手の届かない君に。

平塚冴子

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3学期

学者と王子のナンパ会議2

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「あの…。
清水先生がコードレスの小型マイクとイヤホンがあると…。
使った方がいいですか?」
「実はその件も清水先生と話したんですが…。
僕は反対させて貰いました。」
「えっ…何で。指示がある方が僕はいいかと。
見つかる可能性があるからですか?」
僕としては、指示がある方が心強いんだけど。
「それも、ありますが…それを頼ってしまうと武本先生の良いところが出なくなります。
僕的には武本先生の魅力を信じます。」
「ええ~?」
魅力って、信じますってンなもの無いのに?

「その素人っぽさが、おそらくは魔女の警戒を解く魔法なんですよ。
逆にスマートに対応しては作戦が失敗する可能性が高いんですよ。
いつもみたくドジっ子キャラでいて下さい。」
「ドジっ子キャラって…金井先生、結構ひどい事言ってますけど…。」
「あははは。すみません。
真朝君がそう言っていたものでつい。」
おいいい~~!2人で何で僕の話しで盛り上がってんだよ!

でも…金井先生と2人でも僕の存在を感じていてくれたって事かな…。

僕はちょっと嬉しくなった。
彼女の中に小さな僕が居て、ちゃんと育って行ってくれるなら…。

「ただし、段取りは大まかに決めておかないといけません。
ナンパが本来の目的では無いのですから。」
「まず…話し合いの日時と場所ですが、やはり…入試採点終了後の夜の学校がいいかと。」
「学校ですか?」
「ええ、まず…入試採点で生徒は立ち入り禁止になってます。教師は採点が終わり、集計後には帰宅します。
清水先生の話しだと、年々生徒数は減少傾向。
今年の受験生の人数も30人減少してるそうですね。
採点もその分早く終わり、教師も早めの帰宅となります。
清水先生や教頭、校長はその後に仕事があるそうですが、逆に2人を足止めする役割を担えます。
つまり、確実に僕と武本先生、美月君の3人での話し合いが可能なのです。」
「ってことは…その前に話し合いの交渉に誘わなければならないんですね。」

「ええ、そこで明日の夜に。
美月君の行きつけの若者が集うクラブがあります。
そこのDJと付き合ってるようです。」
「彼氏の前で魔女に声かけるんですかぁ?」
無理!無理!殴られるんじゃねー?
「ぷはっ!大丈夫ですよ。
その辺はこちらで段取りを組ませて頂きました。
天堂がかなり前から彼に接触して、信頼関係を得ています。
事前に彼には逆に協力して見て見ぬ振りをしてもらう手はずになってます。」
「そうですか…。」
ほっ。良かった。
「で、クラブから誘い出して、近くの喫茶店に連れ出して下さい。
地図は後でメールに添付して送ります。
そこで、話し合いの交渉を行って下さい。」

「喫茶店…ですか?」
「そこも手はずを整えておきます。
オーナーには直前まで貸し切り店の札を下げて頂き、作戦実行時間に札を一旦取り外します。
お2人が入ってすぐに、再び貸し切り札を下げて頂き、なるべく他人に聞かれない状況を作っておきます。」
「店の人にまで協力させるんですか?」
大ごとじゃないか!失敗したら目も当てられない!
「言いましたよね。
これはウチの会社の信用に関わる案件だと。
解決なしでは許されないんですよ。」
責任重大いい~!心臓持つかな…はは。

「先に謝っておきます。
全力を尽くしますが、失敗したらすみません。」
僕は深々と頭を下げた。
成功確率なんてあるかさえわからない作戦だ。
全てが僕にかかってる。
「武本先生。
我々は人間ですよ。
失敗を成功に変える力だって持ち合わせてますから。
安心して下さい。
作戦の詳細と地図をメールで送ります。
熟知しておいて下さい。」
「はい!頑張ります。」
金井先生の優しさに感動して泣きそうだった。

久瀬といい金井先生、清水先生…僕には仲間がいる。
田宮 真朝…そして…君がこの胸の中にいる。
大丈夫だ…きっと行ける!

僕は金井先生に一礼をして、カウンセリングルームを後にした。
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