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2学期
恋の苦しみ
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金井先生が彼女に本気のキスをした…。
自分だってしたはずなのに…かなりショックだった。
おそらく、金井先生は僕がここで覗いてるのを確信してやったのだろう。
僕にしっかりと見せつける為に。
2人が出て行った後で…僕は旧理科準備室を後にした。
多分、彼女が僕を助ける行為をしたのが金井先生には不快だったのだ。
クリスマスイブ前だ…金井先生も勝負に出たいのだろう。
「はああ。」
僕は足取り重く、職員室へと向かった。
「おっす!武本!」
「おはようございます。清水先生。」
「お前、また落ち込んでんの?
毎回飽きね~かなそのマイナス思考。」
「はあ。気をつけます。」
確かに…このマイナス思考がいけない。
このままだとまた、僕は欠けてしまう。
胸ポケットからパグ犬のストラップを取り出した。
こんな顔を彼女には絶対に見せられない。
「今日からは一応いつも通り仕事して貰うが、生徒達はまだ落ち着いた訳じゃねぇ。
行動に注意しろよ。」
隣りにいた清水先生が僕の肩を叩く。
「はい。
なるべくスキを見せないように心掛けます。」
来週まで彼女に謝る事も出来ない…。
これ以上何か起こるのは好ましくない。
朝のホームルームが終わっても葉月は前日、清水先生にかなり注意されたようで今日はおとなしかった。
「おい!牧田!」
僕は1年4組に立ち寄った。
あ…牧田は田宮と話してたらしく、こちらを向いた。
朝の金井先生とのキスを思い出してしまう。
僕はとっさに顔を背けた。
「なあに?武ちゃん。」
「ちょっと来い!」
僕は牧田を廊下の端まで引っ張って行った。
「やってくれたな!」
「ありゃりゃ。バレちった。」
牧田は反省の色なく答えた。
「お前、男子更衣室盗撮なんてバレたら変態扱いされるぞ。」
「そこは大丈夫。
石井君の協力ありです。」
「あいつもグルかぁ。」
抜け目ないと言うか何と言うか…。
「で、用はそれだけ?」
「他に何か仕組んでないだろうな!」
「うん。
イケメン君の指示は全部終わったよん。」
「なら、いい。」
これ以上彼女に嫌な思いをさせたくはない。
僕は牧田をクラスに戻し、職員室へと向かった。
職員室に入ると金井先生が清水先生と話してるのが目に入った。
僕は存在感を消すように、そっと自席に着いた。
「武本先生!」
あ…金井先生に気がつかれた…。
今はあまり話したい気分じゃないんだが。
「どうです。
その後の精神状態は?」
「えっ…まあ。そこそこ大丈夫かな。」
本当は今まさに心中穏やかではない。
朝のキスの光景が脳裏にチラつく。
「感情や精神の欠落について色々資料を見ましてね。
武本先生の場合、防衛本能の変化した物ではないかと僕は思いまして。」
「防衛本能の変化?
…と言いますと?」
「自殺願望の検査結果があるのにその意識がないとなると、わざと自分に気が付かせないように、本能が防御したと考えられます。
あなたの中にそれ程強い防衛本能が働いているんじゃないかと。」
「防衛本能…それが欠落の本当の意味!?」
「あくまでも僕個人の見解を述べただけだと理解して頂きたいんですが。」
「あ…ありがとうございます。
参考になりました。」
金井先生は本当にいい人だな…。
男として出来すぎてるんじゃないのか?
「仕事ですからね。じゃあこれで。」
さりげなく、そう笑って職員室を去って行った。
12月も半ばに入り生徒達の浮かれ具合が加速して行く。
僕は1年4組の教室での授業の騒がしさに少々イラっと来ていた。
クリスマスが近いせいか、化粧のハデな女生徒はいるわ、男子の服装は乱れるわ。
盛りのついた猿供の馬鹿さ加減が一層加速していた。
「先生!クリスマスに女口説くテクニック教えてよ~!」
「バカ!武本に彼女いないじゃん!」
「葉月はぁ?ありゃ偽物か?」
「一緒にナンパしに行こうぜ!武本先生!」
バン!!
「静かにしろよ!騒ぎたいなら、冬休みに死ぬほど騒いでハメ外せ!」
黒板を叩いて叱り飛ばした。
しかし、生徒達の浮かれ具合はハンパなく静かにしたのは一瞬でまたザワザワし始めた。
「はあぁぁ。」
溜息をついて、視線を田宮に流した。
肘をついて、クラスメイトのざわめきを聞き流しているかのように、軽く伏せ目がちな表情で笑っていた。
僕はそれを確認すると、黒板に向き直って授業を続けた。
彼女に背中をむけながら僕は心の中で何度も呟いた。
…大好きだ…君の事が…たまらなく大好きで…今ここで…大声で叫びたいくらいに…。
君がそこにいるだけで…僕は…僕は…。
生徒達のざわめきも聞こえてこなくなった。
それ以上に僕自身の心臓の音がうるさくて、苦しい程に高鳴って行く…。
背中で僕は君を感じていた…背中で君に愛を叫んでいたんだ。
君には聞こえない…叫び声を上げていたんだ。
恋は痛みを伴う…本当だな…。
本当に胸が痛いよ…田宮…。
自分だってしたはずなのに…かなりショックだった。
おそらく、金井先生は僕がここで覗いてるのを確信してやったのだろう。
僕にしっかりと見せつける為に。
2人が出て行った後で…僕は旧理科準備室を後にした。
多分、彼女が僕を助ける行為をしたのが金井先生には不快だったのだ。
クリスマスイブ前だ…金井先生も勝負に出たいのだろう。
「はああ。」
僕は足取り重く、職員室へと向かった。
「おっす!武本!」
「おはようございます。清水先生。」
「お前、また落ち込んでんの?
毎回飽きね~かなそのマイナス思考。」
「はあ。気をつけます。」
確かに…このマイナス思考がいけない。
このままだとまた、僕は欠けてしまう。
胸ポケットからパグ犬のストラップを取り出した。
こんな顔を彼女には絶対に見せられない。
「今日からは一応いつも通り仕事して貰うが、生徒達はまだ落ち着いた訳じゃねぇ。
行動に注意しろよ。」
隣りにいた清水先生が僕の肩を叩く。
「はい。
なるべくスキを見せないように心掛けます。」
来週まで彼女に謝る事も出来ない…。
これ以上何か起こるのは好ましくない。
朝のホームルームが終わっても葉月は前日、清水先生にかなり注意されたようで今日はおとなしかった。
「おい!牧田!」
僕は1年4組に立ち寄った。
あ…牧田は田宮と話してたらしく、こちらを向いた。
朝の金井先生とのキスを思い出してしまう。
僕はとっさに顔を背けた。
「なあに?武ちゃん。」
「ちょっと来い!」
僕は牧田を廊下の端まで引っ張って行った。
「やってくれたな!」
「ありゃりゃ。バレちった。」
牧田は反省の色なく答えた。
「お前、男子更衣室盗撮なんてバレたら変態扱いされるぞ。」
「そこは大丈夫。
石井君の協力ありです。」
「あいつもグルかぁ。」
抜け目ないと言うか何と言うか…。
「で、用はそれだけ?」
「他に何か仕組んでないだろうな!」
「うん。
イケメン君の指示は全部終わったよん。」
「なら、いい。」
これ以上彼女に嫌な思いをさせたくはない。
僕は牧田をクラスに戻し、職員室へと向かった。
職員室に入ると金井先生が清水先生と話してるのが目に入った。
僕は存在感を消すように、そっと自席に着いた。
「武本先生!」
あ…金井先生に気がつかれた…。
今はあまり話したい気分じゃないんだが。
「どうです。
その後の精神状態は?」
「えっ…まあ。そこそこ大丈夫かな。」
本当は今まさに心中穏やかではない。
朝のキスの光景が脳裏にチラつく。
「感情や精神の欠落について色々資料を見ましてね。
武本先生の場合、防衛本能の変化した物ではないかと僕は思いまして。」
「防衛本能の変化?
…と言いますと?」
「自殺願望の検査結果があるのにその意識がないとなると、わざと自分に気が付かせないように、本能が防御したと考えられます。
あなたの中にそれ程強い防衛本能が働いているんじゃないかと。」
「防衛本能…それが欠落の本当の意味!?」
「あくまでも僕個人の見解を述べただけだと理解して頂きたいんですが。」
「あ…ありがとうございます。
参考になりました。」
金井先生は本当にいい人だな…。
男として出来すぎてるんじゃないのか?
「仕事ですからね。じゃあこれで。」
さりげなく、そう笑って職員室を去って行った。
12月も半ばに入り生徒達の浮かれ具合が加速して行く。
僕は1年4組の教室での授業の騒がしさに少々イラっと来ていた。
クリスマスが近いせいか、化粧のハデな女生徒はいるわ、男子の服装は乱れるわ。
盛りのついた猿供の馬鹿さ加減が一層加速していた。
「先生!クリスマスに女口説くテクニック教えてよ~!」
「バカ!武本に彼女いないじゃん!」
「葉月はぁ?ありゃ偽物か?」
「一緒にナンパしに行こうぜ!武本先生!」
バン!!
「静かにしろよ!騒ぎたいなら、冬休みに死ぬほど騒いでハメ外せ!」
黒板を叩いて叱り飛ばした。
しかし、生徒達の浮かれ具合はハンパなく静かにしたのは一瞬でまたザワザワし始めた。
「はあぁぁ。」
溜息をついて、視線を田宮に流した。
肘をついて、クラスメイトのざわめきを聞き流しているかのように、軽く伏せ目がちな表情で笑っていた。
僕はそれを確認すると、黒板に向き直って授業を続けた。
彼女に背中をむけながら僕は心の中で何度も呟いた。
…大好きだ…君の事が…たまらなく大好きで…今ここで…大声で叫びたいくらいに…。
君がそこにいるだけで…僕は…僕は…。
生徒達のざわめきも聞こえてこなくなった。
それ以上に僕自身の心臓の音がうるさくて、苦しい程に高鳴って行く…。
背中で僕は君を感じていた…背中で君に愛を叫んでいたんだ。
君には聞こえない…叫び声を上げていたんだ。
恋は痛みを伴う…本当だな…。
本当に胸が痛いよ…田宮…。
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