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2学期
天使達との休日その2
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ホールへ移動した僕等は早速、ツリーの準備に取り掛かった。
「オーナメントはどういう色のがあります?」
田宮がロバ先生に問いかけた。
「色々とあるけど…赤が多いな。
赤を主体に考えて飾りましょう。」
さすが美術系の才能がある2人は意気投合していた。
「あーん絡まっちゃう!」
「お前は何やってんだ?」
牧田は金色のモールに絡まりまくってた。
とりあえず、僕とロバ先生は主体となる木を組みたてた。
全長3メートルくらいある。
「本当だでけえ。」
思わず下から眺めてしまった。
「はい。先生も飾り付けて下さい。」
田宮がオーナメントをいくつか僕に手渡した。
「あ、ああ。」
「バランス考えて下さいね。」
「バランスかぁ…う~ん。」
デザイン感覚は良い方じゃない。
困った。どうしようか…。
「バランス難しいですか?
じゃあ、私が指差した所に付けて下さい。
それなら、出来ますよね。」
「出来るよ!ガキか僕は!」
「ふふふ。
じゃあここに付けて下さい。」
彼女の腕がすっと伸びて細い指先でオーナメントの位置を指差した。
「ここ…?」
「はい。」
2人の共同作業にドキドキしていた。
指差しするたびに、僕のプレゼントしたブレスレットが揺れて…。
…嬉しくてたまらない。
「上の方は私が付けますから、脚立を抑えてもらえますか?」
「わかった。気をつけろよ。」
僕は彼女の登る脚立を両手で抑えた。
今日…来て良かった…。
楽しそうに飾り付けする彼女を見上げて僕はそう思った。
「そういえば…今週半ばから期末テストだが田宮は大丈夫だとして、牧田はマズいんじゃないか?」
ふと現実に戻った。
「そうですね…。
今回はボランティアを手伝って貰うので
ちょっと、サービスしたんです。」
「サービス?」
僕は牧田を振り返った。
「真朝に山はってもらいました。
テストに出そうなとこを5教科ちょっとだけ。」
「ちょっとじゃねーな。
その様子だと…。
どういう山の張り方してんだ?」
僕は田宮に向き直った。
「普通じゃないですか?
先生が言ってた範囲内で…その先生の性格と問題バランスを考えて…。」
「ちょっと待てー!
その先生の性格って…まさか分析とかしてないよな!」
「えっ…と、どうだったかなぁ。」
「明らかにトボけてるじゃねーか!
田宮の分析なんて…!」
当たり過ぎるだろう!
って…僕も分析されてるんだよな!
この会話の内容じゃ…。
「…ぼ、僕も分析してるのか?」
「ふふふ。どうでしょう。」
笑ってごまかして!…くそっ!可愛い…!
僕は彼女にいつも、こうやって翻弄されてしまう。
飾り付けをひと通り終えて、離れて見て出来栄えを確認した。
「結構時間掛かったな。」
「でも、いい出来栄えです。」
「クリスマスツリー写真に撮ろうっと!」
牧田が携帯で写真を撮り始めた。
「クリスマス、子供たち楽しんでくれるといいですね。」
クリスマス…田宮と…過ごせたら…。
…聖夜を…一緒に…。
「クリスマスケーキってどんな味かな?」
「へっ?
田宮お前食った事ないのか?」
「あ…はい…。
クリスマス自体お祝いに参加した事ないから…。
いつも、部屋で独りでいました。」
そうか…君は…家族に…!
くそっ!あの大魔女はそういうやり方を!!
「じゃあ!銀子ちゃんが作ってあげようか?」
「田宮を殺す気か!!
お前の料理は人間の食べる物じゃね~!」
「ちぇ~~!
武ちゃんのいじわるう!
じゃあ!
武ちゃん、真朝にプレゼントしたげなよ。」
「えっ…。あ…。」
したいさ!そりゃ…彼女と過ごせるなら何だって…でも。
「ダメよ。銀ちゃん。
武本先生には一緒に過ごしたい女性がいるんだから。
ケーキはその人と食べるのよ。」
ほら…こうやって僕等の距離は遠のくんだ。
「今年は…金井先生がケーキもプレゼントも買ってくれると思うよ。」
僕は言いながら彼女から視線を逸らした。
胸の奥が痛い…苦しい…。
君にとって…僕は…僕の存在は…。
ひと言が欲しい…。
君の《好き》が欲しい…。
それさえあれば…僕は…!
「武ちゃん。
自分に自信持たなきゃダメじゃん。
自分が嫌いなの?」
牧田が僕を突いた。
「えっ…自分が嫌い…?」
…ボクハイラナイ…
あ!頭が…何だよ。痛え!
「武ちゃん!どったの?」
「だ…大丈夫。ちょっと頭痛が。」
「先生…。深呼吸して。」
田宮の手が僕の頬に触れた。
「はぁ…はぁ。」
彼女の顔が僕の真近にあった。
「ゆっくり…ゆっくり…。
少し座りましょう。」
僕は彼女の指示通りにその場に座り込んだ。
「大丈夫ですか武本先生!」
ロバ先生が駆け寄ってきた。
「大丈夫手です…。少し休めば。」
あれ…手が…。
気が付くと彼女が僕の手を握ってくれていた。
優しく、柔らかい手で…。
僕はそっと握り返した。
彼女は握り返した手を見て、ニッコリと笑った。
ああ…何で僕は…こんなにも
君を好きになってしまったんだろう…。
しばらく、休んだ後。
復活した僕とロバ先生は施設の電気交換やら修繕やらをして回った。
田宮と牧田は子供達の面倒を観に行っていた。
「ひと通り終わりましたね。
武本先生体調は大丈夫ですか?」
脚立から降りたロバ先生が心配そうに僕を見た。
「ああ、単なる偏頭痛ですから。
すいません。
心配かけまして。」
「良かったです。
あの…少し変な事聞いていいですか?」
「えっ…ええ。」
「久瀬君なんですが…。」
「ひえっ!久瀬ですか!?」
こら!ロバてめぇ変な事言いだすなよ!
「彼…好きな人いますよね。
武本先生ご存知ですか?」
「えっ…と。
本命の人がいるみたいですね。
って!僕じゃないですよ!
断じて!絶対!」
僕は思い切り否定した。
「ぷっ。でしょうね。
武本先生はそっちの人ではないですよ。
わかりますから。」
「はぁ…どうも。」
「久瀬君、寂しがりやだから。
クリスマスまでに上手くいくといいんですけど。」
「あ…そうですね。」
そっか…久瀬も…好きな人とは…過ごせないんだ…クリスマス。
今年のクリスマスは憂鬱だな…。
どうしよう。
渡せないのに、プレゼント用意してもな…。
僕は廊下の窓から外で子供達と遊ぶ彼女に視線を投げ掛けた。
「オーナメントはどういう色のがあります?」
田宮がロバ先生に問いかけた。
「色々とあるけど…赤が多いな。
赤を主体に考えて飾りましょう。」
さすが美術系の才能がある2人は意気投合していた。
「あーん絡まっちゃう!」
「お前は何やってんだ?」
牧田は金色のモールに絡まりまくってた。
とりあえず、僕とロバ先生は主体となる木を組みたてた。
全長3メートルくらいある。
「本当だでけえ。」
思わず下から眺めてしまった。
「はい。先生も飾り付けて下さい。」
田宮がオーナメントをいくつか僕に手渡した。
「あ、ああ。」
「バランス考えて下さいね。」
「バランスかぁ…う~ん。」
デザイン感覚は良い方じゃない。
困った。どうしようか…。
「バランス難しいですか?
じゃあ、私が指差した所に付けて下さい。
それなら、出来ますよね。」
「出来るよ!ガキか僕は!」
「ふふふ。
じゃあここに付けて下さい。」
彼女の腕がすっと伸びて細い指先でオーナメントの位置を指差した。
「ここ…?」
「はい。」
2人の共同作業にドキドキしていた。
指差しするたびに、僕のプレゼントしたブレスレットが揺れて…。
…嬉しくてたまらない。
「上の方は私が付けますから、脚立を抑えてもらえますか?」
「わかった。気をつけろよ。」
僕は彼女の登る脚立を両手で抑えた。
今日…来て良かった…。
楽しそうに飾り付けする彼女を見上げて僕はそう思った。
「そういえば…今週半ばから期末テストだが田宮は大丈夫だとして、牧田はマズいんじゃないか?」
ふと現実に戻った。
「そうですね…。
今回はボランティアを手伝って貰うので
ちょっと、サービスしたんです。」
「サービス?」
僕は牧田を振り返った。
「真朝に山はってもらいました。
テストに出そうなとこを5教科ちょっとだけ。」
「ちょっとじゃねーな。
その様子だと…。
どういう山の張り方してんだ?」
僕は田宮に向き直った。
「普通じゃないですか?
先生が言ってた範囲内で…その先生の性格と問題バランスを考えて…。」
「ちょっと待てー!
その先生の性格って…まさか分析とかしてないよな!」
「えっ…と、どうだったかなぁ。」
「明らかにトボけてるじゃねーか!
田宮の分析なんて…!」
当たり過ぎるだろう!
って…僕も分析されてるんだよな!
この会話の内容じゃ…。
「…ぼ、僕も分析してるのか?」
「ふふふ。どうでしょう。」
笑ってごまかして!…くそっ!可愛い…!
僕は彼女にいつも、こうやって翻弄されてしまう。
飾り付けをひと通り終えて、離れて見て出来栄えを確認した。
「結構時間掛かったな。」
「でも、いい出来栄えです。」
「クリスマスツリー写真に撮ろうっと!」
牧田が携帯で写真を撮り始めた。
「クリスマス、子供たち楽しんでくれるといいですね。」
クリスマス…田宮と…過ごせたら…。
…聖夜を…一緒に…。
「クリスマスケーキってどんな味かな?」
「へっ?
田宮お前食った事ないのか?」
「あ…はい…。
クリスマス自体お祝いに参加した事ないから…。
いつも、部屋で独りでいました。」
そうか…君は…家族に…!
くそっ!あの大魔女はそういうやり方を!!
「じゃあ!銀子ちゃんが作ってあげようか?」
「田宮を殺す気か!!
お前の料理は人間の食べる物じゃね~!」
「ちぇ~~!
武ちゃんのいじわるう!
じゃあ!
武ちゃん、真朝にプレゼントしたげなよ。」
「えっ…。あ…。」
したいさ!そりゃ…彼女と過ごせるなら何だって…でも。
「ダメよ。銀ちゃん。
武本先生には一緒に過ごしたい女性がいるんだから。
ケーキはその人と食べるのよ。」
ほら…こうやって僕等の距離は遠のくんだ。
「今年は…金井先生がケーキもプレゼントも買ってくれると思うよ。」
僕は言いながら彼女から視線を逸らした。
胸の奥が痛い…苦しい…。
君にとって…僕は…僕の存在は…。
ひと言が欲しい…。
君の《好き》が欲しい…。
それさえあれば…僕は…!
「武ちゃん。
自分に自信持たなきゃダメじゃん。
自分が嫌いなの?」
牧田が僕を突いた。
「えっ…自分が嫌い…?」
…ボクハイラナイ…
あ!頭が…何だよ。痛え!
「武ちゃん!どったの?」
「だ…大丈夫。ちょっと頭痛が。」
「先生…。深呼吸して。」
田宮の手が僕の頬に触れた。
「はぁ…はぁ。」
彼女の顔が僕の真近にあった。
「ゆっくり…ゆっくり…。
少し座りましょう。」
僕は彼女の指示通りにその場に座り込んだ。
「大丈夫ですか武本先生!」
ロバ先生が駆け寄ってきた。
「大丈夫手です…。少し休めば。」
あれ…手が…。
気が付くと彼女が僕の手を握ってくれていた。
優しく、柔らかい手で…。
僕はそっと握り返した。
彼女は握り返した手を見て、ニッコリと笑った。
ああ…何で僕は…こんなにも
君を好きになってしまったんだろう…。
しばらく、休んだ後。
復活した僕とロバ先生は施設の電気交換やら修繕やらをして回った。
田宮と牧田は子供達の面倒を観に行っていた。
「ひと通り終わりましたね。
武本先生体調は大丈夫ですか?」
脚立から降りたロバ先生が心配そうに僕を見た。
「ああ、単なる偏頭痛ですから。
すいません。
心配かけまして。」
「良かったです。
あの…少し変な事聞いていいですか?」
「えっ…ええ。」
「久瀬君なんですが…。」
「ひえっ!久瀬ですか!?」
こら!ロバてめぇ変な事言いだすなよ!
「彼…好きな人いますよね。
武本先生ご存知ですか?」
「えっ…と。
本命の人がいるみたいですね。
って!僕じゃないですよ!
断じて!絶対!」
僕は思い切り否定した。
「ぷっ。でしょうね。
武本先生はそっちの人ではないですよ。
わかりますから。」
「はぁ…どうも。」
「久瀬君、寂しがりやだから。
クリスマスまでに上手くいくといいんですけど。」
「あ…そうですね。」
そっか…久瀬も…好きな人とは…過ごせないんだ…クリスマス。
今年のクリスマスは憂鬱だな…。
どうしよう。
渡せないのに、プレゼント用意してもな…。
僕は廊下の窓から外で子供達と遊ぶ彼女に視線を投げ掛けた。
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