手の届かない君に。

平塚冴子

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3学期

スキー体験合宿3日目その4

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レクリエーションではダンスパーティーが行われるらしい。
軽音部の部員がギターのチューニングをしていた。
「大音響は無しだぞ~!適度にな!」
清水先生か注意を促した。
「何か、これを気にカップルとかできそうですね。
よくあるパターンだし。」
僕はロバ先生に話しかけた。
「その為もあるんですよ。
やっぱり青春を謳歌するには適度な恋愛も必要なんですよ。
変に非行に走られるよりマシです。」
「うわ…意外に腹黒い考えなんですね~。」
まぁ、確かに。
その方が健全な青少年だよな。
不純異性交遊禁止だー!なんて、言ってる教師が学生の時はヤッてんだろって話しだろうなぁ。
清水先生…中3の夏って結構早くないか?
「何だよ。俺の顔になんかついてるか?」
「あ、いえいえ。」
思わず清水先生ガン見しちゃったよ。
2年と同じ猿だよなぁこれって。

ダンスパーティーかぁ。
僕は大っぴらには田宮と踊れないだろうなぁ。
あくまで監視が仕事だし、施設内点検に途中から抜けなきゃならない。
教師ってつまんね~!
学生に戻りてぇ~!

いかんいかん!
こんな事考える暇なんてなかった。
告白!告白!
彼女に告白するんだ僕は。
集中してそれに全力投球しなきゃ。
…でも、まさか僕のいない間に…また2年とかナンパしないよな…。
「清水…先生…お願いが…あります。」
「何だよ!その苦虫噛んだような喋り方は!」
「その…点検に行ってる間…。」
「ああ、他の男に取られないようにすれってか?」
「……はい。その通りです。」
金井先生だけでも厳しいのに、これ以上の敵は作りたくない…。
「この前の手錠でも着けて連れて歩けよ!」
「出来るか!ンな事!」
「ったく。面倒臭いな。
後で何かおごれよ。」
「はい!喜んで!」
僕は清水先生に僕のいない間の彼女を任せた。

2時になり、生徒達が思い思いの私服で大広間に入ってきた。
着ぐるみやコスプレの奴までいる。
まさにお祭り騒ぎだ。
激しい軽音部の演奏も始まった。
彼女は塚本達と一緒にいた。
牧田が実行委員だからかな。
淡いピンクのセーターに白いデニムパンツで髪は左右白いヘアピンで留めてあった。
僕は数秒間見とれていたが、仕事があるので彼女達と入れ違いに大広間を出た。

「やっぱり、制服より私服がいい。
超可愛いかった。」
僕は呟きながら施設内点検に向かった。
施設内点検とはホテル内にうちの生徒がイタズラ書きや破壊行為がなかったかを事前にチェックするものだ。
SNSにアップする為にわざと悪さをするガキもいる事から教師が目を光らせなければならないなだ。

僕は広いホテル内を行ったり来たりして、チェック項目を潰して行った。

ふと窓に映ってる自分の姿を見る。
告白するのに…やっぱり格好つけるのはやめておこう。
このままのイケてない大学生みたいな感じが僕の本当の姿だ。
この姿のまま彼女に告白しよう。
僕は肩の力を抜いた。
今日の告白は彼女に答えてもらうものじゃない。
僕がそうしたいから…僕の気持ちを知ってもらいたい…そのた為の告白だから。
そして…スッキリした状態で《勉強会》に挑むんだ。
僕は清水先生から借りたロザリオを手に告白成功を祈った。
窓の外には雪が降っていた。
ふわふわとした柔らかそうな…まるで天使の羽根のように。

点検を終えて大広間前に戻ると、田宮が廊下の壁にもたれ掛かっていた。
「おい。どうした?
体調が悪くなったのか?」
僕は心配になって声を掛けた。
「先生…。
ちょっと…人に酔っただけです。
こんな大勢の人数で派手な音楽って、疲れちゃうみたいで。」
「そうか…。水、持って来ようか?」
「いいえ。気にしないで下さい。
少しここで休めば大丈夫ですから。」
「無理…すんなよ。
部屋に戻るか?ベッドで休んだ方が…。」
げっ…なんか自分でもすげぇいやらしいセリフ吐いた気がする。
よくある、介抱するフリでホテル連れ込むオヤジみたいだ…。
「そうですね。そうします。」
おいい!簡単に掛かるな!
もう少し牽制しろ!
僕じゃなきゃヤバいんだよ!
こういうシチュエーションは!
まったく…。
「歩けるか?」
「はい。ゆっくり歩けば。」
「…辛かったら、掴まれ。」
「はい。」
彼女は僕の左腕のシャツを優しく掴んだ。
手ぇ…握ろうかな…でも、これはこれで結構嬉しいんだよな。
可愛いいい!

僕は彼女をゆっくりと部屋まで送り届けた。
「食事まで時間があるからゆっくりやすめ。」
「ありがとうございます。」
「あ…あの…さ。」
「…はい?」
「今夜…2人きりで話したい。
牧田に協力して貰う約束してるから…。
午後10時に抜け出して最上階ラウンジの廊下に面したバルコニーまで来てくれないか?」
「今夜10時ですか?
外に出るんですよね。
コート必要ですよね…わかりました。
準備して行きます。」
「ありがとう。
よろしく頼むよ。」
「では失礼します。」
彼女は部屋の扉を閉めた。
「…準備万端!」
僕は浮き足だったまま、大広間に引き返した。
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