手の届かない君に。

平塚冴子

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3学期

自分への恐怖

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《勉強会》を終えて、僕は一旦職員室へ戻った。
予想外の展開に頭の中は整理するどころの騒ぎではなかった。
僕の危険…僕の中の僕はそれほど危ない人格なのだろうか?
劣等感は確かに強かったみたいだが…。
この前の時に消えた性格はどちらかと言うと女々しい性格だったような気がする。
彼女の目に見えた僕はなんなんだ?

次回…もし、彼女を傷付けるような事をしてしまったら…僕は立ち直れなくなる。

僕は自席で頭を抱えた。
やはり久瀬に相談してから考えよう。
僕1人で考えると、悪い方にすぐ考えてしまう。
何か別な意味があるかも知れない。

僕は夜まで待って、GPSで彼女の帰宅を確認して速攻でマンションに帰ると、携帯から久瀬に電話を掛けた。
「はいは~い!待ってました!久瀬君です!」
「《勉強会》終わったよ。」
「んん?やっぱり、今回のはキツかったか?」
「う~ん。どうかな。
ただ…次回もやる気らしい。」
「うわー来た!マジで…。」

「よく聞いてくれ。
久瀬…次回はお前に同席して貰う。」
「それは構わない。
元々そのつもりだし。」
「いや…同席の意味が違う。」
「意味が違う?」
「どうやら、僕のストッパーになって貰う事になりそうなんだ。」
「えっ…何?何?ストッパー?なんで?」
「僕が暴れる可能性があるらしい。」
「はああ?武本っちゃんが暴れる?
なんだよ!その予想外の展開は?」
「わからないが田宮は、そう感じてる。
危険だからもう1人必要だと。」
「…つまりは、《勉強会》の山場を迎えるって事だろうな。
最終ステップも近そうだ…。
まあ、もちろん俺も参加させて貰うから安心しろ。
とりあえず、《勉強会》の内容をざっくりでいいから話してくれ。」

「やはり、記憶を探る事に重点を置いたものだった。
まずは…友達と僕が引き離された経緯を思い出した。
後は彼が家族から虐待を受けていた事。
そして…傷害事件の映像。
僕を憎んでるはずの彼が傷付けたのは他の人数人…。
憎しみの定義が違うと言われた。
で…後は僕の性格…劣等感の塊だった僕と破滅的な彼…僕等の関係は単なる仲良しのお友達ではなかった…。
世界を共有していた…。
破滅的で狂った世界の共有…。
僕は普通の子供なんかじゃなかった。」
「武本っちゃん…。」
「後は…記憶はないが。
僕が暴行を受けてる形跡があった。」
「暴行…確かこの前も…。
わかった。
とりあえず、精査の日にちを決めないとな。
でも…出来れば感覚開けたくないな。」
「僕もそう思ってた。
出来ればすぐに精査に取り掛かりたい。」
「うーん。
明日、そっち泊まりに行ってもいいかな?」
「えっ…泊まりに?」
「何だよ!襲わないよ!もう。
俺は相手に不自由してないの。
わかっててボケたろ。」
「あ…わかったか。
じゃあ、明日…と言っても田宮が下校してからだから午後8時くらいになるけど、それでいいかな?」
「OK!一応連絡入れるよ。」
「よろしく頼むよ。」
「じゃあね。また明日!」
「じやな。」
僕は電話を切ってソファに座った。

久瀬に相談して良かった。
あいつは僕のして欲しい事を察してくれて自然に自ら提案してくれる。
本当にいい奴だ。
田宮と近づく事が出来たのも彼のお掛けだ。
いずれ何らかの形でお礼をしないといけないな…。

僕は久瀬に感謝の気持ちを感じながら、
田宮のウェディングドレス写真を眺めた。
本当なら携帯に写メとかに撮りたいけど…それは彼女を裏切る行為になる。
だから、こうやって帰宅してから少しの間眺める事にしてる。
「大好きだよ…本当に。」
僕は毎日、毎時間、毎分、毎秒…君に心で告白し続ける。
応えなんていらないから。

次回の《勉強会》…。
僕がもし…彼女を傷付ける事になったら…いや…絶対にそんな事しない!
どんな状態になろうと絶対に!
それだけは死んでもするもんか!
僕は彼女の写真にそう誓いを立てた。



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