手の届かない君に。

平塚冴子

文字の大きさ
174 / 302
3学期

スキー体験合宿2日目その1

しおりを挟む
スキー体験合宿2日目。
この日は中日で級取得希望者のみがスキー場へ、他の生徒は市街地の観光をする事になっていた。
一旦市街地へはバス移動して駅前から自由行動になる。

僕は朝から昨日の疲れと、今日の観光で牧田が何か仕掛けてる不安で死人のような顔をしていた。
「大丈夫ですか?
昨晩はうちの2年が本当にご迷惑をお掛けしまして…なんと謝っていいやら。」
食堂へ向かう廊下でロバ先生が申し訳なさそうに僕に声を掛けてきた。
「気にしないでください。
イベント事で浮かれ過ぎただけでしょうから、あまり怒らないであげて下さい。」
僕は当たり障りのない言葉を返した。

本当はすげ~嫌だったけど…田宮とあんなに接触出来たのもそのお掛けだし…。
接触って…おい!マジヤバかったなあれは…理性飛ばなくて良かった。

朝の食堂は恐ろしい空気に包まれていた。
1年女子達と2年女子達が睨み合いをしていたのだ。
「武本先生は1年担任の先生です!
2年はまったく関係ないので連れ回さないでいただけます?先輩方!」
「いいじゃない!
こういう時しか2年とのコミュニケーションは取れないんだし。
それに、あんなに面白い先生を1年が独り占めなんてズルいわ。」

おいおい!なんだよ!
僕が原因でなんでバトってんの?お前等!
面白い先生ってなに?
どういうポジションだよ!
また、ややこしい!
頼むから放っておけよ!僕の事は!

「面白い~?
カスいだけでしょ。
授業は面白くないし。
イケメンでもないし。」
「そうなの?
スキャンダル多いでしょ。
その話ししないの?
生徒に色目使ったりセクハラしたり。」
「する訳ないじゃん!基本ビビりだし。
ノリ悪いんだから!
担任の3組なんて真っ暗よ。」

おいおい!
途中から悪口合戦になってるし!
意味ね~!
僕の方が恥ずかしい!
ここに居たくね~~!
僕は恥ずかしさのあまり、自席で丸くなってしまった。

「ハイハイ!その辺でやめて下さい。
2年も昨日の事は反省して、静かにして下さい。
1年も2年の挑発に乗らないで。」
ロバ先生が間に入って静止した。
「とにかく、食事をしましょう。
観光グループのバスの時間もありますし。
急いで下さい。」

「変な人気出てきたな。けけけけっ。」
「ウケないで下さい。
もう、だから基本的には女子高生は苦手なんだ。」
清水先生は僕の隣りで仰け反って笑っていた。
「ま、確かに姫みたいなタイプは珍しいよな~。
あれに行くと、他の女は別モンに見えるだろうな。
わかる、わかる。」
「何がわかるんですか?」
「…ん…あ、いや…遥も似たタイプだったからな…。」
「あ…!」

そうだった…清水先生が心から愛した女性もまた…死に魅了されていた。
そして…彼女以上に愛する女性はいない。
奥さんだってそれを承知してるくらいだ。

「…清水先生…僕は彼女を死なせません。
絶対に!」
「おう、俺は今のお前に賭けてるんだ。
頼んだぞ。」
「はい。」
「じゃあ、食え!体力付けろ!」
「はい!」
僕は朝食を口いっぱいに頬張った。

観光グループは朝食後、ホテルのロビーに集合した。
「えー。観光グループはこれから駅前までバス移動します。
駅前から自由行動になります。
くれぐれも節度ある行動をして下さい。
緊急連絡先は各クラスの実行委員専用の携帯電話に連絡。
実行委員は緊急性のある事例と判断した場合、速やかに担当学年の先生に連絡をして下さい。
また、個人での行動は禁止です。
グループで行動して下さい!以上!」
ロバ先生が拡声器で生徒に説明した。

1年と2年各2台のバスに乗せ駅前まで移動した。

バスを降りて駅前から自由行動開始だ。
観光グループ実行委員は残って、教師と打ち合わせの後、学年ごとに移動となる。
「ちぃ~す!武ちゃん!シミ先!よろぴく!」
牧田が手を上げながら近寄って来た。
「シミ先!後で武ちゃん貸してよ!」
「あん?貸す?」
清水先生が眉を潜めた。
「貸すってなんだよ。
レンタルじゃねーんだぞ。
聞いてないしンな話し!」
僕は声を荒げた。
「…いや。持ってけ!
なんなら今すぐでもいいぞ!」
「はああ?清水先生!
何、牧田に乗っかってんですか?」
清水先生はそう言うとスタスタと歩いて行ってしまった。
「な!ちょっと!」
「武ちゃん!イベントは楽しまなきゃ!」
牧田がニヤニヤしながら僕のダウンジャケットを引っ張った。

ハメられてる!何かやっぱり企んでやがるこいつ!

牧田は僕と一緒の行動と言う理由で他の生徒と一旦別行動を取った。
実行委員のやりたい放題だな!

「武ちゃん、真朝の居場所わかるんでしよ。」
「へっ!?な、何の事やら…。」
GPS探索のことか?
「イケメン君から聞いてるよん!」
「くそっ!」
久瀬の奴~余計な事を!
「タクシー飛ばして真朝を捕まえるわよん!」
「お前!何企んでるんだよ!」
「イケメン君のバックアップで最高の演出をしてますの!
お楽しみに~~。」
「久瀬とお前が組むとロクな事ねぇじゃねーかよ!」
僕は頭を抱えその場に座り込んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

処理中です...