手の届かない君に。

平塚冴子

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3学期

王子の敗北感2

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旧理科準備室で携帯を見つめる…。
何て言ったらいいんだよ。
正直とか素直とか…そんなん言えたら苦労してないっつーの!
僕だって全部ブチまけたいよ!
そんなの当たり前じゃ無いか!
「あー!くそっ!も~~!」
思わず叫んでしまった。

結局、しばらくコーヒー飲んだり、ウロウロ歩いたり、全然電話をかけられなかった。

ブルルルルブルルルル。
久瀬だ…。
呆れられるんだろうな。
「はい、武本です。」
「お待たせ~~!恋の天使!久瀬です。
って、んな場合じゃなかった。
で、金井先生と田宮はどこに行ってる?」
「多分…遊園地デート。
ドリーム・バーチャルランド。」
「ああ、最近出来た室内遊園地か。
天気に左右されないからいいな~じゃねーよ!
アホ!アホ!アホ!」
「アホ3回は多いだろ。傷つく…。
田宮も行きたかったんだよ、多分…。
遊園地行った事無いって言ってたし。」
「ああそうか……。
って、そこにいたら、武本っちゃんどつくよ!俺。
まったく、ヘタレ病悪化しすぎ!
バレンタインデー前に、そんなの譲ってどーすんの?
大人だよね!
四捨五入したら30歳だよねー武本っちゃん!」
四捨五入するなよ、いちいち。
どうせ、オッさんの仲間入りだよ。
これだから10代は!

「清水先生にも怒られたよ。
ちゃんと自分の気持ち伝えて無いだろって。」
「お!話しのわかる先生いるじゃん!」
「で、今から田宮に電話をかけて、気持ち吐き出せって言われてんだけど…。」
「…出来ないっと…。
参ったね、まったく。
あのさ…《勉強会》終わってから、何を悩んでる?
武本っちゃん…何を隠してる?」
「隠してる訳じゃ…。」
そうだ…別に隠してる訳じゃない…わからないんだ。
せっかく…彼女を助けるヒントが見つかったってのに…答えはサッパリだ。
魔女の件もあって、いっぱいいっぱいで…。
「とりあえず…電話をかけてみろよ。
あと、今日は早く帰宅出来んのか?
友達として、話し聞くから。」
「えっと…。」
「なんでもいいから、話すだけで楽になれるだろ。
友達なんだろ俺達は。」
「あ…そうだな…わかった。
ダメ元で電話をかけてみる。
結果は後で話すよ。」
「じゃあ、こっち終わったら、そっちの学校に行くよ。
テスト休みだろ。
生徒いないし行っても騒がれないだろ。
事務局ついたら連絡して貰うから。」
「わかった。
また後でな。」
「ヘコむなよ!後でな!」
久瀬の電話を切って、少しホッとした。
緊張感が解れた。

もう…昼を過ぎてる…。
電話をかけなきゃ…。
「はああ…よし!」
大きく息を吐いて精神を落ち着けた。
当たって砕けろ!
僕は田宮の携帯に電話をかけた。

トゥルルトゥルル…ピッ。
「はい。田宮です。どうしました?」
心配そうな彼女の声が聞こえる。
遊園地にいるせいか、耳を凝らさないと聞こえないくらいに後ろが騒がしい。
「ごめん、今…大丈夫かな?」
「えっと…もう少し静かな場所に移動しますね。」
彼女は静かな場所へ移動したようだ。

3分くらいで移動を終えたみたいだ。
「ごめんなさい。
お話しは何ですか?
また、混乱してますか?」
「いや…今、金井先生と一緒なんだろ。」
「ええ。遊園地に連れて来てもらってます。
それが…何か…?
先生は実力テストの採点もあるでしょうから、誘わなかったんですけど…来たかったですか?」
え?そこー?ははは。
…可愛い答えが帰ってきたな。

「うん!行きたかったんだ…田宮と2人きりで。」
「そうですか…では今度行きましょう。」
「いいのか?僕とで。」
「何か問題あますか?
…ああ、先生と生徒じゃダメですかね…やっぱり。」
関係ない…関係ないさ…そんなん!
だって…だって…。

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