手の届かない君に。

平塚冴子

文字の大きさ
164 / 302
3学期

教師の品格

しおりを挟む
4時限目を終えて、昼休み。
僕は清水先生と食堂で昼飯を食べていた。
「じゃあ、上手く話せたんだな?」
「はい。お掛け様で。
ありがとうございます。
感謝してます。清水先生。」
僕と清水先生は向かい合って蕎麦をすすった。
「そっか。良かった。
…で姫と何話したんだ?」
「…やっぱり、話が聞きたくて旧資料室を貸してくれたんですね。」
「当たり前だろ!
それ以外の何だっつーの?」
やっぱり、清水先生は下衆牧師だ。

「はあ。」
《勉強会》の事を清水先生に話すのはちょっと…。
「昼飯…どうしても田宮の作ったおにぎりを食べたくて。
頼んだんです。
来週の月曜日に作ってくれって。」
「何だよそれ!それっぽっちかよ。」
「そうですよ。
一個100円で作って貰うんです。」
「有料!?お前、有料で昼飯頼んだのかよ!
愛情も何も無ぇーだろ!」
「いいんですよ。
この方が周りに気を使わずに済みますから。」
「ったくよぉ~!人がせっかく協力して、その結果がコレか?
せめてキスとかして来いよ!」
「担任のセリフとは思えないセリフですね。それ。」
「キス以外にも乳くらい揉めただろ!
2人きりの室内なんだから!」
「ぶっほっ!乳…ってキス以上じゃないですか!出来るかンなもん!」
思わず蕎麦を拭いてしまった。
「俺なんか、毎晩メグちゃんの乳揉んでるぜ!」
「何の自慢してんすか!あんたは!」
毎晩って…おい!
いきなりエロネタぶっ込まれた。
「つまんねぇー!
先進むどころか後退してんじやねーか!
クリスマスイブの勢いはどうしたんだよ!」
「大きな声で言わないで下さいよ!
まったく。
こっちにはこっちの事情があってですね…。」
「そんな悠長な事を言ってると、今度は逆に金井先生にかっさわれちまうぞ!」
「それは…。」

それはわかってる。明日だって…。
けど…僕の気持ちだけで突っ走っていい問題じゃないし。
彼女が今、僕に1番望んでるのはそんな事じゃないんだ。
だから…僕は…。
彼女の望んでる僕になる為に…。

今までの僕の恋愛は確かに、気持ちよりも欲望優先だったと思う。
しかも相手の言うがまま…。
でも…本気で思う。
この彼女への想いだけは違う…。
欲望なんかよりも…彼女為なら…僕は全てを…。

「まっ、姫相手じゃ金井先生も苦労するとは思うけどな。
ウブなくせに変にガード固いし。」
「あはは。言えてますソレ。」
「笑い事かよ。ソレお前だってそうだろ。」
「まぁ…そこが可愛いとこなんで。」
「けっ!M男だな。」
「よく言われますよ。はは。」
僕は清水先生と食後しばらくそんな話しをしてから職員室へと戻った。

職員室で資料室整理をしてると、塚本と望月がロバ先生の用事を終えて、僕の所に寄り道して来た。
「武本先生。
先生もスキー体験合宿参加でしたよね。」
塚本がやけにニヤニヤしながら話しかけて来た。
「一応担任だからな。
2年と合同だからよろしくな。」
「本当に楽しみです。
色々聞きたくてウズウズしてるんですよ!」
「えっ…?何が?」
おいおい、嫌な予感するぞ!
「今はとっておきます。
スキー体験合宿の夜に…うふふ。」
「ちょっと待て。
前々から言ってるが勝手な妄想はよせ。
僕は別に…。」
「別に男同士の恋愛だけじゃなくていいんですよ。
参考にしたいだけですから。
経験豊富な武本先生にご教授お願いしたいの。」
「誰が…経験豊富だ!」
「スキャンダル王子には2年の女子は興味深々なんですよ。」
「はああ?ふざけるなー!」
「あははー。先生よろしくね!」
塚本と望月は逃げるように去って行った。

嘘だろ…牧田もなに企んでるかわかんねぇのに…。
2年は一切担当していない分、何考えてんのか予想がつかない。
「マジか…。」
スキー体験合宿に行く前から、僕は疲れてしまった。

清水先生が自席に戻って来たので、2年の事を少し聞いてみた。
「2年?ああ。確かにゴシップ好きな生徒が多いかもな。」
「やっぱり…。」
「でも、ネガティヴな噂よりポジティブな方が多いかもなノリがいいって言うか。」
「ポジティブだからいいってもんじゃないんだよな。なんだかな~。」
「噂されてるうちが華だよ。
ジジイになったら関心すら持ってもらえなくなるからな。」
「そういうもんですかね。はぁ。」

「そういや、1年3組は特進だからか雰囲気違うよな。
堅苦しい感じとかギスギスした感じがあんまり合わね~な。俺には。」
「すいません。僕自身そう思います。」
「コミュニケーション足んねぇんだよ。もっと打ち解けないとな。」
「ですね…。
1年4組はその点やり易いんですよね。
出来上がった感あるし。
やっぱり、腕の違いを感じますよ。」
「おっ。褒めてんのか?俺を。」
「ええ、その点では尊敬してますよ。」
「その点ってなんだよ!その点てのは。
まったく可愛げないんだよ。お前は。」
僕は周りのせいにしてばかりじゃ自分のクラスは良くならないと、最近になってやっと気が付いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

処理中です...