『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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憎しみのパズルピース

第3話

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 バスを降りて、反対車線に隣接するファミレスを目指して信号を渡った。

 ガラス越しに曙高校のジャージの青年が見えた。
 スマホで見た顔だ。
 向井君の方が先に着いたようだ。
 端正な顔立ちのスポーツ刈りで痩せてるけど背が高くて、肩幅がかっちりしてる。

「待たせちゃ悪いから、急ごう!」

 僕と奈落は足早にファミレス内に飛び込んだ。
 向井君の元にウェイトレスに案内された。

「はじめまして。
 並木高校1年の有村です。
 今日はワザワザお呼び出ししてすみません。」
「こちらこそ、初めまして。
 向井です。
 宮地君について話しを聞きたいとか。
 ボクは親しい程の間柄ではないですが、3年間クラスが一緒だったので大体の話しは出来ると思います。」
「あ、俺は奈落だ。
 単なる有村の付き添い。
 気にしないでくれ。
 ただ、座ってるだにするから。」
「どうも。」

 僕と奈落は向井君の正面に座った。
 奈落は話しの邪魔をしないようにか、飲み物を頼んだ後窓枠に肘をついて外を眺めていた。

「あの、隠し事は得意ではないし、ワザワザお呼び出ししたのは出来るだけ、本当の事を知りたいと思ったからです。
 だから…思い切って正直に話します。
…僕は宮地 保君にイジメにあってます。
 だから、それをどうにかして辞めて貰いたい…その為には彼を知らなきゃと思ったんです。
 決して復讐をしたい訳じゃありません。
 誤解しないで下さい。
 キチンと解決したいし、僕以外の人が新たにイジメにあわない為にも、根本的に解決する必要があると思い、情報集めをしているんです。」

 僕は向井君の目を見て、嘘偽りない自分の気持ちを打ち明けた。
 向井君はジッと僕の話しを聞いてくれて、頷いた。

「いいね。
 正直で真っ直ぐな姿勢は、スポーツマンとしても好感が持てる。
 ボクで良ければ、協力しよう。
 ま、ここでの飲み物代金くらいは奢って貰うけど。」
「あ!はい、もちろんです。
 よろしくお願いします。」

 ICレコーダーをオンにして、テーブルの上に置いた。
 カランカランとメロンソーダのストローを揺らしながら、度々思い出す為に遠くを見ながら、向井君はゆっくりと話し出した。

「中1の時は、どっちかっていうと宮地の家は裕福な家庭だったかなぁ。
 明るくて、チャラくて…悩み事なんてない様なタイプに見えたかな。
 目立たないタイプじゃないから、彼を良く思ってなかった奴もいたようだけど、取り巻きが多かったせいか手を出される事は無かった。
 あいつ、初めは成績もかなり良かったんだぜ、」
「順風満帆な人生を歩んでいたんですね。
 母子家庭で貧乏な僕とは大違いだ。」
「奴もずっとそうだと思ってたんだろうな…。
 …親父が仕事で大失敗をしなけりゃな。」
「…失敗ですか?
 事業失敗…ですが会社が潰れた訳じゃないですよね。
 確か、今現在も会社が存在してますよね。」
「詳しくは知らないけど、噂じゃ新規事業を狙った詐欺に引っかかったとか。」
「詐欺…!?」
「印刷する新素材で、紙じゃなく特殊な素材で印刷するだけで、立体化するとか持ちかけられたらしい。
 その素材を借金してまで買い付けた。
 しかし、そこは詐欺だけに実際にはそんな現象は起こらず、単なるプラスチック素材に紙を混ぜた物だったらしい。
 おそらく手品のようなトリックを使って見せたんだろうね。
 まんまと騙されて、裕福な家庭から中2の夏には借金取りに追われる日々が続いたらしい。」
「そんな…。
 あの宮地の家が…。」

 母子家庭で貧乏な僕は、自分が不幸な星の下に産まれたんだって思ってた。
 諦めてた…。
 けど…きっと宮地はそれ以上の不幸を味わったんだ…いや、もしかすると今も味わっているのかもしれない。

「大変だよなぁ、妹もまだ小さいし…。
 かと言って同級生なんかが助けられるレベルの問題じゃない。
 あいつとあいつの家族の力で乗り越えなきゃならない事だ。」
「宮地は…戦っているのかな…。」
「少なくとも逃げたりはしないと思う。
 あいつ、家族思いだからな。
 新聞配達…今でもしてるかわからないけど、毎朝夕配達して家計を助けて、塾にも行かずに公立高校に合格したんだ。
 幼馴染みの早川さんって女子がそう言ってた。
 だから、イジメはともかく…あいつの努力は認めてやって欲しい。」
「そうですね。
 それが、イジメをしていい理由には決してなりませんけど…。
 彼の心が荒んで行った事だけは、理解出来ました。」

 問題はそれが、どうして僕に対するイジメに発展したかだ。
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