手の届かない君に。

平塚冴子

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3学期

男の子達の恋話会議1

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「ヤッホー!武本っちゃん!」
「お久しぶりです。武本先生。」
「安東!?お前受験生…あ終わったのか。」
事務局に行くとコートの下が制服の久瀬と私服の安東が僕に手を振って来た。
「ええ、おかげさまで、無事終わって後は合格発表を待つのみです。」
「そっか、お疲れ様…でどうして一緒に?」
「俺が頼んだの!恋話すんのは良いけど…俺はゲイじゃん。
やっぱり、ゲイよりストレートの意見聞きたいのかなぁって。
参考になるっしょ」
あ…。
でも、安東って僕と田宮の事…知ってたっけ?
「と、とりあえず、ここじゃ何だから僕のマンションへ行こう。」
僕は2人を連れて、学校を出た。

途中、コンビニで買い物をしてからマンション入った。
「初詣で以来だな。
武本先生の部屋。
いつも思うけど…男の独り暮らしの割に掃除が出来てて綺麗にしてますね。」
安東が主婦目線で部屋を見渡した。
「物が少ないんだ。
趣味とかもないし…。
自炊もほとんどしないから。」

そういえば、シンプルな方なのかな。
…香苗の物は全て捨ててしまったし、部屋がほとんど黒と白の物だ…ヤバい根暗カラーだ。
「こんな部屋で独り抜いてたら、抜けるもんも全部抜けないよな~。
俺が手伝ってやるから、抜く時呼んでよ!
武本っちゃん。」
久瀬がまた下ネタを振ってきた。
「何の話しだ!何の!
お前は下の話しばっかだな!
大人には大人の抜き方あんだよ!ほっとけ!」
釣られて変なことを口走ってしまった。
くそ!恥ずかしい~~!
何だよ大人の抜き方って…!
「くくっふっくっ!」
「自分で話し振っておいて、その抑えた笑い方は逆に失礼だと思うぞ。久瀬。」
安東がフォローに入った。

とりあえず、菓子とコーヒーを出してリラックスした状態で話し始めた。
「久瀬…バレンタインデーは金井先生に取られた。」
「げっつ!やっぱりそうか…!
そんな気がしたんだよな。
クリスマスの件があるから、金ちゃん猛チャージで来るって…。」
「僕も、告白出来たからって、多少…余裕でいたから。
隙があったんだと思う。」
コーヒーを一口飲んで、ため息混じりに言った。
「確かにな…。
金ちゃんも、そろそろ田宮の扱いに慣れた頃だから、誘うのも上手くなってるし。
…田宮が誘いに乗ったのは多かれ少なかれ、今まで武本っちゃんが教え込んだ事を実行してるんだよ。
逆に金ちゃんに塩を送ったって事だけど。」
「ぐっ!わかってるよ!」
確かに…今になって、恋愛指導したのを後悔した。
「すみません、武本先生。
先生のお相手って…田宮さんですよね。」
久瀬と僕の話を聞いていた安東が、不意に話しに入ってきた。
「あ…。えっ…と。」
「大丈夫だよ。武本っちゃん。
安東先輩、年明けから勘付いてたから。」
「そっか。ごめん…そうなんだ実は。
おかしいよな。教師なのに…。」
真面目で常識人の安東なら引くよな、この状況は。
「そうかなぁ。全然おかしくないですよ。
ほら、僕、結構田宮さんと話してたじゃないですか。
感覚が…凄くえっと…魅力的な感じでしたよ。
恋愛感情うんぬんじゃなくて…。
人間的に惹かれるものを感じましたよ。
好きになる気持ちもわかります。」
「へっ…そうなの?」
ちょっと驚いた。
常識人の安東なら、引いちゃうだろうって勝手に思ってた。
「恋愛感情に教師も生徒も、年上、年下、男も女も関係ないでしょう。
人を好きになる…その意味の方が重要ですから。」
う!器がデケぇ~!
ノミのような僕の器と大違いだ!
後光が見える…。
「先輩いい~~!感動~!」
久瀬が耐え切れず安東に抱きついた。
「離れろよ!久瀬!」
「僕の部屋で変なことすんな!ボケぇ!」
ガッ!ドカ!
僕と安東で同時に久瀬をブン殴った。
「酷い~~。」

「さて…では、武本っちゃんの恋の傾向と対策を練りましょうか。」
体勢を戻して久瀬が向き直った。
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