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2学期
夜の姫君とヘタレ王子
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30分間の勉強会を終えて、職員室に向かう廊下の途中で、腕組みをしてこちらを見る清水先生に出くわした。
「随分と嬉しそうな顔してんなぁ。武本。」
威圧的で、僕を見る。
「な、何の事です?」
「朝の顔とは雲泥の差って事だよ。」
「朝の…顔…?」
「田宮と何を話した?」
直球ど真ん中で聞いてきた。
「何って、英語の勉強と…ちょっとした雑談ですよ。」
「雑談…?」
「別に大した内容じゃないですよ。
宇宙人とか宇宙の話しで。」
「…。その話し、詳しく教えろ。」
「えっ…。嫌ですよ!くだらない内容だし。
別に清水先生に話す程の内容じゃ…。」
清水先生はイライラして頭をかいた。
「このぉ…。教えたくないなら、それでも構わん。
だが、その代わり、ちゃんと理解しとけ!深い意味もな!良くも悪くも、お前だって文系なんだからな!」
「深い…意味…??」
清水先生はそれだけ言うと、立ち去ってしまった。
宇宙人の話の…深い意味??。
旧理科準備室準備室でしばらく待ったものの、田宮はやって来なかった。
明日は土曜日だ、もしかして遅くまで文化祭の準備製作でもしてるのかな。
僕は旧理科準備室を後にして1年の教室に向かった。
夜の7時30分ともなれば生徒はほとんど帰宅していた。
廊下も人影はない。
しかし、4組の教室に明かりがついていた。
そっと覗いてみると、やはり田宮が1人で作業していた。
「田宮!もう7時30分すぎたぞ。
作業は後日にして帰宅したらどうだ。」
僕は一応、教師として声を掛けた。
「すいません。どうしても仕上げたいので。
清水先生には断ってありますから。」
彼女はペンキ片手に応えた。
「後回しに出来ないのか?」
「土日にかけて乾かしたいので。
さっき、勉強会の為に作業を抜けてしまったし。
担当者とも仕上げる約束をしてるから。」
勉強会の為に…?抜けた…?
そこまでする必要があるのか?
どう見ても、あと2、3時間はかかりそうな作業だ。
「お前、夕飯は?」
「大丈夫です。気にしないで下さい。」
田宮は集中して作業してる為か、全くこちらを見ない。
「………。」
僕は、くるりと身を翻がえして4組の教室を出た。
30分後、僕は4組の教室に戻った。
「田宮!ほら飯にするぞ!」
「えっ…?」
僕はハンバーガーのセットを2人前買って戻ってきた。
「要らないとかって言うなよ!
買って来ちまったんだから。」
「あ、はい。ありがとうございます…。」
端に寄せてある机に向かい合って座った。
「飲み物の好み、判んねぇから適当にコーラにしたけど大丈夫か?」
「はい。大丈夫です。先生はコーヒーですか?」
「ああ。最近寝不足だからな。」
夜の学校で2人きりで食事するなんて思わなかった。
外は真っ暗で街灯りが窓から見えて綺麗だった。
「コーヒーって、美味しいですか?」
コーヒーを一口飲んだ僕に彼女が問いかけて来た、
「えっ…。まぁ、慣れるとな。
苦味の中に美味さがあって…。」
「じゃあ一口下さい。」
「ブッ!!」
思わず吹きそうになった。
一口って…何…そう言う意味だよなぁ…えっ…とぉ。
「ダメですか?ちょっと興味があるんですけど、缶コーヒーとかだと、残しちゃったら勿体無いし。今まで飲んだ事がなくって…。」
ちょっと、頬を膨らませる彼女がメチャクチャ可愛かった。
でも…いいのかな…これ…僕の口がついたカップだし…。
「ひ…一口だぞ。」
そう言って僕はカップを手渡した。
彼女の両手が僕のカップを持つ手に触れる。
彼女は両手でカップを包み込むようにして、コーヒーカップに口を付けた。
うわぁ。田宮が僕と間接キスを…!
「ケホッ。苦い~。美味しくない。」
彼女が渋い顔をした。
「ほら、返せ。無理するな。」
僕はコーヒーカップを奪った。
「大人って、変なのが好きなのね。
もっと、美味しいのかと思ってた。」
「…今度、甘いの飲ませてやるよ。」
「本当?」
「ああ、今度な。」
「ハイ。」
彼女の素直な返事…初めて聞いた気がする。
こんなに、楽しそうに会話した事もなかった…。
「そうだ…その…矢口に下の名前で呼ばせるの…辞めさせろ。その…よくないし。」
本当は、僕が聞きたくないだけだ。
ハッキリ言ってヤキモチだ。
「…そうですね。確かに。先生ですものね。」
今夜の彼女はちゃんと僕を見てくれる。
僕は彼女に見とれて、ハンバーガーをくわえたまま手を止めていた。
このまま、2人だけで朝までいられたら…。
ポテトを食べる口元が、油で艶を増していた。
うわぁあ。たまらない!
僕は彼女の唇の色気に魅了されてしまった。
キスしたい!…いやダメだ!
葛藤が続いた。
食事を終えて僕は彼女の作業を手伝っていた。
新しいベニヤ板を取り出して、彼女は急に何やら考え込んでいた。
「どうした?何か足りない物でも?」
「いえ。これ、黒で塗り潰さなきゃならないんですけど…。どうせなら、イタズラ描きしませんか?」
「はぁ?」
いきなり、変な事を言われて驚いた。
この歳でイタズラ描きに誘われるなんて思ってもいなかったのだ。
彼女と僕はペンキで、イタズラ描きをし始めた。
「どう。銀ちゃんに似てます?」
「上手い!上手い!ギョロ目をする時の顔だろ。僕のは?」
「清水先生?あははは。十字架持ってる。」
2人で目一杯、イタズラ描きをして笑った。
「さてと、そろそろ、黒で証拠隠滅しましょうか?」
彼女がイタズラっ子の笑みを僕に投げかけた。
ダメだ…我慢…しろ!…でも…今なら…。
僕は再び、キスをしたい衝動にかられた。
鼓動が激しくなり響く…。
身体が熱をおびて、感情を抑えられない!!
「田宮…!」
僕は田宮の肩を掴んだ。
「はい…何ですか?」
キョトンとしている彼女に、真剣な熱い眼差しを送った。
「その…だから…キスを…」
ガラッ!!
言いかけた時、教室のドアが開いて、鬼の形相の清水先生が立っていた。
げぇええ!
もしかして、今の聞かれた…!?
「田宮、いくら明日土曜日でも遅くまで残り過ぎだ。もう9時だ。車で送ってやるから来い!」
「あ…はい。でも…。」
「後は僕が黒く塗り潰しておくから、帰るんだ。田宮。」
緊迫した空気が教室の中に広がった。
清水先生は僕には、一言も声をかけずに田宮と教室を出て行った。
僕は1人でベニヤ板を黒く塗った。
月曜日…清水先生に怒られる覚悟をしておかなければ…。
「随分と嬉しそうな顔してんなぁ。武本。」
威圧的で、僕を見る。
「な、何の事です?」
「朝の顔とは雲泥の差って事だよ。」
「朝の…顔…?」
「田宮と何を話した?」
直球ど真ん中で聞いてきた。
「何って、英語の勉強と…ちょっとした雑談ですよ。」
「雑談…?」
「別に大した内容じゃないですよ。
宇宙人とか宇宙の話しで。」
「…。その話し、詳しく教えろ。」
「えっ…。嫌ですよ!くだらない内容だし。
別に清水先生に話す程の内容じゃ…。」
清水先生はイライラして頭をかいた。
「このぉ…。教えたくないなら、それでも構わん。
だが、その代わり、ちゃんと理解しとけ!深い意味もな!良くも悪くも、お前だって文系なんだからな!」
「深い…意味…??」
清水先生はそれだけ言うと、立ち去ってしまった。
宇宙人の話の…深い意味??。
旧理科準備室準備室でしばらく待ったものの、田宮はやって来なかった。
明日は土曜日だ、もしかして遅くまで文化祭の準備製作でもしてるのかな。
僕は旧理科準備室を後にして1年の教室に向かった。
夜の7時30分ともなれば生徒はほとんど帰宅していた。
廊下も人影はない。
しかし、4組の教室に明かりがついていた。
そっと覗いてみると、やはり田宮が1人で作業していた。
「田宮!もう7時30分すぎたぞ。
作業は後日にして帰宅したらどうだ。」
僕は一応、教師として声を掛けた。
「すいません。どうしても仕上げたいので。
清水先生には断ってありますから。」
彼女はペンキ片手に応えた。
「後回しに出来ないのか?」
「土日にかけて乾かしたいので。
さっき、勉強会の為に作業を抜けてしまったし。
担当者とも仕上げる約束をしてるから。」
勉強会の為に…?抜けた…?
そこまでする必要があるのか?
どう見ても、あと2、3時間はかかりそうな作業だ。
「お前、夕飯は?」
「大丈夫です。気にしないで下さい。」
田宮は集中して作業してる為か、全くこちらを見ない。
「………。」
僕は、くるりと身を翻がえして4組の教室を出た。
30分後、僕は4組の教室に戻った。
「田宮!ほら飯にするぞ!」
「えっ…?」
僕はハンバーガーのセットを2人前買って戻ってきた。
「要らないとかって言うなよ!
買って来ちまったんだから。」
「あ、はい。ありがとうございます…。」
端に寄せてある机に向かい合って座った。
「飲み物の好み、判んねぇから適当にコーラにしたけど大丈夫か?」
「はい。大丈夫です。先生はコーヒーですか?」
「ああ。最近寝不足だからな。」
夜の学校で2人きりで食事するなんて思わなかった。
外は真っ暗で街灯りが窓から見えて綺麗だった。
「コーヒーって、美味しいですか?」
コーヒーを一口飲んだ僕に彼女が問いかけて来た、
「えっ…。まぁ、慣れるとな。
苦味の中に美味さがあって…。」
「じゃあ一口下さい。」
「ブッ!!」
思わず吹きそうになった。
一口って…何…そう言う意味だよなぁ…えっ…とぉ。
「ダメですか?ちょっと興味があるんですけど、缶コーヒーとかだと、残しちゃったら勿体無いし。今まで飲んだ事がなくって…。」
ちょっと、頬を膨らませる彼女がメチャクチャ可愛かった。
でも…いいのかな…これ…僕の口がついたカップだし…。
「ひ…一口だぞ。」
そう言って僕はカップを手渡した。
彼女の両手が僕のカップを持つ手に触れる。
彼女は両手でカップを包み込むようにして、コーヒーカップに口を付けた。
うわぁ。田宮が僕と間接キスを…!
「ケホッ。苦い~。美味しくない。」
彼女が渋い顔をした。
「ほら、返せ。無理するな。」
僕はコーヒーカップを奪った。
「大人って、変なのが好きなのね。
もっと、美味しいのかと思ってた。」
「…今度、甘いの飲ませてやるよ。」
「本当?」
「ああ、今度な。」
「ハイ。」
彼女の素直な返事…初めて聞いた気がする。
こんなに、楽しそうに会話した事もなかった…。
「そうだ…その…矢口に下の名前で呼ばせるの…辞めさせろ。その…よくないし。」
本当は、僕が聞きたくないだけだ。
ハッキリ言ってヤキモチだ。
「…そうですね。確かに。先生ですものね。」
今夜の彼女はちゃんと僕を見てくれる。
僕は彼女に見とれて、ハンバーガーをくわえたまま手を止めていた。
このまま、2人だけで朝までいられたら…。
ポテトを食べる口元が、油で艶を増していた。
うわぁあ。たまらない!
僕は彼女の唇の色気に魅了されてしまった。
キスしたい!…いやダメだ!
葛藤が続いた。
食事を終えて僕は彼女の作業を手伝っていた。
新しいベニヤ板を取り出して、彼女は急に何やら考え込んでいた。
「どうした?何か足りない物でも?」
「いえ。これ、黒で塗り潰さなきゃならないんですけど…。どうせなら、イタズラ描きしませんか?」
「はぁ?」
いきなり、変な事を言われて驚いた。
この歳でイタズラ描きに誘われるなんて思ってもいなかったのだ。
彼女と僕はペンキで、イタズラ描きをし始めた。
「どう。銀ちゃんに似てます?」
「上手い!上手い!ギョロ目をする時の顔だろ。僕のは?」
「清水先生?あははは。十字架持ってる。」
2人で目一杯、イタズラ描きをして笑った。
「さてと、そろそろ、黒で証拠隠滅しましょうか?」
彼女がイタズラっ子の笑みを僕に投げかけた。
ダメだ…我慢…しろ!…でも…今なら…。
僕は再び、キスをしたい衝動にかられた。
鼓動が激しくなり響く…。
身体が熱をおびて、感情を抑えられない!!
「田宮…!」
僕は田宮の肩を掴んだ。
「はい…何ですか?」
キョトンとしている彼女に、真剣な熱い眼差しを送った。
「その…だから…キスを…」
ガラッ!!
言いかけた時、教室のドアが開いて、鬼の形相の清水先生が立っていた。
げぇええ!
もしかして、今の聞かれた…!?
「田宮、いくら明日土曜日でも遅くまで残り過ぎだ。もう9時だ。車で送ってやるから来い!」
「あ…はい。でも…。」
「後は僕が黒く塗り潰しておくから、帰るんだ。田宮。」
緊迫した空気が教室の中に広がった。
清水先生は僕には、一言も声をかけずに田宮と教室を出て行った。
僕は1人でベニヤ板を黒く塗った。
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