『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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情報とは最大の武器である

第17話

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 猛ダッシュで音楽室を目指したものの、あと少しの所でチャイムが鳴ってしまい、遅刻してしまった。
 音楽室の扉を開けると、クラスメイトと音楽教師の冷たい視線が突き刺さった。

「有村 恵君。
 時間には余裕を持って行動して下さい。
 もう、義務教育では無いんですよ。
 早く席に着いて!」
「はい…すいません。」

…クスクス、クスクス…。

 生徒達の小笑いが耳に響いて来る。
 おそらく、僕の背後で宮地達はイヤらしい笑みを浮かべてるんだろう。
 僕は奥歯を噛み締めて、席に着いた。
 授業中、自転車の事が気になって、全然集中出来るわけなかった。
 最低、大破していなければいいけど…。
 時間が過ぎるのが長く長く感じた。
 その間、浮かれてて甘えていた自分を責め続けた。
 学校は戦場だった筈なのに…ゴールデンウィークがあまりに楽しくて、その厳しさを忘れてしまっていた。
 もっと、しっかりしなきゃ。
 こんなんじゃ、何事もやり遂げる事なんて出来ない!

 神経を研ぎ澄ませ!アンテナを張り巡らせろ!
 出来ない事をすれとは言わない。
 出来る事を最大限にやろう!

 僕はショックを受けると共に、さらに燃えていた。

 かと言って、感情的になっては相手の思う壺だ。
 静かに、深く深呼吸をして気持ちを冷静に保つ努力をした。
 奈落が今、自転車を探してくれてるんだ。
 信じて連絡を待とう。

 僕は授業が終わると、脱兎の如く音楽室を出て、奈落にメッセージを送った。

『自転車見つかった?』

送信。

ピロリロリーン。

『おう、すぐに見つかったぜ。
 校舎裏のゴミ置場。粗大ゴミ用。
 早く取りに行け。
 午後に業者が来るらしい。』

 くそッ!

 僕は奈落に返信するのを後にして、校舎裏を目指した。

 校舎裏のゴミ置場に制服姿の奈落が立っていた。
 待っていてくれたようだ。

「奈落!自転車は?」
「ほらよ。」

 奈落は足元に横倒しになっている自転車を指差した。
 カゴは潰されて凹みまくっていた。

 「カゴ…潰されちゃったな…。
 他は…大丈夫かな?」

 自転車に駆け寄る僕に、奈落が優しく声をかけた。
 
「鍵は壊されてないから、持ち上げて運んだんだろ。
 手間の掛かる事しやがって。
 朝だから、そんなに時間も無かったんだろう。
 カゴ以外は無事だ。
 …てか、アイツらこれが犯罪だって理解出来てんのか?アホだなぁ。
 警察沙汰にしたら、進路なんて1発アウトだな。
 ケチが付いた生徒を、推薦とかは学校も出来なくなるし、同系列の大学にも行かせたくはないだろう。
 指紋もべっとり付いてるし、ここ一応防犯カメラ付いてんぞ!
 学校側が付けたヤツ!」

 奈落が斜め上を指差した。
 
 本当だ…ゴミ置場の倉庫部分に、小さな防犯カメラが取り付けてあった。
 つまり…宮地達には犯罪意識がかなり低い事が予想された。
 もしくは、大事になっても平気とか…?
 いや、それほど度胸のあるヤツじゃない。
 奈落にビビるくらいだ。
 やはり、前者で彼等にとっては軽いイタズラなんだ。
 そして、イジメはエスカレートして行く…罪悪感が少ないから、仲間も止めない…。

「ありがとう。
 よく、見つけられたね。」
「あー、うん。まぁ…。」
「ん?何?何かあるの?」
「あー面倒くせぇ!
 悪い!お前がイジメにあってるのは元々調査済みだったから、実は内緒でサドル裏に小型GPSを付けてた。
 何かあった時の為に。
 黙ってて、すまない!」

 奈落は両腕をピタリと太ももに付けて、頭を下げて謝って来た。

「いやいや!謝らないでよ!
 見つかったんだから。
 ありがとう。
 そんなとこまで、考えてくれてたんだね。
 嬉しいよ。」
「…お、おう。」

 奈落は照れて、鼻の下を人差し指で擦った。

「現状の写真を撮っておくよ。
 日付けも付くし。
 後々使えるかもしれない。」
 
ピッピッ。

 写真を撮り終えて、とりあえず次の授業もあるのでカゴは直さずに駐輪場に置いた。
 鍵もかけて、なるべく他の自転車の間に置いた。
 隙間の無い方がイタズラしにくいだろう。

 鍵も、もう2つ3つ付けようかな。

「そうだなぁ、ま、付けてもチェーンをペンチで切りそうだけどな。」
「そうだけど、それもまたいずれ、証拠品として利用出来るでしょう。」
「お!策士だねー。」
「まあね。」
「思ったより、落ち込んでなくて良かった。」
「これくらいは予想出来たさ。
 だから赤い自転車にしたんだ。
 それに、落ち込んでる暇なんてないよ。
 僕にはやる事が山ほどあるからね。」

 僕は奈落に微笑みを返し、教室に戻る事にした。

 教室では逆に落ち込んでるフリをしておこう。
 平気な顔を見て怪しまれたら元も子もない。
 ここからは、情報を得る為に敵を泳がせる事も必要だな。
 演技もして、宮地達を油断させておかないと。

 心機一転!災い転じて福となす様にするぞ!

 自分でも訳の分からない気合を入れつつ、教室への廊下をワザと下向き加減で歩いた。

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