152 / 302
冬休み
僕が僕である為にその2
しおりを挟む
少し赤毛のくせっ毛で、切れ長の眼に、白い肌…。
世界を斜めに見てる。
繊細で…知的で…破滅的な彼。
時折、身体に青アザかがついていた。
見てると…消えそうで…僕は手を伸ばしてしまう。
僕の知らない世界を彼はいつも見ていた。
僕は君の親友になりたかった。
…そんな事…本当は無理なのに…。
「やっぱり…顔や姿は鮮明に思い出せてる…なのに…名前が出て来ない。」
僕は頭を抱え込んで溜息まじりに言った。
「つまり、友達の名前が心の蓋を開ける鍵なんじゃないかな?」
「認証って事か?」
「多分…。」
「あと一歩なんだな。」
僕は唇を噛んだ。
「どうする?田宮に《勉強会》やらせようか?」
「それは…。」
勉強会はあと1回で合計4回…。
どうしよう…自分自身は知りたい…けど…あと1回…それ以上は危険だ。
「少しだけ待ってくれ…。」
「わかった。」
慎重にならざるを得ない。
もう少し考えてみよう。
清水先生が僕に持っていた違和感…確か、普通に固執しているとか…。
逆に言えば傷害事件の前は普通ではなく、個性的な非日常が、すぐ側にあったと言う事だろうか?
それを否定する…それが普通に固執する事だとしたら…。
僕に取っての普通…普通って何だ?
「久瀬。お前は普通ってどう捉えている?」
「どうした?それ何かのキーワードか?」
「多分…以前、田宮と清水先生が僕について話してるのを、盗み聞いたんだ。
僕が普通に固執してるって。」
「普通ね~。俺に取っては程遠いワードだなぁ。
普通に固執って…武本っちゃんがかぁ。」
久瀬は腕組みして考え始めた。
「自分で普通を望んだのかな?」
「どういうことだ?
だって、僕自身の事だろ。」
「そうなんだけとさ。
自分で普通になりたい~なんて芸能人じゃあるまいし。」
「不自然か?」
「少なくとも、俺にはそう感じる。
もしかして、家族が武本っちゃんに望んだんじゃないか?
それも…強く…かなり強く望んだんじゃ。」
「家族が…望んだ…。」
確かに。
うちは母子家庭だったせいか、母親はいつも言っていた…普通に生活するのが1番だって…それって、どこの親もそうじゃないのか?
それとも…理由があって…そう言っていたのか?
ジグソーパズルがあちこち少しだけ埋まってる…そんな状況だ。
完成まで程遠い…。
やはり…《勉強会》は必要なのか?
「武本っちゃん。今日はこの辺にしよう。
焦っても行き詰まるだけだ。」
「仕方ないか…すまなかったな。
わざわざ来てくれたのに、結果出せなくて。」
「いやいや、武本っちゃんの思ってる以上に成果は出てると思うよ。
時間が掛かるだけで。
ヒントはいくつもあるんだ。
こっちも出来るだけ別方向から調べてみるよ。」
「ありがとう。
久瀬がいてくれて本当に助かるよ。」
「何それ。口説き文句に聞こえるよ。」
「なんでそう取るかな!」
久瀬が少しおどけてくれたおかげで、気楽になった。
少し焦り過ぎてるのかもしれない。
金井先生の事もあって…。
一応は前に進めてるんだ。
プラスに考えて行かないと…。
《勉強会》の精査を始めてからあの声があまり聞こえなくなった。
頭痛も以前よりは激しくない気がする。
絡まった糸は解けて来てるんだ。
《勉強会》のチャンスはあと1回しか無いではなく、まだ、あと1回あるんだって考えよう。
大丈夫。
最後のステップまで行かなければ、いいんだから。
「じやあ、そろそろ帰るわ。
来週から3学期だ。
頑張れよ。武本っちゃん。」
「おう!任せとけ。」
「頼もしい~~!」
久瀬が帰って行った後。
コーヒーカップを洗っていると誰かがやって来た。
ピンポンピンポン。
「久瀬かぁ?忘れ物でも…。」
ガチャ…。
「先生。来ちゃった。」
「葉月…!」
僕の思考は一時停止した。
よりによって…葉月 結菜が僕のマンションを調べ上げて訪ねて来たのだ。
「おじゃまします!」
呆然としてる僕の横を擦り抜けて、室内に強行突破された。
「こら!勝手に入るな!」
僕は葉月の腕を掴んだ。
冗談じゃない!今騒ぎを起こされたら!
「先生~~。痛い~。」
甘ったるい声で誘って来てるのがわかった。
「葉月…。ここは学校じゃない。」
「わかってますよ。うふ。」
「ハッキリと言うしかないようだな。」
僕はもう…迷ったりしない…。
「先生。私もハッキリと…。」
「嫌いなんだよ!
そういう色気で男落とそうとするゲスな女はな!」
僕は僕の葉月に対する本当の気持ちをぶち撒けた。
「な…ひどい!そんないい方!」
「ひどいもクソもあるか!それが僕だ!
若い教師が全員女子高生目当てだと思うな!」
例え…これで葉月が彼女に強行な態度に出たとしても…。
僕は彼女を守ってみせる。
僕は彼女を愛してるから…。
「先生…。私じゃダメなの?」
「ああ。ダメだな。
僕の心の中には誰よりも…愛してる人がいる。
その気持ちは揺るがない!絶対に!」
僕は教師の顔ではなく1人の男の顔でそう言った。
「誰ですか…それ…。」
「お前には関係ない!」
「くっ!」
葉月は僕の手を振り切り、部屋を駆け出して行った。
物凄い恨めしそうな目をしていた。
世界を斜めに見てる。
繊細で…知的で…破滅的な彼。
時折、身体に青アザかがついていた。
見てると…消えそうで…僕は手を伸ばしてしまう。
僕の知らない世界を彼はいつも見ていた。
僕は君の親友になりたかった。
…そんな事…本当は無理なのに…。
「やっぱり…顔や姿は鮮明に思い出せてる…なのに…名前が出て来ない。」
僕は頭を抱え込んで溜息まじりに言った。
「つまり、友達の名前が心の蓋を開ける鍵なんじゃないかな?」
「認証って事か?」
「多分…。」
「あと一歩なんだな。」
僕は唇を噛んだ。
「どうする?田宮に《勉強会》やらせようか?」
「それは…。」
勉強会はあと1回で合計4回…。
どうしよう…自分自身は知りたい…けど…あと1回…それ以上は危険だ。
「少しだけ待ってくれ…。」
「わかった。」
慎重にならざるを得ない。
もう少し考えてみよう。
清水先生が僕に持っていた違和感…確か、普通に固執しているとか…。
逆に言えば傷害事件の前は普通ではなく、個性的な非日常が、すぐ側にあったと言う事だろうか?
それを否定する…それが普通に固執する事だとしたら…。
僕に取っての普通…普通って何だ?
「久瀬。お前は普通ってどう捉えている?」
「どうした?それ何かのキーワードか?」
「多分…以前、田宮と清水先生が僕について話してるのを、盗み聞いたんだ。
僕が普通に固執してるって。」
「普通ね~。俺に取っては程遠いワードだなぁ。
普通に固執って…武本っちゃんがかぁ。」
久瀬は腕組みして考え始めた。
「自分で普通を望んだのかな?」
「どういうことだ?
だって、僕自身の事だろ。」
「そうなんだけとさ。
自分で普通になりたい~なんて芸能人じゃあるまいし。」
「不自然か?」
「少なくとも、俺にはそう感じる。
もしかして、家族が武本っちゃんに望んだんじゃないか?
それも…強く…かなり強く望んだんじゃ。」
「家族が…望んだ…。」
確かに。
うちは母子家庭だったせいか、母親はいつも言っていた…普通に生活するのが1番だって…それって、どこの親もそうじゃないのか?
それとも…理由があって…そう言っていたのか?
ジグソーパズルがあちこち少しだけ埋まってる…そんな状況だ。
完成まで程遠い…。
やはり…《勉強会》は必要なのか?
「武本っちゃん。今日はこの辺にしよう。
焦っても行き詰まるだけだ。」
「仕方ないか…すまなかったな。
わざわざ来てくれたのに、結果出せなくて。」
「いやいや、武本っちゃんの思ってる以上に成果は出てると思うよ。
時間が掛かるだけで。
ヒントはいくつもあるんだ。
こっちも出来るだけ別方向から調べてみるよ。」
「ありがとう。
久瀬がいてくれて本当に助かるよ。」
「何それ。口説き文句に聞こえるよ。」
「なんでそう取るかな!」
久瀬が少しおどけてくれたおかげで、気楽になった。
少し焦り過ぎてるのかもしれない。
金井先生の事もあって…。
一応は前に進めてるんだ。
プラスに考えて行かないと…。
《勉強会》の精査を始めてからあの声があまり聞こえなくなった。
頭痛も以前よりは激しくない気がする。
絡まった糸は解けて来てるんだ。
《勉強会》のチャンスはあと1回しか無いではなく、まだ、あと1回あるんだって考えよう。
大丈夫。
最後のステップまで行かなければ、いいんだから。
「じやあ、そろそろ帰るわ。
来週から3学期だ。
頑張れよ。武本っちゃん。」
「おう!任せとけ。」
「頼もしい~~!」
久瀬が帰って行った後。
コーヒーカップを洗っていると誰かがやって来た。
ピンポンピンポン。
「久瀬かぁ?忘れ物でも…。」
ガチャ…。
「先生。来ちゃった。」
「葉月…!」
僕の思考は一時停止した。
よりによって…葉月 結菜が僕のマンションを調べ上げて訪ねて来たのだ。
「おじゃまします!」
呆然としてる僕の横を擦り抜けて、室内に強行突破された。
「こら!勝手に入るな!」
僕は葉月の腕を掴んだ。
冗談じゃない!今騒ぎを起こされたら!
「先生~~。痛い~。」
甘ったるい声で誘って来てるのがわかった。
「葉月…。ここは学校じゃない。」
「わかってますよ。うふ。」
「ハッキリと言うしかないようだな。」
僕はもう…迷ったりしない…。
「先生。私もハッキリと…。」
「嫌いなんだよ!
そういう色気で男落とそうとするゲスな女はな!」
僕は僕の葉月に対する本当の気持ちをぶち撒けた。
「な…ひどい!そんないい方!」
「ひどいもクソもあるか!それが僕だ!
若い教師が全員女子高生目当てだと思うな!」
例え…これで葉月が彼女に強行な態度に出たとしても…。
僕は彼女を守ってみせる。
僕は彼女を愛してるから…。
「先生…。私じゃダメなの?」
「ああ。ダメだな。
僕の心の中には誰よりも…愛してる人がいる。
その気持ちは揺るがない!絶対に!」
僕は教師の顔ではなく1人の男の顔でそう言った。
「誰ですか…それ…。」
「お前には関係ない!」
「くっ!」
葉月は僕の手を振り切り、部屋を駆け出して行った。
物凄い恨めしそうな目をしていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる