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夏休み
夏の城の姫君
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補習授業を終えて職員室までくると、同じく補習授業を終えて先に戻った岸先生に声を掛けられた。
「武本先生、机の上に白衣ありますから。さっき田宮さんが持って来ましたよ。」
「えっ…?」
田宮が…何で、僕の白衣だって…まさか!あの時起きてたとか~~!?
慌てて白衣を持ち上げると、下からコーヒーキャンディー2個と小さな黄色いリボンのついた箱を見つけた。
これは…。
開けて見ると、フルーツキャンディーの入った小瓶が出て来た。
あ!そうか、白衣に飴が入ってたから僕の物だと判ったのか。
「良かった…。変態と思われなくて。」
お礼にくれたんだよな…。
小瓶をそっと持ち上げた。
なんか、凄く嬉しい気分だった。
今までプレゼントでこんなにドキドキした事がなかった。
僕はそっと1番上の引き出しに小瓶をしまって、白衣を羽織った。
柔軟剤の柔らかな香りが広がった。
「ちゃんと洗濯してくれたんだ。」
顔が緩んでるのが自分でも判った。
何だか今日はとてもいい日だ…。
午後はテニス部の練習があった為に旧理科準備室には行けなかった。
しかも合宿の説明会もあり、かなり遅くまでかかってしまった。
僕はちょっとイライラしていた。
田宮が今日学校に来てるのに、まだ1度も会えてない。
昼飯、一緒に食べておけばよかった。
説明会が終わると、外はもう暗く月が出ていた。
僕は足早に旧理科室を目指した…が旧理科室の明かりはきえていた。
「もう、帰ったか…。」
呟いた後で、牧田の言葉を思い出した。
学校から見る夜景…もしかすると…屋上に!?
僕は身を翻して、新校舎の中央棟の螺旋階段を駆け足で上った。
ドアを開けると夏の夜の風が吹き込んできた。
「…いた。」
僕は小さく呟いた。
あの4月と同じ、長い髪の毛を風に踊らせながら、彼女は街明かりを眺めていた。
月明かりに照らされた白い横顔は、まるで月からの使者のようだった。
戸惑った。
声を掛けても大丈夫だろうか…。
『夜の夜景デートなんて…』
牧田の言葉を思い出す。
べ…別にそんな期待してる訳じゃない。
僕は汗のかいた手をギュっと握った。
「田宮…!」
意を決して声をかけた。
踊る髪を抑えながら、月明かりに照らされた彼女が振り返った。
「武本先生…。まだ学校にいたんですね。」
「それは、こっちのセリフだ。もう、暗くなったし帰った方が…。」
「夜の学校…好きなんです。
あれだけ騒がしかったのに、夜になると凄く静かで広くて…まるで学校全部、自分の物になったような優越感に浸れて。
月に照らされた窓ガラスは反射してまるでお城みたいにキラキラして…。」
キラキラしているのは彼女の方だった。
彼女の月明かりに反射する赤い果実のような唇を見てるだけで、心臓が爆発しそうなくらいドキドキしていた。
僕の顔は多分緩んで、赤くなっていたと思う。
夜の薄暗さがそれをカバーしてくれたおかげで彼女は気がついていないようだ。
「わかるけど…。
一応、その、女子なんだから夜遅くまで外にいるのは良くない。
早く帰宅しなさい。」
…帰したくない…このまま…いたい…。
言葉とは裏腹の声が頭で叫んでいた。
「は~い。」
「あ…、その駅まで送って行こうか?」
「プッ。先生、そんな事したら変な誤解されて噂されますよ。
謹んでご遠慮します。
それに、私バス通学ですから駅とは反対方向なんです。」
「あ…そう。」
「そうだ…!白衣…。」
そう言いかけた途端、彼女が僕の顔にグッと寄ってきた。
そして、僕の唇に人差し指をあて、その人差し指に自分の唇を近づけた。
指1本挟んで、唇どうしが向き合った。
彼女の息が僕の唇にかかる…。
こんな間近で彼女を見るなんて…。
潤んだ瞳に、艶やかな赤い唇。
心臓が飛び出そうだ!
「内緒にして下さいね。
私があそこにいた事は。」
「!!」
スッと彼女は離れて、屋上から出て行った。
僕はその場にへたり込んだ。
立てないくらいドキドキしていた。
「何なんだよ…ちくしょう!
僕は何を変に動揺してんだ!
生徒だぞ…彼女は生徒で僕は…教師…。」
そう言いながら、僕の頭は勝手にさっきのアレが…そのままキス出来たらと妄想し始めていた。
…小さな赤い半開きの唇…柔らかそうなプルンとした厚み…。
あのまま、キスしていたら僕の理性は吹っ飛んでいた…きっと彼女を抱きしめていた。
彼女は僕の事なんて何とも思ってないのに。
男ってのはどうしてこう……!
「僕は最低だ…。」
夜空高く光る月に呟いた。
「武本先生、机の上に白衣ありますから。さっき田宮さんが持って来ましたよ。」
「えっ…?」
田宮が…何で、僕の白衣だって…まさか!あの時起きてたとか~~!?
慌てて白衣を持ち上げると、下からコーヒーキャンディー2個と小さな黄色いリボンのついた箱を見つけた。
これは…。
開けて見ると、フルーツキャンディーの入った小瓶が出て来た。
あ!そうか、白衣に飴が入ってたから僕の物だと判ったのか。
「良かった…。変態と思われなくて。」
お礼にくれたんだよな…。
小瓶をそっと持ち上げた。
なんか、凄く嬉しい気分だった。
今までプレゼントでこんなにドキドキした事がなかった。
僕はそっと1番上の引き出しに小瓶をしまって、白衣を羽織った。
柔軟剤の柔らかな香りが広がった。
「ちゃんと洗濯してくれたんだ。」
顔が緩んでるのが自分でも判った。
何だか今日はとてもいい日だ…。
午後はテニス部の練習があった為に旧理科準備室には行けなかった。
しかも合宿の説明会もあり、かなり遅くまでかかってしまった。
僕はちょっとイライラしていた。
田宮が今日学校に来てるのに、まだ1度も会えてない。
昼飯、一緒に食べておけばよかった。
説明会が終わると、外はもう暗く月が出ていた。
僕は足早に旧理科室を目指した…が旧理科室の明かりはきえていた。
「もう、帰ったか…。」
呟いた後で、牧田の言葉を思い出した。
学校から見る夜景…もしかすると…屋上に!?
僕は身を翻して、新校舎の中央棟の螺旋階段を駆け足で上った。
ドアを開けると夏の夜の風が吹き込んできた。
「…いた。」
僕は小さく呟いた。
あの4月と同じ、長い髪の毛を風に踊らせながら、彼女は街明かりを眺めていた。
月明かりに照らされた白い横顔は、まるで月からの使者のようだった。
戸惑った。
声を掛けても大丈夫だろうか…。
『夜の夜景デートなんて…』
牧田の言葉を思い出す。
べ…別にそんな期待してる訳じゃない。
僕は汗のかいた手をギュっと握った。
「田宮…!」
意を決して声をかけた。
踊る髪を抑えながら、月明かりに照らされた彼女が振り返った。
「武本先生…。まだ学校にいたんですね。」
「それは、こっちのセリフだ。もう、暗くなったし帰った方が…。」
「夜の学校…好きなんです。
あれだけ騒がしかったのに、夜になると凄く静かで広くて…まるで学校全部、自分の物になったような優越感に浸れて。
月に照らされた窓ガラスは反射してまるでお城みたいにキラキラして…。」
キラキラしているのは彼女の方だった。
彼女の月明かりに反射する赤い果実のような唇を見てるだけで、心臓が爆発しそうなくらいドキドキしていた。
僕の顔は多分緩んで、赤くなっていたと思う。
夜の薄暗さがそれをカバーしてくれたおかげで彼女は気がついていないようだ。
「わかるけど…。
一応、その、女子なんだから夜遅くまで外にいるのは良くない。
早く帰宅しなさい。」
…帰したくない…このまま…いたい…。
言葉とは裏腹の声が頭で叫んでいた。
「は~い。」
「あ…、その駅まで送って行こうか?」
「プッ。先生、そんな事したら変な誤解されて噂されますよ。
謹んでご遠慮します。
それに、私バス通学ですから駅とは反対方向なんです。」
「あ…そう。」
「そうだ…!白衣…。」
そう言いかけた途端、彼女が僕の顔にグッと寄ってきた。
そして、僕の唇に人差し指をあて、その人差し指に自分の唇を近づけた。
指1本挟んで、唇どうしが向き合った。
彼女の息が僕の唇にかかる…。
こんな間近で彼女を見るなんて…。
潤んだ瞳に、艶やかな赤い唇。
心臓が飛び出そうだ!
「内緒にして下さいね。
私があそこにいた事は。」
「!!」
スッと彼女は離れて、屋上から出て行った。
僕はその場にへたり込んだ。
立てないくらいドキドキしていた。
「何なんだよ…ちくしょう!
僕は何を変に動揺してんだ!
生徒だぞ…彼女は生徒で僕は…教師…。」
そう言いながら、僕の頭は勝手にさっきのアレが…そのままキス出来たらと妄想し始めていた。
…小さな赤い半開きの唇…柔らかそうなプルンとした厚み…。
あのまま、キスしていたら僕の理性は吹っ飛んでいた…きっと彼女を抱きしめていた。
彼女は僕の事なんて何とも思ってないのに。
男ってのはどうしてこう……!
「僕は最低だ…。」
夜空高く光る月に呟いた。
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