手の届かない君に。

平塚冴子

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3学期

王子VS姫のゲーム

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「やっぱ。飲みすぎた~!」
頭がガンガンする。
昨晩は浮かれすぎたかな。
時刻は午後12時30分。

シャワーで目を覚まし、携帯のGPSを確認した。
田宮はすでに旧理科室に行っているようだ。
僕は重い頭を抱えながら、ポロシャツにデニムパンツの普段着に、ダウンジャケットを羽織った格好で学校に向かった。
途中、酒臭い口臭が気になりミントタブレットをコンビニで購入してから猛ダッシュした。

「オェッ。」
ダッシュしすぎて、戻しそうになりながら旧理科室に到着した。
…金井先生いるかな…?
少し不安のまま、ドアをノックして様子を見た。

コンコン。
「…はい?」
彼女の声しかしない…。
ガチャ。
「おっす…。」
室内には彼女1人のようだ。
「こんにちわ。武本先生。」
「…金井先生は来てないのか?」
「いえ、お昼前までいらしてましたが…。
何か急用が出来たとかで、帰られました。」
「急用…?」
昨日の今日で急用…?
何か新しい事がわかったのか?

「先生は、どうしてここに?」
彼女が黙り込むでる僕に問い掛けてきた。
「あ…いや。
この前、田宮 美月が来てたから…。
心配で…。
しばらく、来るよ。
金井先生も来ると思うけど…。
…ダメかな?」
ここは、彼女にとっての居場所だ…。
もし、嫌なら旧理科室準備室で監視するしか…。
「そうですね~。
特に嫌という事はないので。
ただし、金井先生とのケンカはしないで下さい。
争い事は好きになれません。」
「わかったよ。約束する。」

「では…せっかく2人なので、ジェンガでもします?」
急な誘いだった。
けど…。彼女から誘うなんてそうそうない事だ。
「やってみようかな。」
「じゃあ、1つづつ取る度に質問に答えてくってのはどうです?
ゲーム性が出て面白いですよ。」
「好きな事聞いてもいいのか?」
「もちろん。
バツゲームはどうしましょうか?」

バツゲーム…それって好きな事お願いできるのかな…やってほしい事あるんだけど。
「バツゲーム…そっか…そうだなぁ。
ご飯…作って欲しい。今度。」
「お弁当ではなくてですか?」
「ダメかな…。」
彼女の手料理をテーブルを挟んで、向かい合って食べたかった。

「まぁ、いいでしょう。
では私は…白衣を頂きます。」
「えっ…白衣?」
突拍子もないリクエストに少し驚いた。
「いつも着ているもので、結構です。
いかがですか?」
何でそんなモン欲しがるんだ?
コスプレかな?
「あ、まぁいい。それで。」

僕は彼女とジェンガで勝負する事になった。
先行は彼女だ。
「では、教師じゃなかったらどんな職業に就いていました?」
そう言って彼女は下からジェンガを一本抜き取って上に重ねた。
「うーん。商社の営業マンとかかな?
サラリーマンだな。
じゃあ、行ってみたい場所。」
僕も下からジェンガを抜き取って、上に重ねた。
「宇宙とか言ってみても、実現しなさそうですから…遊園地…。
行ったことないんです。
映像でしか見た事なくって。」
「今度行こう!一緒に!」
僕は彼女の答えに、反応した。
「そうですね、ふふふ。先生と行ったら楽しいかも。
では…好きな色は何色ですか?」
「青とか薄い紫色かな…。
好きな動物は?」
「動物はみんな可愛いです。
先生は犬っぽいですね。」
「知ってるよ。
田宮は…そうだな猫っぽい日本猫!」
「では希少種の三毛猫でお願いします。
あはは。」
「リクエスト有りかよ?ははは。」
そんな、ふざけ合いも交えながら僕等はジェンガを楽しんだ。

彼女の手料理が掛かってる…かなり慎重にやっているが…彼女も負けてない。
白衣なんかいくらでもやるから、負けてくれないかなぁ。
「あっ!」

バラバラバラバラ…。
崩れてしまった。
うおおおおおお!
ちくしょう!余計な事考えて失敗した~!
「私の勝ちですね。ふふふ。」
「負けた~!
…今度白衣もって来るよ。」
「はい。楽しみに待ってます。」
田宮の手料理が…ああ~。
僕は全身の力が抜ける程ショックを受けた。

プルルルルプルルルル
着信音?
僕のじゃない…田宮のだ。
「はい。あら…こんにちわ。」
んんんんん?こんにちわ?
魔女じゃないのか?
「えっ…ええ。」
彼女が僕の方を見た。
そして…何故か僕を指差した。
「何だ?僕が…何?」
彼女は携帯を押さえた。

「葉月さん…。」
「葉月だって?」
僕は目が点になった。
葉月が田宮に連絡を取るなんて一体どういう事だ?
ザワザワと胸騒ぎを覚えた。
「一昨日、電話番号聞かれて教えたんです…。
武本先生の番号教えて貰えないからって。」
「僕に…用事なのか?」
「はい。そう、おっしゃってます。」

葉月が電話で僕に連絡を…。
しかも、田宮を使ってまで…まさか…。
僕は彼女から電話を受け取って、出る事にした。

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