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2学期
僕は試されてる
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少しして、清水先生が保健室に入って来た。
「おっ?田宮いねぇのか。」
「戻れと言ったので…。」
「ふーん。
ぶっ倒れたから心配してたが…。」
「何です?」
「いや…。別に。
スッキリした顔してんなぁって。」
「そうですね。
スッキリさせましたね。」
「さっきまでガキの顔してたくせに。」
清水先生は頭を掻きながら、丸椅子に座った。
「金井先生が田宮にプロポーズするそうです。」
清水先生に朝の出来事を話した。
「はああ?
頭のいい奴はやる事が突拍子もねぇな。
田宮はOKしないだろ。親も。」
「どうですかね。」
「あん?気にならねぇの?」
「それは田宮が決める事ですから。」
「ん…お前。ちょっと…。」
「そろそろ職員室に戻ります。」
僕は清水先生の言葉を遮って保健室を後にした。
職員室に戻った僕は期末テストの準備をサクサクと進めて行った。
保健室で寝たからだろうか。
身体が軽い。
頭の中もスッキリした気がした。
余計な事や悩みが全て何処かへ消えたような不思議な感覚だった。
このまま行けば田宮への気持ちをきっと隠しておける。
「おい!飯食いにいくぜ!
しっかり食わねぇと。
また倒れられちゃこまる。」
清水先生が僕の背中をポンポン叩いて言った。
「あ、はい。
もう…1時でしたね。
行きます。」
食堂は生徒もほとんどいない。
ガランとした状態だった。
「これなら、色んな話し聞けそうだな。」
「僕は別に特に話す事なんて…。」
清水先生は僕に栄養を付けさせようとカツ丼を2つ頼んだ。
広食堂のど真ん中に清水先生と2人向きあって座った。
「いただきます。」
「おう!食え食え!」
清水先生は意外にも話さず、僕が食べ終わるのを待ってくれた。
「じゃあ、食い終わったところで。
俺は初めてお前に会った時、違和感を覚えたんだが。」
「違和感ですか…?」
「多分…。
お前が田宮を初めて見た時もそうだったんじゃないかと思ってな。
地に足が着いてねぇような。
存在感の薄さだよ。」
「あ…。」
「やっぱり図星かぁ。
だから…始めは田宮と近づけるのは危険と判断したんだ。」
「死に近いって事でしょうか?」
「そこまではわからんさ。
感覚だからな。
別に確証があった訳じゃねーし。」
清水先生も久瀬と同じ感覚だったんだ。
「だが…それが偶然じゃなく必然だとしたら話しは別になる。
途中から俺は必然なんじゃないかって思い始めた。
運命なんて信じちゃいねぇが…それにかなり近いんじゃねーかってな。」
「どうでしょうね。
それにしては僕と彼女の間には障害があり過ぎると思いますけど。」
僕は意外にも冷静に清水先生の話しに受け答えしていた。
「確かにな…。
試されてる…そんな気がするな。」
「試されてる?
誰にですか?」
「ふふん。
そりゃ、神様だろ。」
「あ~。はいはい。」
「ってのは…冗談で…お前自身に試されてるんじゃないかなってな?」
「僕自身に試されてる…?」
「お前が破らなきゃならないのは、田宮との間の壁じゃねー。
お前自身が閉じこもってる壁なんじゃないか?」
「!!」
僕自身の壁…。
もしそれが本当なら…やはり、全てを思い出さなくてはいけない…。
だけど…どうやって…。
勉強会…でも…今の僕は彼女とそれをする勇気はまだ…。
「まっ、焦ってもしょうがねーけどな。
じっくり考えろや。」
それ以上清水先生は何も言わなかった。
清水先生は僕を本当に心配してくれている。
学生でもない、大人の25歳の僕の事を真剣に…。
本当、この人は凄いな。
僕は改めて清水先生を尊敬して彼に感謝した。
期末テストが終わるまでに…勉強会の答えを出さなくては…。
僕はどうしていいかわからず、夕方になって生徒指導室に隠れるようにして久瀬に電話を掛けた。
「おひさ!久瀬ちゃんです。」
「相変わらずだなぁ。お前。」
「変に暗くなるよりいいっしょ。
…で何かあった?田宮と。」
「《勉強会》に誘われた。
2人きりの。」
「…参ったな。
確かに武本っちゃん的には必要事かもしれない…けど…。
出来れば、断わってくれないかな?」
久瀬の口調が真剣に変わった。
「どうして、そう思うんだ?」
「言ったろ…。
最後の《勉強会》で俺は聞いてはいけない言葉を聞いた。
そして…田宮から遠ざかってしまった。
《勉強会》は最後に彼女を傷付ける…。」
「実は…以前《勉強会》に似た事を一度やった事があるんだ。
その時は3人だったけど。
特に…そんな感じじゃなく、雑談的だったが…。」
「マジか…何でもっと早く言ってくれないんだよ。
あのさ…催眠術っていきなりは掛からないだろ。
予備催眠ってのが必要なんだ。
つまり《勉強会》も同じなんだよ。
何回ものステップがあるんだ。」
「つまり…回数を重ねる事で、その意味が増すのか?」
「その通り。
言葉は悪いがマインドコントロールのように本人には自覚はない。
雑談や普通に話してるつもりなんだ。
いつの間にか思考が変わる…。」
「でも…僕は自分の記憶の欠落を埋める方法を見つけられないでいる。」
「そこだよなぁ…。
マジ参ったな。
タイムリミットもあるって言うのに…。」
「タイムリミット?何の話しだ?」
「詳しくは言えない。
なおかつ他の人にも、絶対に言わないで欲しい。
…田宮の命には…タイムリミットがある
別に病気とかじゃなく…。
18歳までがタイムリミットだ。」
「はああ?何だよ!
そんなの聞いてねぇぞ!」
僕はいきなりの情報に驚いた。
「言うつもりなんてなかったさ。
それまでに武本っちゃんが田宮を救えると踏んでたからね。」
「詳しくは…教えてもらえないんだな。」
「ああ。こいつだけは。
死んでも言えない事なんだよ。」
「わかった。
田宮には《勉強会》の件は一応断わっておく。
記憶の方は自分でどうにかしてみるよ。」
「俺も出来るだけ協力するから。
何かあればすぐに連絡くれよ。」
「わかった。
ありがとう。」
「こちらこそ…ありがとう。
武本っちゃん…。」
僕は久瀬の電話を切った。
田宮の命にタイムリミット…。
18歳まで…。
僕はどうしたらいいんだ。
僕に…何が出来るんだ…?
「おっ?田宮いねぇのか。」
「戻れと言ったので…。」
「ふーん。
ぶっ倒れたから心配してたが…。」
「何です?」
「いや…。別に。
スッキリした顔してんなぁって。」
「そうですね。
スッキリさせましたね。」
「さっきまでガキの顔してたくせに。」
清水先生は頭を掻きながら、丸椅子に座った。
「金井先生が田宮にプロポーズするそうです。」
清水先生に朝の出来事を話した。
「はああ?
頭のいい奴はやる事が突拍子もねぇな。
田宮はOKしないだろ。親も。」
「どうですかね。」
「あん?気にならねぇの?」
「それは田宮が決める事ですから。」
「ん…お前。ちょっと…。」
「そろそろ職員室に戻ります。」
僕は清水先生の言葉を遮って保健室を後にした。
職員室に戻った僕は期末テストの準備をサクサクと進めて行った。
保健室で寝たからだろうか。
身体が軽い。
頭の中もスッキリした気がした。
余計な事や悩みが全て何処かへ消えたような不思議な感覚だった。
このまま行けば田宮への気持ちをきっと隠しておける。
「おい!飯食いにいくぜ!
しっかり食わねぇと。
また倒れられちゃこまる。」
清水先生が僕の背中をポンポン叩いて言った。
「あ、はい。
もう…1時でしたね。
行きます。」
食堂は生徒もほとんどいない。
ガランとした状態だった。
「これなら、色んな話し聞けそうだな。」
「僕は別に特に話す事なんて…。」
清水先生は僕に栄養を付けさせようとカツ丼を2つ頼んだ。
広食堂のど真ん中に清水先生と2人向きあって座った。
「いただきます。」
「おう!食え食え!」
清水先生は意外にも話さず、僕が食べ終わるのを待ってくれた。
「じゃあ、食い終わったところで。
俺は初めてお前に会った時、違和感を覚えたんだが。」
「違和感ですか…?」
「多分…。
お前が田宮を初めて見た時もそうだったんじゃないかと思ってな。
地に足が着いてねぇような。
存在感の薄さだよ。」
「あ…。」
「やっぱり図星かぁ。
だから…始めは田宮と近づけるのは危険と判断したんだ。」
「死に近いって事でしょうか?」
「そこまではわからんさ。
感覚だからな。
別に確証があった訳じゃねーし。」
清水先生も久瀬と同じ感覚だったんだ。
「だが…それが偶然じゃなく必然だとしたら話しは別になる。
途中から俺は必然なんじゃないかって思い始めた。
運命なんて信じちゃいねぇが…それにかなり近いんじゃねーかってな。」
「どうでしょうね。
それにしては僕と彼女の間には障害があり過ぎると思いますけど。」
僕は意外にも冷静に清水先生の話しに受け答えしていた。
「確かにな…。
試されてる…そんな気がするな。」
「試されてる?
誰にですか?」
「ふふん。
そりゃ、神様だろ。」
「あ~。はいはい。」
「ってのは…冗談で…お前自身に試されてるんじゃないかなってな?」
「僕自身に試されてる…?」
「お前が破らなきゃならないのは、田宮との間の壁じゃねー。
お前自身が閉じこもってる壁なんじゃないか?」
「!!」
僕自身の壁…。
もしそれが本当なら…やはり、全てを思い出さなくてはいけない…。
だけど…どうやって…。
勉強会…でも…今の僕は彼女とそれをする勇気はまだ…。
「まっ、焦ってもしょうがねーけどな。
じっくり考えろや。」
それ以上清水先生は何も言わなかった。
清水先生は僕を本当に心配してくれている。
学生でもない、大人の25歳の僕の事を真剣に…。
本当、この人は凄いな。
僕は改めて清水先生を尊敬して彼に感謝した。
期末テストが終わるまでに…勉強会の答えを出さなくては…。
僕はどうしていいかわからず、夕方になって生徒指導室に隠れるようにして久瀬に電話を掛けた。
「おひさ!久瀬ちゃんです。」
「相変わらずだなぁ。お前。」
「変に暗くなるよりいいっしょ。
…で何かあった?田宮と。」
「《勉強会》に誘われた。
2人きりの。」
「…参ったな。
確かに武本っちゃん的には必要事かもしれない…けど…。
出来れば、断わってくれないかな?」
久瀬の口調が真剣に変わった。
「どうして、そう思うんだ?」
「言ったろ…。
最後の《勉強会》で俺は聞いてはいけない言葉を聞いた。
そして…田宮から遠ざかってしまった。
《勉強会》は最後に彼女を傷付ける…。」
「実は…以前《勉強会》に似た事を一度やった事があるんだ。
その時は3人だったけど。
特に…そんな感じじゃなく、雑談的だったが…。」
「マジか…何でもっと早く言ってくれないんだよ。
あのさ…催眠術っていきなりは掛からないだろ。
予備催眠ってのが必要なんだ。
つまり《勉強会》も同じなんだよ。
何回ものステップがあるんだ。」
「つまり…回数を重ねる事で、その意味が増すのか?」
「その通り。
言葉は悪いがマインドコントロールのように本人には自覚はない。
雑談や普通に話してるつもりなんだ。
いつの間にか思考が変わる…。」
「でも…僕は自分の記憶の欠落を埋める方法を見つけられないでいる。」
「そこだよなぁ…。
マジ参ったな。
タイムリミットもあるって言うのに…。」
「タイムリミット?何の話しだ?」
「詳しくは言えない。
なおかつ他の人にも、絶対に言わないで欲しい。
…田宮の命には…タイムリミットがある
別に病気とかじゃなく…。
18歳までがタイムリミットだ。」
「はああ?何だよ!
そんなの聞いてねぇぞ!」
僕はいきなりの情報に驚いた。
「言うつもりなんてなかったさ。
それまでに武本っちゃんが田宮を救えると踏んでたからね。」
「詳しくは…教えてもらえないんだな。」
「ああ。こいつだけは。
死んでも言えない事なんだよ。」
「わかった。
田宮には《勉強会》の件は一応断わっておく。
記憶の方は自分でどうにかしてみるよ。」
「俺も出来るだけ協力するから。
何かあればすぐに連絡くれよ。」
「わかった。
ありがとう。」
「こちらこそ…ありがとう。
武本っちゃん…。」
僕は久瀬の電話を切った。
田宮の命にタイムリミット…。
18歳まで…。
僕はどうしたらいいんだ。
僕に…何が出来るんだ…?
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