手の届かない君に。

平塚冴子

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3学期

スキー体験合宿2日目その2

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僕は牧田に命ぜられるまま、田宮の位置を確認した。
僕と牧田はタクシーに乗り込むと田宮のいる雑貨屋を目指した。

雑貨屋の前で僕等はタクシーを降りた。
「ちょっと銀子ちゃんは、お電話してるから真朝とお店で遊んでて。」
「電話?怪しいな。」
「いーから。いーから。」
僕は牧田の言うままに雑貨屋に入った。
数人の生徒が買い物をしていた。
奥にいる田宮を見つけ声を掛けた。
「田宮…?」
彼女は万華鏡を覗いていた。
「あら、武本先生も買い物ですか?」
「あ、いや…その。
万華鏡…好きなのか?」
「ええ。綺麗ですよ。
不規則的と規則的が混同してる美しさが。」
「そう…なのか…?」
うーん、わからん!
彼女は楽しそうに品物を見て行く。
そんな彼女を見て僕も楽しくなって来た。

「お待たせ~!真朝!武ちゃん!」
牧田が店に入って来た。
「あら、銀ちゃん。」
「牧田、電話は…」
僕が言い終わる前に牧田が急に叫んだ!

「大変~~!真朝!大丈夫?高熱だよ~!!」
僕と田宮の目が点になった。
何だよ、この三文芝居は。
「武ちゃん!真朝をホテルまで送って!私がこっちに残るから!」
「!!」
こいつ!!まさか…僕と田宮を2人きりにさせる為に!?
「ささー!早く早く!」
僕と田宮は牧田に店から押し出された。
 牧田に押し出された僕等の前に見覚えのある車が止まっていた。
黒のジャガー!

ブルルルブルルル
久瀬からの電話だった。
「はいはい。心の恋人久瀬です。」
「どういう事だ!訳がわからん!」
「いーからさ。ね、車乗ってよ。
後は運転手が連れてってくれるから。
僕は学校あるし。
こうやって電話する時間も限られてんだ。」
「ってなぁ。お前!
僕だって一応仕事中で…。」
「そこは、銀子ちゃんが上手くやってくれるから。ねっ。」
「ねってなぁ~。」
…車まで用意して貰ってちゃ断れないだろ。
「わかった。いう通りにするよ。」
僕は久瀬の電話を切って、いう通りに田宮と車に乗り込む事にした。

「行ってらっしゃ~い!」
牧田が車の外で手を振って見送った。

「ったく、何考えてんだか。
田宮は何も知らされてないのか?」
車の中で脚を組んで窓に肘を付けて田宮を斜めに見た。
「はい。何も。
まさか…久瀬君と銀ちゃんが仲良しなんて知らなくて。」
「あ…。」
そうだった…以前ハメられた時の事を田宮は知らないんだった。
久瀬と牧田がニセの僕の写真をばら撒いた事を…。

「先生。
…昨日は本当にごめんなさい。
私、詳しく聞かされてなくて…。
武本先生呼んで来てって言われて…でも、どこか、おかしいって思ってたのに。」
彼女は昨日の出来事を気にしていた。
「田宮は悪くないだろ。
どう見たって、塚本の悪ふざけだ!
気にすんなよ。
教師やってりゃ、ああいうトラブルも想定内だよ。」

本当はメチャメチャ想定外だったよ!
ってか、教師の仕事内容じゃねーよ!
あんな事は!
女に襲われるかと思ったぞ!
マジ貞操の危機を感じたぞ!

「後さ…その…部屋着のショートパンツはやめろ。
その…男にはちょっと…。」
「ダメなんですか?
荷物が軽くなるからアレにしただけなんですけど…そうですか。
わかりました。やめます。」
ホッとした。
いや、僕は大好きだよ、あの格好!
けど…他の男にあの姿は見せたくないんだよ!
僕のわがままだけど…。

車が止まって、僕等は車を降りた。
「何だよ、ここ。」
「何ですか?」
白い大きな洋館のような建物。
アンジュ・フォトスタジオと書かれている。
「写真館?」
ってか、田宮は写真NGだって久瀬は知ってるよな…?
どういう事なんだ?
僕と彼女は顔を見合わせた。
「とりあえず、入ってみましょう。
話を聞いてから判断しても遅くはないと思います。」
彼女が冷静判断で言った。
「そうだな…とりあえず入るか。」

「いらっしゃいませ!
お待ちしていました。
久瀬様のご招待の方ですね。」
中から上品な白いスーツの女性3人が現れた。
「あの…実は詳しい説明を受けていなくて…。」
「まぁ、そうですか。
我がアンジュ・フォトスタジオはお一人様専用の記念写真を専門に扱っています。
芸能人の宣材写真などもありますが、主に力を入れているのが、お一人様による、《ウェディング・フォト》なのでございます。
久瀬様にもそちらを依頼されています。」
「ウェディング!?」
僕と田宮は固まった。
想像もしていなかった事に思考が追いついていなかった。

でも…何故久瀬は写真を…?
目的は何だ?久瀬が何をさせたいのか。
考えろ…。もっと…意味を…。
あれ…。
「田宮…お前の写真NGの理由って記録に残るからだよな。」
「はい。
不特定多数に見られるのはちょっと。」
不特定多数…逆に捉えると…。
「じゃあ。僕だけが見るならいいんだな。」
「えつ?何です?」
「僕が所持して他の人には絶対見せない。
それなら、いいよな。」
「え…っと。
確かに不特定多数ではありませんね。」
答えが見えた!
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