく、槇さんが僕に合わせてくれてるんだとわかっていても、楽しくて仕方なかった。
友達じゃないってわかってる…けど…今だけは友達気分でもいいよね。
車はしばらく走って、花吹雪亭の専用駐車場に着いた。
車を降りると、隣に赤い小型のベンツが停めてあった。
「お、爽のやつ先に来てるな。」
「本当だ。爽の車だ。」
「すごいね…小型とはいえベンツなんて…。」
「有村…これ、お下がりだし。
しかも、仕事専用。
爽の愛車は軽車なんだよねー。」
「そうそう。
仕事上はクライアントに軽く見られない為に、それなりの車に乗って見栄を張らなきゃならないんだ。
いい仕事を取るには必要な処世術。」
「へぇ~そうなんだ。
見栄を張るって悪い事ばかりじゃないんだ。」
「仕事ってのは、全てが正直って訳には行かない部分もあるんだ。
嘘も方便じゃないけど、お互いの関係がスムーズに行く事を考えて行かなきゃならないからね。」
「大人って大変だ…僕はまだ子供のままでいいや。」
奈落は優しく、僕の頭の上にポンポンと手を乗せて頷いた。
店は二階建ての瓦屋根で元高級店だけあって、立派な佇まいだった。
駐車場から店の前に3人で歩いて行くと、何やら腰を屈めて片足を上げてる薄い桃色の着物の30~ 40代位の女性がブツブツと呟いていた。
「千代ちゃん!何してんの!?」
「あら、あらあらあら…ナラちゃん。
こんな格好でごめんなさい。」
奈落は慌てて、女性に駆け寄って肩を貸した。
「お客様を見送りした後、躓いた途端に、草履が片方飛んじゃって…。」
「どんな躓き方してんだよ!コケて草履を飛ばすなんて…ああ、もう。
相変わらずのドジ女だなぁ。
もうババァなんだから気を付けろ。」
奈落のやり取りを見ていた僕と槇さんは、辺りをサッと見渡した。
すると垣根の部分に白い草履が引っかかっているのが目に入った。
…結構な距離を飛ばしたようだ。
僕はそれを手に取って、2人の元に差し出した。
「あの…これですよね。草履。」
「あら!まぁ、ありがとうございます。
お客様に見つけて頂くなんて。」
「サンキュー!有村。
…ってか、どんだけ飛ばすんだよ。
千代ちゃん、女将なんだからもっとしっかりしないと。
神楽にまたドヤされるぞ。」
「ごめんなさいね。
先週も神楽に怒られたばかりなのに。
あ!それよりお客様をご案内しなきゃ。
えっと、いらっしゃいませ。
花吹雪亭へようこそ。
ウチは一見さん大歓迎ですので、気兼ね無くお寛ぎ下さいね。
槇ちゃんもウチでお食事してくれるなんて、嬉しいわ。ありがとう。」
「俺も千代さんに会えて嬉しいよ。
相変わらずの天然に癒されるよ。
美味しいものを頼みますね。」
「よ、宜しくお願いします。
有村と言います。
奈落さんにはいつもお世話になってます。」
「あらあら、こちらこそ。
奈落を宜しく頼みます。」
千代さんが、頭を下げたのでこちらも頭を深く下げて挨拶した。
奈落のお母さん…千代さん…全然イメージしてなかったタイプだけど…ものすごく優しい口調で、可愛らしい。
奈落の優しさが滲み出てる感じと同じ感覚かな…。
面白いし、勉強になる。
学校の勉強なんかよりずっと役に立ちそうだし。
コミュニケーションの練習にもなる。
「そういや、奈落。
仕事に精を出すのもいいけど、ちゃんとレポート書いてんのか?」
槇さんが助手席の奈落に問いかけた。
「やってるよ!
それこそ爽に死ぬほど渡された。
特別対応にしたって、出し過ぎだろ。」
「いやいや、そこはクリアしとかないと。
学力だって、新生院に負けたくねぇだろ。」
「ふん!わかってるよ。
けど…机の上での作業は基本的に合わねぇんだよ。
足で稼ぐタイプだからなぁ。」
「ジッとしてるの苦手なんて、爽にまだまだ子供扱いされるぞ。」
「槇ちゃんまで!くそッ!
下手に神楽と双子だから比べられる…!
おかげで、子供扱いだ!」
「まぁな。でも、神楽は特別だろ。
あれこそ、本来の華京院の血筋だ。
野心と負けず嫌い…戦前の華京院の女当主の生まれ変わりみたいなもんだ。」
「隔世遺伝恐ぇ~!」
「けど、それが現在に通用するかしないかは別の話しだ。
暴君まがいの態度が敵を生みやすいのは当然だし。」
「槇ちゃんはすぐ分析するな~。
頭の構造どうなってんだよ。
あやかりてぇ。」
「いやいや、これで中々不便なんだぜ。
相手の嫌なとこまで見えちまう。
知らなくていい事だって世の中にはあるからな。」
「そういうのが羨ましいんだよ。
大人の意見!
俺の口からは出て来ねー。」
「そんな事ないよ!
奈落だってちゃんとカッコいいよ!」
「あははは!有村君は優しいね。
奈落にはいいパートナーだ。」
「ああ、感謝してるよ。
有村は俺にとって最高のパートナーだ。」
奈落だって最高のサポーターだ。
車の中で僕等は他愛のない話しをしながら笑い合った。
おそらく、槇さんが僕に合わせてくれてるんだとわかっていても、楽しくて仕方なかった。
友達じゃないってわかってる…けど…今だけは友達気分でもいいよね。
車はしばらく走って、花吹雪亭の専用駐車場に着いた。
車を降りると、隣に赤い小型のベンツが停めてあった。
「お、爽のやつ先に来てるな。」
「本当だ。爽の車だ。」
「すごいね…小型とはいえベンツなんて…。」
「有村…これ、お下がりだし。
しかも、仕事専用。
爽の愛車は軽車なんだよねー。」
「そうそう。
仕事上はクライアントに軽く見られない為に、それなりの車に乗って見栄を張らなきゃならないんだ。
いい仕事を取るには必要な処世術。」
「へぇ~そうなんだ。
見栄を張るって悪い事ばかりじゃないんだ。」
「仕事ってのは、全てが正直って訳には行かない部分もあるんだ。
嘘も方便じゃないけど、お互いの関係がスムーズに行く事を考えて行かなきゃならないからね。」
「大人って大変だ…僕はまだ子供のままでいいや。」
奈落は優しく、僕の頭の上にポンポンと手を乗せて頷いた。
店は二階建ての瓦屋根で元高級店だけあって、立派な佇まいだった。
駐車場から店の前に3人で歩いて行くと、何やら腰を屈めて片足を上げてる薄い桃色の着物の30~ 40代位の女性がブツブツと呟いていた。
「千代ちゃん!何してんの!?」
「あら、あらあらあら…ナラちゃん。
こんな格好でごめんなさい。」
奈落は慌てて、女性に駆け寄って肩を貸した。
「お客様を見送りした後、躓いた途端に、草履が片方飛んじゃって…。」
「どんな躓き方してんだよ!コケて草履を飛ばすなんて…ああ、もう。
相変わらずのドジ女だなぁ。
もうババァなんだから気を付けろ。」
奈落のやり取りを見ていた僕と槇さんは、辺りをサッと見渡した。
すると垣根の部分に白い草履が引っかかっているのが目に入った。
…結構な距離を飛ばしたようだ。
僕はそれを手に取って、2人の元に差し出した。
「あの…これですよね。草履。」
「あら!まぁ、ありがとうございます。
お客様に見つけて頂くなんて。」
「サンキュー!有村。
…ってか、どんだけ飛ばすんだよ。
千代ちゃん、女将なんだからもっとしっかりしないと。
神楽にまたドヤされるぞ。」
「ごめんなさいね。
先週も神楽に怒られたばかりなのに。
あ!それよりお客様をご案内しなきゃ。
えっと、いらっしゃいませ。
花吹雪亭へようこそ。
ウチは一見さん大歓迎ですので、気兼ね無くお寛ぎ下さいね。
槇ちゃんもウチでお食事してくれるなんて、嬉しいわ。ありがとう。」
「俺も千代さんに会えて嬉しいよ。
相変わらずの天然に癒されるよ。
美味しいものを頼みますね。」
「よ、宜しくお願いします。
有村と言います。
奈落さんにはいつもお世話になってます。」
「あらあら、こちらこそ。
奈落を宜しく頼みます。」
千代さんが、頭を下げたのでこちらも頭を深く下げて挨拶した。
奈落のお母さん…千代さん…全然イメージしてなかったタイプだけど…ものすごく優しい口調で、可愛らしい。
奈落の優しさが滲み出てる感じと同じ感覚かな…。
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