『有意義』なお金の使い方!~ある日、高1の僕は突然金持ちになっちゃった!?~

平塚冴子

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保健室同盟(仮)と前期図書委員

第25話

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 宮地の視界から遠く離れた廊下で、歩くスピードを緩めた。
 追いかけてくる気配は無い。

 ほっ、良かった。
 ここで追いかけてこられちゃ、面倒だ。
 あ…もしかして…宮地は図書室に行くつもりなのかな?
 あの今朝の工作物もある事だし…。
 明日は図書室も休みだから、行くとしたらやっぱり、これからだろう。
 …なるほど、僕に図書室に行かれちゃ困るから、捕まえたんだな。
 
 しばらく歩いて、保健室前までやって来た。

 ガラッ。

「おや。有村君。
 3人で一緒に帰宅ですか?
 すでに、2人は鞄を振りながら中で待ってますよ。」
 「加納先生。
  はい。ちょっと駅前まで。」
「天気、あまり良さそうにないから、気を付けて下さいね。
 雨が降ったら、すぐに帰りなさいね。」

 僕と入れ違いに、加納先生は手を振りながら、職員室方向へ歩いて行った。
 保健室入り口と廊下を挟んだ窓は、薄暗く日が当たっていなかった。
 
ん、確かに…。
 曇天はちょっと気になる。
 まぁ、折りたたみ傘はあるけど…最悪、駅前で簡易雨合羽でも買えばいいかな。

「遅~い!何してんの?」
「すいません。
 ちょっと、足止めをくらって。」

 保健室内で、土屋先輩が拳をブンブンと振り上げて、感情を僕に見せつけた。
 かなり、楽しみにしてたんだ。
 って、遊びが目的じゃないんだけど。

「3人揃っての行動なんて、ゴールデンウィーク以来だね。
 ま、土屋さんの浮かれる気分も分かるけど。
 僕だって、図書室の怪人の謎解明の情報が、少しでも前に進むのかと思うと、ワクワクしちゃうからね。」
 
 神谷先輩も、期待と興奮を隠せない様子だ。
 そりゃ、僕も同じ気持ちだけど…さっきの宮地の事で、少し頭の中が冷静になっていた。
 
「そうですね。
 楽しみですけど、落ち着きましょう。
 冷静さを欠いてしまうと、怪しまれますし、情報を聞き逃しかねません。
 落ち着いて、冷静に慎重に行きましょう。
 特に、土屋先輩の役割は高橋先輩の動向に注視しなくてはなりません。
 かなり重要ですから、真剣に観察して下さい。」

 僕は遠回しに土屋先輩に釘を刺した。
 神谷先輩は笑いを堪えるために口を塞いだが、目が笑っていた。

「任せてよ!
 おかしな動きや、仕草があれば、神谷君の背中を突いて教えるわよ。」
「僕限定かよ!ったくもう。
 そろそろ行くよ。
 時間が勿体無い!」

僕等3人は、慌てるという感じではないが、ちょっとだけ早歩きで保健室を後にし、駐輪場で自転車に乗って、駅前の学習塾を目指した。
 
 15分とかからずに駅前に到着した僕等は、駐輪場に自転車を停めて、学習塾へと向かって歩き出した。

「あ!クレープの新作出てる!
 食べたいなぁ~。」
「はあ。
 土屋さん!リラックスしてるのはいいけど、緊張感無さすぎ。
 ちゃんと自分の役割は果たしてよ!」
「はいはい!
 神谷君は小言ジジイなんだから。」
「小言ジジイって…人を子泣き爺みたいに!
 君みたいな自己中でガサツじゃ無いだけだよ!」
「まあまあまあ!
 今はケンカなし!
 お互いの能力を最大限に活かさなきゃ。
 神谷先輩の細かな洞察力も、土屋先輩の場の雰囲気を変える力も必要なんです。
 僕等はお互いに、持っている特性が違うんですから、それを良い方に利用しましょう。」

 相変わらずの夫婦漫才を見ていたい気もするが、今はそんな事を言ってる暇は無い。
 協力して、出来るだけ過去の図書委員の話しを聞き出さないと。

 数分歩いて、あるビルの一階にある学習塾前で立ち止まった。
『N特進塾』。
 自動ドアの向こうには、あまり人の気配がしない。
 まだ、生徒が来ていないせいだろう。
 奥の方に、飴色のバレッタを付けた小柄な女性がこちらに、背を向けている。
 
「よし!入ろう!」

 神谷先輩の掛け声と共に、僕等は自動ドアをくぐった。
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