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3学期
…が好きなんだ
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その夜帰宅した僕は久瀬に電話を掛けた。
「今晩はあー!久瀬ちゃんの声が聞きたくなったかな?」
「毎度毎度、飽きないのか?」
「冷てえな。武本っちゃんは。
今寂しいんだよ!
安東先輩と連絡出来ないでしょ!
受験生を思う心は持ってるんだから。」
「あ~ハイハイ。
…で、相談なんだけど。」
「スルーすんなよ!寂しいんだよ!」
「わかった。わかった。」
「もういいや。話しって何?」
「《勉強会》やろうと思って。」
僕は久瀬のふざけた空気を打ち破るように言った。
「…本気なの?」
「ああ。本気だ。」
「待てよ!待てよ!わかってるんだろ!
4回目だぞ!4回目!これだから…。
気がついてんだろ。
《勉強会》は確かにじわじわ効いてきてる。
武本っちゃんが急成長してんのもそのせいだ。
けど…これ以上は…。
その覚悟があるのか?」
「あるつもりだ。久瀬。」
「…そうだな。覚悟したなら。
やってみるといい。
次《勉強会》の予想をしてみようか。」
「頼む。久瀬の助けでかなりのところまで来てるはずだ。」
「次回はおそらく、田宮は聞く事に重点を置く。」
「聞く事に?」
「武本っちゃんの引き出しを開けに来るんだよ。
こっからが田宮の本気と思って間違いない。
今までの揺さぶりとは違う。」
「僕の引き出しを開けにくる…田宮が…。」
「ありがとう。
参考にさせて貰うよ。」
「今回は…下手したら辛いかもしれない。
覚悟しろよ!」
「わかってる。」
僕は久瀬の電話を切った。
さて…《勉強会》の覚悟は決めたが、いつ行うか…。
スキー体験合宿もあるし…。
やはりその後か?
僕はその夜その事ばかり気にして眠りについた。
翌朝、金井先生の事もあり、旧理科準備室に行こうかどうか迷った。
けれど…やはり行こうと決めて、早めに出勤した。
旧理科準備室に入る前に携帯のGPSで田宮の登校を確認しようと思った。
「えっ!来てる?」
僕は旧理科準備室に入り、彼女の存在を確認した。
実験台の上で膝を抱えていた。
眠ってるのか起きてるのか、下を向いていて判断出来ない。
もしかして…昨日の金井先生の行為に…。
どうしよう…旧理科室に行った方がいいのか?
でも…また金井先生と鉢合わせしたら、田宮が余計に傷付くんじゃ…。
僕は爪を噛んで考えた。
携帯で電話しよう。
ここじゃまずいな。
僕は旧理科準備室をそっと抜け出し、廊下の角に隠れて電話を掛けた。
「武本先生?おはようございます。
何か…?」
彼女の声が心なしか、か細く聞こえた。
くそっ!なんて言えばいいんだ?
「…笑えよな。」
「武本先生?」
「笑ってくれよ。…頼むから。」
「先生…大丈夫ですか?あの…。」
「…えっと。…嫌なんだ。
田宮が落ち込んでるの…。調子狂うっていうか…。
今日、委員会あるだろ。気楽に楽しくやろう。
いつも通りに、塚本に怒られながらさ。」
「プッ。怒られるの前提なんですね。」
あ…やっと笑った。良かった。
「おう。張り合いないだろ。」
「そうですね。
委員会…楽しみにしてます。」
「覚悟しとけよ。」
「はい。」
電話を切りたくない…このまま話してたい。
…君の声が気持ち良くって。
「田宮…。」
「はい。」
「…なんでもない…。」
「意地悪ですか?」
「いや…好きだ…好きなんだ…。」
「えっ?」
「君の声が好きなんだ…。」
「そんな事、初めて言われました。
変な先生ですねー。
武本先生って。」
「ああ。そうだな。」
僕と彼女はしばらくそのまま、お互いの声を確認するかのように話して電話を切った。
「好きだよ…君の全てが…大好きだ。」
僕は廊下の角でそう呟いて、携帯を握りしめた。
僕は放課後の委員会を心待ちにしながら、職員室への階段を登った。
《勉強会》の話しは後で切り出そう。
今朝の彼女にそれを切り出す気にはなれなかった。
けれど…早く《勉強会》を行いたいのも事実だ。
どうにかして、話すチャンスを掴まないと…。
ここのところ、一般クラスのノリにやっとついて行けるようになって来た僕は、逆に自分の担任クラスのノリの悪さに幻滅していた。
とはいえ、そんな事を言う訳にもいかない。
1年4組はとりわけ居心地がいい。
彼女がいるせいもあるが、清水先生のクラスの雰囲気作りが上手いんだと改めて勉強させられた。
「清水先生は教師が天職なんですねきっと。」
昼休み後の職員室で呟いた。
「なんだよ!気持ち悪いな。
急に褒め殺しか?何もやらんぞ!」
「いりませんよ。
尊敬してるって言ってるんです。」
「今日の天気は台風か?嵐か?大雪か?
何かの前ぶれかよ!!」
隣で清水先生が僕をペンで突きながら言った。
「もう…。
もっと素直に喜んでくれないかな。
可愛い後輩が褒めてるのに。」
「わーい。」
清水先生は心のない喜び方をした。
「素直じゃないですね。
先生のクラスの生徒のノリがいいんですよ。
授業がしやすいというか…楽しく感じます。」
「ふーん。そうか、良かったな。」
「ええ。勉強になりました。」
清水先生はちょっと嬉しそうな表情をして僕の肩を叩いた。
午後の授業が終わって、放課後には委員会がある…。
「今晩はあー!久瀬ちゃんの声が聞きたくなったかな?」
「毎度毎度、飽きないのか?」
「冷てえな。武本っちゃんは。
今寂しいんだよ!
安東先輩と連絡出来ないでしょ!
受験生を思う心は持ってるんだから。」
「あ~ハイハイ。
…で、相談なんだけど。」
「スルーすんなよ!寂しいんだよ!」
「わかった。わかった。」
「もういいや。話しって何?」
「《勉強会》やろうと思って。」
僕は久瀬のふざけた空気を打ち破るように言った。
「…本気なの?」
「ああ。本気だ。」
「待てよ!待てよ!わかってるんだろ!
4回目だぞ!4回目!これだから…。
気がついてんだろ。
《勉強会》は確かにじわじわ効いてきてる。
武本っちゃんが急成長してんのもそのせいだ。
けど…これ以上は…。
その覚悟があるのか?」
「あるつもりだ。久瀬。」
「…そうだな。覚悟したなら。
やってみるといい。
次《勉強会》の予想をしてみようか。」
「頼む。久瀬の助けでかなりのところまで来てるはずだ。」
「次回はおそらく、田宮は聞く事に重点を置く。」
「聞く事に?」
「武本っちゃんの引き出しを開けに来るんだよ。
こっからが田宮の本気と思って間違いない。
今までの揺さぶりとは違う。」
「僕の引き出しを開けにくる…田宮が…。」
「ありがとう。
参考にさせて貰うよ。」
「今回は…下手したら辛いかもしれない。
覚悟しろよ!」
「わかってる。」
僕は久瀬の電話を切った。
さて…《勉強会》の覚悟は決めたが、いつ行うか…。
スキー体験合宿もあるし…。
やはりその後か?
僕はその夜その事ばかり気にして眠りについた。
翌朝、金井先生の事もあり、旧理科準備室に行こうかどうか迷った。
けれど…やはり行こうと決めて、早めに出勤した。
旧理科準備室に入る前に携帯のGPSで田宮の登校を確認しようと思った。
「えっ!来てる?」
僕は旧理科準備室に入り、彼女の存在を確認した。
実験台の上で膝を抱えていた。
眠ってるのか起きてるのか、下を向いていて判断出来ない。
もしかして…昨日の金井先生の行為に…。
どうしよう…旧理科室に行った方がいいのか?
でも…また金井先生と鉢合わせしたら、田宮が余計に傷付くんじゃ…。
僕は爪を噛んで考えた。
携帯で電話しよう。
ここじゃまずいな。
僕は旧理科準備室をそっと抜け出し、廊下の角に隠れて電話を掛けた。
「武本先生?おはようございます。
何か…?」
彼女の声が心なしか、か細く聞こえた。
くそっ!なんて言えばいいんだ?
「…笑えよな。」
「武本先生?」
「笑ってくれよ。…頼むから。」
「先生…大丈夫ですか?あの…。」
「…えっと。…嫌なんだ。
田宮が落ち込んでるの…。調子狂うっていうか…。
今日、委員会あるだろ。気楽に楽しくやろう。
いつも通りに、塚本に怒られながらさ。」
「プッ。怒られるの前提なんですね。」
あ…やっと笑った。良かった。
「おう。張り合いないだろ。」
「そうですね。
委員会…楽しみにしてます。」
「覚悟しとけよ。」
「はい。」
電話を切りたくない…このまま話してたい。
…君の声が気持ち良くって。
「田宮…。」
「はい。」
「…なんでもない…。」
「意地悪ですか?」
「いや…好きだ…好きなんだ…。」
「えっ?」
「君の声が好きなんだ…。」
「そんな事、初めて言われました。
変な先生ですねー。
武本先生って。」
「ああ。そうだな。」
僕と彼女はしばらくそのまま、お互いの声を確認するかのように話して電話を切った。
「好きだよ…君の全てが…大好きだ。」
僕は廊下の角でそう呟いて、携帯を握りしめた。
僕は放課後の委員会を心待ちにしながら、職員室への階段を登った。
《勉強会》の話しは後で切り出そう。
今朝の彼女にそれを切り出す気にはなれなかった。
けれど…早く《勉強会》を行いたいのも事実だ。
どうにかして、話すチャンスを掴まないと…。
ここのところ、一般クラスのノリにやっとついて行けるようになって来た僕は、逆に自分の担任クラスのノリの悪さに幻滅していた。
とはいえ、そんな事を言う訳にもいかない。
1年4組はとりわけ居心地がいい。
彼女がいるせいもあるが、清水先生のクラスの雰囲気作りが上手いんだと改めて勉強させられた。
「清水先生は教師が天職なんですねきっと。」
昼休み後の職員室で呟いた。
「なんだよ!気持ち悪いな。
急に褒め殺しか?何もやらんぞ!」
「いりませんよ。
尊敬してるって言ってるんです。」
「今日の天気は台風か?嵐か?大雪か?
何かの前ぶれかよ!!」
隣で清水先生が僕をペンで突きながら言った。
「もう…。
もっと素直に喜んでくれないかな。
可愛い後輩が褒めてるのに。」
「わーい。」
清水先生は心のない喜び方をした。
「素直じゃないですね。
先生のクラスの生徒のノリがいいんですよ。
授業がしやすいというか…楽しく感じます。」
「ふーん。そうか、良かったな。」
「ええ。勉強になりました。」
清水先生はちょっと嬉しそうな表情をして僕の肩を叩いた。
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