手の届かない君に。

平塚冴子

文字の大きさ
172 / 302
3学期

スキー体験合宿1日目その5

しおりを挟む
午後6時。
参加者全員の点呼を確認し終えて食堂での夕食が始まった。
クラスごとに分かれて生徒は座っている。
「ほっ。」
これなら変な奴に声掛けられる事もないか…。
職員は固まって職員席での食事だ。
「何か気になる事でもあったのか?」
「あ…姫が…ナンパされました。
2年の男子に…。」
「ほーお。若い奴は容赦ないからな。
気をつけないと、身体目当ての奴にさらわれるぞ。」
「かっ!身体って!」
「こういうイベント事を勘違いしてるガキは必ずいるんだよ。マジな話し。」
「させませんよ!絶対に!」
「ってか、俺に言わせればさせないよりも、お前が先にやれよって話しだけどな。」
いやらしい目つきで僕をからかった。
「出来るか!ンな事!クビになるわ!」
僕は真っ赤な顔でソッポを向いた。
「まっ、我慢しすぎんなよ。
常識ばっかりに囚われてたら、大事な物見失うぞ。」
清水先生は真剣な口調でそう言った。
「…!」

わかってるさ。そんなの。
彼女が僕を好きなら僕だって…。
仕方ないだろ。
片想いなんだから…。
僕ばっかり好きになってる今の状態でどうすれってんだよ!
僕だって…わかんないんだ…。

せめて…教師と生徒なんて関係じゃなければ…僕だって…。

けど…僕だって黙って見てるだけじゃない。
出来れば…僕の気持ちを伝えたいと思ってる。
この押さえきれない、爆発しそうな想いを彼女に伝えたいんだ…。

僕の視線は自然と彼女のいるテーブルへと流れた。
彼女は僕に気がつく事なく食事をしていた。


食事を終えて食堂から出るとロバ先生から声を掛けられた。
「武本先生、これから女子の大浴場解放が1時間あります。
毎年なんですが…変な動きをする男子がいるので、数人の教師と監視をしなければなりません。
今日は僕と武本先生でよろしくお願いします。」
「あ、はい。
覗きですか…ガキのやる事ですね。
まったく。」
「まぁ、若いと衝動を抑えられなくなる生徒もいますので、こちらが気を付けないと。」
ロバ先生は苦笑いして僕の背中をポンと叩いた。

僕とロバ先生はその足で大浴場の入り口付近に待機した。
10分くらいすると女子がゾロゾロとやってきた。
ジャージ姿の者もいればスウェットなどの私服の者もいた。
中には場違いなセクシーパジャマの者もいて、目のやり場に困った。
…これは、勘違いする男子がいて当然か?

「あ!武ちゃんがいるー!」
牧田の声が聞こえてきた。
思わず速攻で振り返った。
牧田は派手なスウェットの上下で、田宮がピンクのパーカーに白のショートパンツで立っていた。
「あら。先生は監視ですか?
まさか…覗きの方じゃないですよね。」
田宮はイタズラっぽく僕を指差した。
「何で堂々覗きすんだよ!」
「ふふふ。冗談です。」
僕は田宮に反論しながら視線は彼女のショートパンツから出ている綺麗な脚に釘付けになっていた。
もう!脚隠せよ!くそっ!興奮しちまう!

「真朝ぁ~!一緒に背中流しっこしようね~。」
「わかったわ。」
彼女達の会話が耳に入って来た。
そして、牧田と彼女が中に入って行った。
…背中を流しっこって…田宮の背中…白いんだろうな…肌綺麗だし…。
やべぇ。想像しちまう~~!
鼻血が出そうになるのを必死で止めた。

女子の大浴場解放時間が残りわずかとなり、風呂上がりの女子がゾロゾロと流れ出て来た。
「武本先生!」
「何だ?塚本。」
風呂上がりの塚本が話しかけて来た。
「この後、男子の大浴場解放時間ですけど、先生は入ります?」
んん?何をいきなり聞いてくるんだ?
「いや、シャワー入ったし僕は今日はいいや。」
裸の付き合いどころか、変にイジられそうな気もするし。
「本当ですね!」
「えっ?」
何が?何か変な会話じゃね?
塚本はそれだけ確認して去って行った。
結局、塚本と話してる間に田宮も部屋に戻ってしまったようで、湯上がりの彼女を見る事は出来なかった。

僕は大浴場の監視を終えて、ロバ先生と分かれて自分の部屋に戻ろうとした。
あ…!
僕の部屋の前に田宮がいた。
「こんなところで何してるんだ?」
「武本先生…あの…えっ…とお話しが…。」
何だか歯切れの悪い言い方で困惑た表情で彼女が僕を見た。
風呂上がりの肌が薄くピンクに色づいて僕は彼女の仕草に余計にドキドキした。
「話って?」
「あ…いえ。やっぱりいいです。」
彼女はそう言って走り去ろうとした。
「おい!待て…本当何があった!」
僕は慌てて階段のところで、走る彼女の腕を掴んだ。

登り階段に異様な雰囲気を感じ、視線を流した。
「はっ?」
2年の女子の集団だった。
2年の女子が数人雪崩れ降りて来て、僕を囲んだ。

「武本!確保!」
ガチャ!
「はああ!?」
塚本の指示で僕の手はいきなり後ろに回されてオモチャの手錠がはめられた。
「先輩!話しを聞くだけって…。」
田宮が慌てて止めに入ったが、聞く耳なんて持っていなかった。
「連行!」
田宮ごと、僕を2年の女子は押し上げて、上の階の部屋に連れ込んだ。

「あ!武本が2年にさらわれた!」
下の階で1年が声を上げたのが聞こえた。
これは…騒ぎになる予感しかしねぇ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

処理中です...