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2学期
学者は脳で恋をする
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翌日、僕はいつもと同じに朝早くから旧理科準備室でコーヒーを飲みながら、田宮 真朝の様子を見ていた。
昨日のショックは大きく、頭の機能は停止状態だったが、やる事だけはやろうと思った。
僕にはこれくらいしか出来ないんだ。
深く考えるのはよそう。
見返りを求める事も。
ただ…君が笑っていてさえくれればいい。
「はああああ。」
職員室に入ると、いつもとは違って清水先生が大きな溜息をついていた。
「おはようございます。大丈夫ですか?」
本当は僕の方が大丈夫じゃない。
「メグちゃんに怒られたんだよ。
もう女神の怒りが凄くてよお。
ヘコんじゃうんだよ。」
「はぁ。何で怒られたんです?」
「…遥を…死んだ彼女に恋した事を後悔するなって…。」
「えっ…。」
「…例え心中未遂だったとしても…恋した事を恥ずかしく思うのは間違いだって…。
彼女を侮辱しないでって…。」
「…さすが、女神ですね。」
羨ましい…そんな出来た人と結婚出来た清水先生が…。
「武本。すまなかった。」
「えっ…?僕ですか…。」
唐突に謝られて驚いた。
「本当にすまなかった…。」
「まさか…僕の事で…怒られたんですか?」
「黙ってヘコませろ。」
清水先生は出席簿で頭を隠した。
「おはようございます。武本先生。」
金井先生…!
金井先生が珍しく朝から職員室にやって来た。
「おはようございます。」
「まぶたが腫れてますよ。大丈夫ですか?」
「な!大丈夫だ。寝不足なだけで…。」
あんだけ泣いたら目も腫れる…。
「昨日、あれから真朝君と話しましてね。」
「はぁ。」
知ってる。僕は見ていたから。
「彼女、僕の理想の相手です。」
「はっ?」
急に何言い出すんだけど?イかれてんのか?
「まさか…こんなところに理想の相手がいるとは思いませんでした。
だから、武本先生に断っておこうと思いまして。」
こいつ…!!
「何で、僕に断るんですか?関係ないですよ。」
「そうですか、では気兼ねなく。」
挑発して来てるのか?何の為に?
金井先生はそう僕に伝えると、職員室を出てカウンセリングルームへと行ってしまった。
僕は不機嫌なままで、朝のホームルームへと向かう事となった。
1年3組に入ると、いつもと違ってザワザワしているのを感じた。
「どうした?何かあったのか?」
僕は前の席の生徒に聞いた。
「スクールカウンセラーの金井先生の人気が凄くて。
もう女子はその話しで持ちきりで。
カウンセリングルームの予約も満杯らしいですよ。」
「ったく…。厄介な。」
くそっ。
そんなにモテるなら、選り取り見取りじゃねーかよ。
何で、田宮に構うんだよ!
僕は更に不快な気分になった。
ホームルームを終えて廊下に出ると、他のクラスの女子も金井先生の噂を、あちらこちらでしていた。
「おっは~。武ちゃん。およよ?
お目々が腫れてんよ。」
「なんだ、牧田か。」
痛いところを…妖怪恋愛アンテナめ!
「金井先生、凄い噂だな?」
「ああ。でも銀子キライよん。
だって自分以外の人間をバカにしてるじゃん。
ニセ学者先生と命名しました。」
「お前…本当に泣けるほど性格いいなぁ。
身なりはアレだけど。」
「だから、武ちゃんの褒め方は嬉しくないのよ。
真朝だって嫌がってんのに、つきまとわれて迷惑してんだから。」
「!!」
そうだ。コレは葉月と同じように、田宮へ嫉妬の目が行ってしまう状態じゃないか?
しかも、不特定多数!!…最悪だ!
「武ちゃんどったの?急にお顔が怖いのよぉ。」
「ああ、すまん。じゃあな。」
僕は急いでカウンセリングルームへと向かった。
「武本先生。いらっしゃい。お悩みですか?」
小振りの真っ白な部屋に簡単な机と椅子が2脚のみのカウンセリングルームで金井先生が僕に微笑んだ。
「今、学校中が金井先生の噂で持ちきりですよ。」
「そうですか。」
「そうですか…じゃねーよ。
そんなあんたが田宮に安易に近づくと、変に恨まれるだろ!」
僕は金井先生の冷静な態度にムカついていた。
「それは…経験からですか?」
「なっ!関係ないだろ僕の事は。」
「確かに、僕もその点は考えてました。
だから、いっそ公表しようかと思ってまして。」
「公表!?」
「ええ。僕が田宮 真朝が1番好きである事と彼女に手を出した者は許さないという事を。」
こいつ。マジでイかれてんのか?
「あんた…ここは学校だぞ…そんな事を…。」
「僕はあなたと違って教師ではありません。
スクールカウンセラーを行なっている会社の社員です。
立場が違うんですよ。
生徒と恋に落ちても、問題はないんですよ。」
確かに、その通りだ。
先生と呼ばれてはいるが彼は教師ではない。
「くっ。本気なのか?」
「確かに始めは、武本先生が推察するように情報収集が目的で彼女に近づきました。」
「やっぱり…。」
「でも…僕は彼女の…脳に恋してしまったんですよ。
彼女の言葉は僕の脳を刺激する。」
陶酔したかのように話す金井先生に、僕は嫉妬を覚えた。
「武本先生…あくまでも僕の考えですが…。
あなたも、真朝君に恋をしてるんじゃないですか?」
挑戦的に腕組みをしながら金井先生は僕の心を覗くように言った。
「ふ…ふざけるな!!
僕は教師としての立場から言ってる!」
「そうですか…。」
「とにかく、生徒を危険な目に合わせるような事はするな!」
僕は吐き捨てるように言うと、カウンセリングルームから飛び出した。
4時限め終了後、僕は廊下で4組の女子が田宮を引っ張って連れて行くのを目撃した。
まずい…!心配していた事が…。
僕は追いかけて玄関ホールまで追いかけた。
玄関ホールでは10人くらいの女子が田宮と牧田を囲んでいた。
「金井先生がカウンセリングでハッキリ言ったの。
田宮 真朝と付き合うつもりだって!
どういう事!?」
「いつの間に金井先生に近づいたのよ!」
やはり、予想通りだ。
「だから!真朝は関係ないの!
ニセ学者先生が勝手に言ってんよ!」
牧田が懸命に反論したが、聞く耳を持っている奴らではない。
「牧田さんに聞いてないのよ!
田宮さんの口から聞きたいの。」
牧田も多勢に無勢で歯が立たない。
彼女はゆっくりと大きな声で言った。
「では…ハッキリ言わせてもらいます。
私は金井先生が苦手です。
仲良くなりたいとは思っていません。
金井先生も本気ではなくおそらく、別の何らかの目的があっての事と。
こんなに魅力的な方々がいるのに私に行為を持つなんて、相当のマニアですよ。」
マニアで悪かったな!口が悪すぎだぞ田宮!
「…と、とぼけたって無駄よ!」
「そうよ!そうよ!」
ったく、女ってのはまともに他人の話しを聞かねぇな!
仕方ない…。
僕は足早に4組女子の中に割って入った。
「田宮!行くぞ!」
「あ…!」
僕はそれだけ言うと、強引に田宮の腕を引っ張って走った。
「あー!武本!?」
「何?武本じゃん?」
4組女子のざわめきを背にして、僕と田宮はその場を脱兎の如く逃げ出した。
牧田を置いて…。
昨日のショックは大きく、頭の機能は停止状態だったが、やる事だけはやろうと思った。
僕にはこれくらいしか出来ないんだ。
深く考えるのはよそう。
見返りを求める事も。
ただ…君が笑っていてさえくれればいい。
「はああああ。」
職員室に入ると、いつもとは違って清水先生が大きな溜息をついていた。
「おはようございます。大丈夫ですか?」
本当は僕の方が大丈夫じゃない。
「メグちゃんに怒られたんだよ。
もう女神の怒りが凄くてよお。
ヘコんじゃうんだよ。」
「はぁ。何で怒られたんです?」
「…遥を…死んだ彼女に恋した事を後悔するなって…。」
「えっ…。」
「…例え心中未遂だったとしても…恋した事を恥ずかしく思うのは間違いだって…。
彼女を侮辱しないでって…。」
「…さすが、女神ですね。」
羨ましい…そんな出来た人と結婚出来た清水先生が…。
「武本。すまなかった。」
「えっ…?僕ですか…。」
唐突に謝られて驚いた。
「本当にすまなかった…。」
「まさか…僕の事で…怒られたんですか?」
「黙ってヘコませろ。」
清水先生は出席簿で頭を隠した。
「おはようございます。武本先生。」
金井先生…!
金井先生が珍しく朝から職員室にやって来た。
「おはようございます。」
「まぶたが腫れてますよ。大丈夫ですか?」
「な!大丈夫だ。寝不足なだけで…。」
あんだけ泣いたら目も腫れる…。
「昨日、あれから真朝君と話しましてね。」
「はぁ。」
知ってる。僕は見ていたから。
「彼女、僕の理想の相手です。」
「はっ?」
急に何言い出すんだけど?イかれてんのか?
「まさか…こんなところに理想の相手がいるとは思いませんでした。
だから、武本先生に断っておこうと思いまして。」
こいつ…!!
「何で、僕に断るんですか?関係ないですよ。」
「そうですか、では気兼ねなく。」
挑発して来てるのか?何の為に?
金井先生はそう僕に伝えると、職員室を出てカウンセリングルームへと行ってしまった。
僕は不機嫌なままで、朝のホームルームへと向かう事となった。
1年3組に入ると、いつもと違ってザワザワしているのを感じた。
「どうした?何かあったのか?」
僕は前の席の生徒に聞いた。
「スクールカウンセラーの金井先生の人気が凄くて。
もう女子はその話しで持ちきりで。
カウンセリングルームの予約も満杯らしいですよ。」
「ったく…。厄介な。」
くそっ。
そんなにモテるなら、選り取り見取りじゃねーかよ。
何で、田宮に構うんだよ!
僕は更に不快な気分になった。
ホームルームを終えて廊下に出ると、他のクラスの女子も金井先生の噂を、あちらこちらでしていた。
「おっは~。武ちゃん。およよ?
お目々が腫れてんよ。」
「なんだ、牧田か。」
痛いところを…妖怪恋愛アンテナめ!
「金井先生、凄い噂だな?」
「ああ。でも銀子キライよん。
だって自分以外の人間をバカにしてるじゃん。
ニセ学者先生と命名しました。」
「お前…本当に泣けるほど性格いいなぁ。
身なりはアレだけど。」
「だから、武ちゃんの褒め方は嬉しくないのよ。
真朝だって嫌がってんのに、つきまとわれて迷惑してんだから。」
「!!」
そうだ。コレは葉月と同じように、田宮へ嫉妬の目が行ってしまう状態じゃないか?
しかも、不特定多数!!…最悪だ!
「武ちゃんどったの?急にお顔が怖いのよぉ。」
「ああ、すまん。じゃあな。」
僕は急いでカウンセリングルームへと向かった。
「武本先生。いらっしゃい。お悩みですか?」
小振りの真っ白な部屋に簡単な机と椅子が2脚のみのカウンセリングルームで金井先生が僕に微笑んだ。
「今、学校中が金井先生の噂で持ちきりですよ。」
「そうですか。」
「そうですか…じゃねーよ。
そんなあんたが田宮に安易に近づくと、変に恨まれるだろ!」
僕は金井先生の冷静な態度にムカついていた。
「それは…経験からですか?」
「なっ!関係ないだろ僕の事は。」
「確かに、僕もその点は考えてました。
だから、いっそ公表しようかと思ってまして。」
「公表!?」
「ええ。僕が田宮 真朝が1番好きである事と彼女に手を出した者は許さないという事を。」
こいつ。マジでイかれてんのか?
「あんた…ここは学校だぞ…そんな事を…。」
「僕はあなたと違って教師ではありません。
スクールカウンセラーを行なっている会社の社員です。
立場が違うんですよ。
生徒と恋に落ちても、問題はないんですよ。」
確かに、その通りだ。
先生と呼ばれてはいるが彼は教師ではない。
「くっ。本気なのか?」
「確かに始めは、武本先生が推察するように情報収集が目的で彼女に近づきました。」
「やっぱり…。」
「でも…僕は彼女の…脳に恋してしまったんですよ。
彼女の言葉は僕の脳を刺激する。」
陶酔したかのように話す金井先生に、僕は嫉妬を覚えた。
「武本先生…あくまでも僕の考えですが…。
あなたも、真朝君に恋をしてるんじゃないですか?」
挑戦的に腕組みをしながら金井先生は僕の心を覗くように言った。
「ふ…ふざけるな!!
僕は教師としての立場から言ってる!」
「そうですか…。」
「とにかく、生徒を危険な目に合わせるような事はするな!」
僕は吐き捨てるように言うと、カウンセリングルームから飛び出した。
4時限め終了後、僕は廊下で4組の女子が田宮を引っ張って連れて行くのを目撃した。
まずい…!心配していた事が…。
僕は追いかけて玄関ホールまで追いかけた。
玄関ホールでは10人くらいの女子が田宮と牧田を囲んでいた。
「金井先生がカウンセリングでハッキリ言ったの。
田宮 真朝と付き合うつもりだって!
どういう事!?」
「いつの間に金井先生に近づいたのよ!」
やはり、予想通りだ。
「だから!真朝は関係ないの!
ニセ学者先生が勝手に言ってんよ!」
牧田が懸命に反論したが、聞く耳を持っている奴らではない。
「牧田さんに聞いてないのよ!
田宮さんの口から聞きたいの。」
牧田も多勢に無勢で歯が立たない。
彼女はゆっくりと大きな声で言った。
「では…ハッキリ言わせてもらいます。
私は金井先生が苦手です。
仲良くなりたいとは思っていません。
金井先生も本気ではなくおそらく、別の何らかの目的があっての事と。
こんなに魅力的な方々がいるのに私に行為を持つなんて、相当のマニアですよ。」
マニアで悪かったな!口が悪すぎだぞ田宮!
「…と、とぼけたって無駄よ!」
「そうよ!そうよ!」
ったく、女ってのはまともに他人の話しを聞かねぇな!
仕方ない…。
僕は足早に4組女子の中に割って入った。
「田宮!行くぞ!」
「あ…!」
僕はそれだけ言うと、強引に田宮の腕を引っ張って走った。
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