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2学期
狂っていく僕、遠ざかる彼女その2
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4組に戻ると、女子は衣装の製作をしていた。ドレスやら着物やら、一体何をするのか想像がつかないチョイスだ。
「田宮さん!丁度いいサイズが来たわよ!」
4組の女子が教室に、着くなり僕の袖を引っ張た。
「何だ!?」
「衣装ですよ!一般成人男性のサイズ。
武本先生が普通で丁度いいのよ。」
「別にそんなの、僕がいなくても…。」
言いかけた時、裁ちバサミを持った田宮が近寄ってきた。
「効率的に考えて、立体裁断が1番早く
仕上がります。」
「立体裁断!?ちょっと待て!型紙でいいだろ!」
「効率的にと言いましたが。
それに、立体裁断の方がフィット感が違うので、お客様に着ていただくのに最適なんです。」
「勝手な事!だいたい!他の奴でもいいだろ!」
「そうですね。
私としても、そうしたいのは山々ですが…、衣装係の方がどうしても武本先生にと。
覚悟して下さい。」
田宮は大きなハサミを目の前に出した。
彼女は流れるように立体裁断をしていった。
「待ち針で仮留めをします。動かないで下さい。」
彼女は僕の肩から腕背中、上半身の裁断を終えると僕から、ゆっくりと衣装を取った。
衣装係がわらわらと集まってきて仮縫いを始めていく。
以前なら彼女がこんな風に僕の近くに寄るだけでドキドキしていたのに…。
意外と普通にできていた。
何着か仮縫いが仕上がった。
これもまた、バラバラのジャンルの衣装だった。
「ありがとうございました。」
衣装を作り終えた田宮が礼を言った?
「それだけ?」
僕は不敵に笑った。
「マジかよ。嫌々付き合ってやったのに。」
教室中の視線が一気にこちらに向いた。
「では、どうしろと?」
「別に。ただ、思ったよりも礼儀がなってないんだなって思ってね。」
スラスラと心にもない言葉が出てくる。
「そうですね。判りました。」
田宮はそう言うと、裁断に使ったハサミを持ち出した。
そして、僕に差し出すとニッコリ笑った。
「さあ、どうぞ、好きにして下さい。
刺すなり切るなり。
先生の好きなままに…。」
「!」
清水先生が飛び込んできた!
「何やってんだよ!お前らは!」
「すいません。清水先生。」
彼女は謝ったが僕は無言だった。
「武本!ちょっと来い!」
清水先生が力任せに僕を引っ張って教室を出た。
清水先生は僕を、会議室に押し込んだ。
「何考えてる!お前おかしいぞ。
朝から!その格好も!」
「すいません。口下手なもので。」
「そういう事じゃねー!
お前!田宮を殺す気か!?」
僕はスラスラと嘘が出てくる自分に驚いた。
「殺すくらいなら、殺された方がましですよ。
もっと憎まれた方がせいせいする。」
清水先生は僕の態度の異変に気が付いたようだった。
「お前…まさか…。」
「もう、いいですか?職員室に戻りますから。」
僕は会議室を開けて職員室に向かった。
一息ついて僕は天井を仰いだ。
右手が自然と胸ポケットの手帳に触った。
「これで…いいんだよな…。」
「ダメです!武ちゃんの嘘つき!」
いきなり、机の下から声がした。
「牧田!変なとこに!」
「武ちゃん!おかしいよ!
なんで辛い顔して真朝いじめるんよ!」
「いいから、帰れ!」
「真朝いじめて、1番辛いの武ちゃんじゃないのよ!」
「牧田!…いいから帰ってくれ。」
僕は頭を抱えた。
「なんで、武ちゃんも真朝も泣いてんのよ。
なんでわかんないのよ~!」
ドン!
牧田は僕を両手で突き飛ばして出て行った。
いっそ、自分が壊れてしまえばいい。
壊れて、消えてなくなれば…。
僕は絶望の側に立っていた。
僕は旧理科準備室へと移動した。
田宮の監視だけは続けなければ…。
田宮美月に何かされたら…。
教師としての役目だ。ただ…それだけだ。
何日か、僕の変貌と田宮との確執が噂になった。
僕を怖がる者もいれば、葉月のように、この格好だけに擦り寄る奴も出てきた。
けれど僕はそんなのどうでもよかった。
彼女が僕を嫌ってくれてる事を願い、彼女が僕の中から消えていく事を願っていた。
休み時間、移動中に廊下で田宮美月と目があった。
田宮美月にも噂は届いているようで、ニヤニヤしながら僕に話しかけてきた。
「あら、本当。随分とステキになりましたね、先生。惚れちゃいそうです。」
「冗談だろ。」
「ケンカしてるんですってね。
何かの作戦かしら?3月を過ぎれば、もっと好きに出来るのに…。クスッ。」
ガッ!
僕は田宮美月の腰の位置の壁を蹴った。
足で壁ドンしながら田宮美月を睨んだ。
「約束を忘れるな…!彼女に手を出したら許さない。…僕を甘く見るな!!」
「ふふっ怖いなぁ。恋に狂った男って。
ハハ、本当に怖いわ。そんなに…。
だったら、救って見せてよ。
まぁ、出来っこないでしょうけどね。」
魔女…黒魔女さながらに、田宮美月は笑いながら僕に手を振って去って行った。
明日からはいよいよ、文化祭だ。
各教室も準備の、ラストスパートに入った。
僕は3組の簡単な準備を手伝い、ゴミを出しに焼却炉前まできた。
ゴミ置場は大きな角材やらゴミ袋の山で歩きにくい状態だ。
「すごい状態ですね。ゴミを置くところありますか?」
声をかけられ振り向くと、田宮真朝が両手にゴミ袋を持って立っていた。
「適当なとこに置いとけよ。」
冷たい言葉で返した。
「そうですか…。」
彼女は顔色一つ変えない。
僕も何も言わずにその場を立ち去ろうとした。
「あっ。」
田宮が何かにつまづいたようだった。
ミシッ!ギギ!
背中越しに、角材の倒れそうな気配を感じた!
「田宮!危ない!こっち…!」
僕は無我夢中で田宮の腕を引っ張り、彼女の上に覆い被さった。
ガラガラ!ドカッ!バッシ!
「グゥッ!」
後頭部と背中と左手首に激痛が走った。
「…先生…?」
彼女の声が遠くで聞こえた…僕の意識は薄らいで行った。
「田宮さん!丁度いいサイズが来たわよ!」
4組の女子が教室に、着くなり僕の袖を引っ張た。
「何だ!?」
「衣装ですよ!一般成人男性のサイズ。
武本先生が普通で丁度いいのよ。」
「別にそんなの、僕がいなくても…。」
言いかけた時、裁ちバサミを持った田宮が近寄ってきた。
「効率的に考えて、立体裁断が1番早く
仕上がります。」
「立体裁断!?ちょっと待て!型紙でいいだろ!」
「効率的にと言いましたが。
それに、立体裁断の方がフィット感が違うので、お客様に着ていただくのに最適なんです。」
「勝手な事!だいたい!他の奴でもいいだろ!」
「そうですね。
私としても、そうしたいのは山々ですが…、衣装係の方がどうしても武本先生にと。
覚悟して下さい。」
田宮は大きなハサミを目の前に出した。
彼女は流れるように立体裁断をしていった。
「待ち針で仮留めをします。動かないで下さい。」
彼女は僕の肩から腕背中、上半身の裁断を終えると僕から、ゆっくりと衣装を取った。
衣装係がわらわらと集まってきて仮縫いを始めていく。
以前なら彼女がこんな風に僕の近くに寄るだけでドキドキしていたのに…。
意外と普通にできていた。
何着か仮縫いが仕上がった。
これもまた、バラバラのジャンルの衣装だった。
「ありがとうございました。」
衣装を作り終えた田宮が礼を言った?
「それだけ?」
僕は不敵に笑った。
「マジかよ。嫌々付き合ってやったのに。」
教室中の視線が一気にこちらに向いた。
「では、どうしろと?」
「別に。ただ、思ったよりも礼儀がなってないんだなって思ってね。」
スラスラと心にもない言葉が出てくる。
「そうですね。判りました。」
田宮はそう言うと、裁断に使ったハサミを持ち出した。
そして、僕に差し出すとニッコリ笑った。
「さあ、どうぞ、好きにして下さい。
刺すなり切るなり。
先生の好きなままに…。」
「!」
清水先生が飛び込んできた!
「何やってんだよ!お前らは!」
「すいません。清水先生。」
彼女は謝ったが僕は無言だった。
「武本!ちょっと来い!」
清水先生が力任せに僕を引っ張って教室を出た。
清水先生は僕を、会議室に押し込んだ。
「何考えてる!お前おかしいぞ。
朝から!その格好も!」
「すいません。口下手なもので。」
「そういう事じゃねー!
お前!田宮を殺す気か!?」
僕はスラスラと嘘が出てくる自分に驚いた。
「殺すくらいなら、殺された方がましですよ。
もっと憎まれた方がせいせいする。」
清水先生は僕の態度の異変に気が付いたようだった。
「お前…まさか…。」
「もう、いいですか?職員室に戻りますから。」
僕は会議室を開けて職員室に向かった。
一息ついて僕は天井を仰いだ。
右手が自然と胸ポケットの手帳に触った。
「これで…いいんだよな…。」
「ダメです!武ちゃんの嘘つき!」
いきなり、机の下から声がした。
「牧田!変なとこに!」
「武ちゃん!おかしいよ!
なんで辛い顔して真朝いじめるんよ!」
「いいから、帰れ!」
「真朝いじめて、1番辛いの武ちゃんじゃないのよ!」
「牧田!…いいから帰ってくれ。」
僕は頭を抱えた。
「なんで、武ちゃんも真朝も泣いてんのよ。
なんでわかんないのよ~!」
ドン!
牧田は僕を両手で突き飛ばして出て行った。
いっそ、自分が壊れてしまえばいい。
壊れて、消えてなくなれば…。
僕は絶望の側に立っていた。
僕は旧理科準備室へと移動した。
田宮の監視だけは続けなければ…。
田宮美月に何かされたら…。
教師としての役目だ。ただ…それだけだ。
何日か、僕の変貌と田宮との確執が噂になった。
僕を怖がる者もいれば、葉月のように、この格好だけに擦り寄る奴も出てきた。
けれど僕はそんなのどうでもよかった。
彼女が僕を嫌ってくれてる事を願い、彼女が僕の中から消えていく事を願っていた。
休み時間、移動中に廊下で田宮美月と目があった。
田宮美月にも噂は届いているようで、ニヤニヤしながら僕に話しかけてきた。
「あら、本当。随分とステキになりましたね、先生。惚れちゃいそうです。」
「冗談だろ。」
「ケンカしてるんですってね。
何かの作戦かしら?3月を過ぎれば、もっと好きに出来るのに…。クスッ。」
ガッ!
僕は田宮美月の腰の位置の壁を蹴った。
足で壁ドンしながら田宮美月を睨んだ。
「約束を忘れるな…!彼女に手を出したら許さない。…僕を甘く見るな!!」
「ふふっ怖いなぁ。恋に狂った男って。
ハハ、本当に怖いわ。そんなに…。
だったら、救って見せてよ。
まぁ、出来っこないでしょうけどね。」
魔女…黒魔女さながらに、田宮美月は笑いながら僕に手を振って去って行った。
明日からはいよいよ、文化祭だ。
各教室も準備の、ラストスパートに入った。
僕は3組の簡単な準備を手伝い、ゴミを出しに焼却炉前まできた。
ゴミ置場は大きな角材やらゴミ袋の山で歩きにくい状態だ。
「すごい状態ですね。ゴミを置くところありますか?」
声をかけられ振り向くと、田宮真朝が両手にゴミ袋を持って立っていた。
「適当なとこに置いとけよ。」
冷たい言葉で返した。
「そうですか…。」
彼女は顔色一つ変えない。
僕も何も言わずにその場を立ち去ろうとした。
「あっ。」
田宮が何かにつまづいたようだった。
ミシッ!ギギ!
背中越しに、角材の倒れそうな気配を感じた!
「田宮!危ない!こっち…!」
僕は無我夢中で田宮の腕を引っ張り、彼女の上に覆い被さった。
ガラガラ!ドカッ!バッシ!
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後頭部と背中と左手首に激痛が走った。
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