手の届かない君に。

平塚冴子

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3学期

救世主レポート

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職員室で濃いコーヒーを煽るように飲み干した。
息苦しかったのでシャツのボタンを1つ開けた。
自席の椅子に身体を投げ出すように座った。
「はああ。」
明日もやってけるか不安だ。

ブルルルルブルルルル。
「あ!牧田!」
僕は慌てて携帯を落としそうになりながら電話に出た。
「はい。武本だ。」
「やっほほー!
銀子ちゃんだよーお!」
「わかってるよ!自己紹介はいいから!」
「…武ちゃんは銀子ちゃんに愛情のカケラもないのん!
まあ…今に始まった事じゃないけど。」
「あ、ごめんなさい。
…で、あの田宮は?」
ドキドキしながら牧田の返事を待った。

「ふふん。どうだと思う?」
「焦らすなよって!僕はもういっぱいいっぱいで参ってんだ。」
「武ちゃんはお子ちゃまねー。
電話で言うのも難しいんよ。
真朝の場合は。」
「えっ…。」
「表向きはまったく変化なしってとこかな。
ま、普通なら関心なしってなるよね。」
グサッ!
関心なし…傷口に塩塗られた感じだ。

「すぐ落ち込まないの!
言ったでしょ~!
表向き、普通はって言ったっしょ!
銀子ちゃんの恋愛アンテナをナメてもらっちゃ困りますわん!」
「じゃあ、どうなんだよ!」
「あれは、動揺してると思うよん。」
「えっ…動揺!?田宮が?」
「ちょいちょい、ボーッとしたり、考え込んだりしてる。
人差し指を曲げて、唇に当てる仕草は真朝が悩んでる証拠だしね。」
「そんな癖あるんだ…。」
人差し指を曲げて唇に押し当てて、まぶたを伏せて考え込む姿を想像した。

憂いを帯びた表情に赤く弾力があり柔らかい唇に、そっと押し当てられた指…。
うわーゾクゾクする!
見たいー!超見たい!
想像だけでも興奮するー!

「武ちゃん、想像しておっ勃てないでよね。」
「勃てって…だから女の子が言うな!」
「とにかく、ハッキリじゃないけどね。
そうね…廊下でガン無視して素通りしたり、
授業中に手を挙げても、絶対当てないとか。
声を掛けられても無視して聞こえないフリするとか…。
まあ…色々試してみてちょ。」
「おい、おい!やり過ぎたら嫌われる方向進んじゃいそうだろそれ!」
「その為の銀子ちゃんでしょーが!
フォローは任せてちょ。
しばらくは武ちゃんも我慢しなきゃだわよ。」
「お前のフォローが心配なんだよ~。」
「失礼な!
武ちゃんがもっと、しっかりとしてくんないと!
真朝だってしっかりしてても女の子なんよ!
少しでも頼れる男になりなさい!」
うっ…牧田に怒られるなんて。
でも、その通りだ。
彼女にとって頼れる位の男にならなきゃ…。
そうならなきゃ、久瀬の言ったように彼女の生きる目的にすらなれない。

僕が…彼女の生きる目的になれるように…。

「ありがとう牧田。
引き続き、彼女の様子を教えてくれ。」
「およ。素直じゃん!
恋愛アンテナ銀子ちゃんに任せてちょ!」
「期待してる。頼んだぞ。」

プッ…。
僕は電話を切って。
胸ポケットの手帳に触れた。
僕自身が成長して強くならなきゃ…。
君が僕を頼れるように…。
僕の全てが君の物であるように、君の全てを僕の物に出来るように。
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