手の届かない君に。

平塚冴子

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3学期

女の恨み

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ホールルームへ向かう僕の前に数人の女子が目の前に現れた。
1年3組の女子だ。
「先生…後で話があるんで玄関ホールまで来て下さい。」
腕組みをして威嚇してるかのような態度だ。
「後でと言われてもな。」
僕は警戒した。
おそらく、葉月の件だろう。
「昼休み…12時30分に。
食事を終えて来て下さい。
これでいいですね。」
さすがに、特進クラスの女子。
僕の反論に動じる事なく冷静に応えた。
「話しと言うのは何だ。」
「後でお話しします。
逃げないで下さいね。」
そして女子数人は教室へと入って行った。
「はぁ。」

本当に厄介だ。
女子ってのはどうしてこう、余計なオプションが付いて来るんだ?
あいつらマジ関係ないだろ。
…田宮ならそんな事、絶対にないのに…。

僕は深呼吸して、1年3組のドアを開けた。
クラスの生徒の視線がいつもと違った。
冷たく硬い…突き刺さるような視線だ。
でも、僕は大丈夫だ。
今朝…君に…元気を貰った。
ほんの少しの喜びが、僕を何倍も強くして行く。

「おはよう。ホームルームを始めます!」

大丈夫だ…ほら。
こうしてる間も…君を感じる…。

葉月はうつむき、視線を下に下げたままだ。
さっきの女生徒達はこっちを睨みながらヒソヒソと話してる。
僕はまったく気にかける事なくホームルームを終えた。

ホームルームを終えて1年3組の教室を出ると、1年4組はすでにホームルームを終えてるようで生徒達が廊下でわらわらと騒いでいる。
田宮と牧田が出てきた。
僕は足を止めて見つめていた。
彼女がこっちに気がつき視線を合わせた。
牧田が手を振ってくれた。
彼女は柔らかい笑顔で牧田と反対側に歩いて行った。

職員室に戻った僕は、清水先生に昼休み呼び出された事を話した。
「げっ!葉月の友達か?
ったく女子は面倒だなぁ。」
「ですね~。
で、昼休みはゆっくり話せませんのでご了承ください。」
「はああ?俺!
楽しみにしてたんだぞ!」
「デカい声出さないで下さい。
耳が痛いですから。
どっちにしても冬休みの話しは無理です。」
「どうしてだよ。」
「…そもそも、食堂でなんか話せる内容じゃないんです。
色々あって。」
「やっぱり…田宮とヤッたろ?」
清水先生はいやらしく目を細めて言った。
「違いますって!
そこは全面否定させて頂きますよ!」
「じゃあ、いつ話してくれるんだよ!」
「話しません。秘密です。」
「嘘だろ~~!
めっちゃ楽しみにしてたのに~!」
清水先生は椅子をクルクル回転させて拗ねまくっていた。

4時限目がそろそろ始まる。
1年4組の授業だ。
僕は少しだけ浮かれていた。
ヤバいよな。こんなデレデレの顔。
しっかりしなきゃ。
まだ、僕の脳裏には今朝の彼女のシャンプーの香りが残っていて僕は思い出すたびに興奮していた。
男って…バカだなぁ。
自分でそう思ってしまう。
「エロい顔だなぁ。
何を想像してんだよ!」
不機嫌そうに僕の顔を覗き込むように清水先生が言った。
「はいはい。
エロい事ですよ。
男ですからね僕も。」
「上司をあしらうなよ!かまえよ!
ああ!もう気になる~~!」
そこまでして、人の冬休みの話しを聞き出そうとする清水先生って…単なるゴシップ好きなのか?
「これから、田宮とラブラブで授業かよ!目と目で通じあっちゃうのかよ!」
「ンな訳ないでしょ。
清水先生こそ欲求不満ですか?」
「おう!欲求不満だ!」
威張って言うなよ。威張って。
「もう、行きますよ!遅れますから。」
僕は先生をそのままにして、スタスタと職員室を出た。

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