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3学期
バレンタイン前の小さな喜び
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「あー!もう、興奮しすぎだっつーの!
のろけ話し聞かされるこっちの身にもなってよ!」
電話口で、久瀬が悲鳴を上げた。
「あっと…すまない。
興奮して喜び過ぎた。」
あまりの嬉しさに我を忘れた状態のままに久瀬に電話してしまった。
旧理科準備室に駆け込み、中休み中の久瀬に電話を掛けた。
「まあ、良かったんじゃない。
シカト作戦大成功じゃん!
ってか、まさか田宮がそこまで行動に出るなんて実際、思わなかったんだけどな。
あいつ、基本行動的じゃないだろ。
そんだけ、意識してるって証拠だよ。」
「だろ!だよなぁ!」
「だーから、興奮すんなってんの!
そんなんだから、お子様扱いされるんだよ。」
「きっついな!仕方ないだろ!
ここんところ、我慢のし通しだったんだからな!
禁断症状末期だったんだよ!」
「よっしゃ!そんじゃシカト作戦解除しようか。」
「当たり前だ!これ以上我慢できるか!」
「とは言え…『勉強会』も近い。
バレンタイン後、すぐにあると思ってくれ。
そして…今回は、武本っちゃんの秘密を引き出す。
田宮はそのつもりで、下準備を俺に手伝わせてる。
根性据えて行けよ。」
「やっぱり、バレンタイン後なんだな。」
「そりゃ、金井先生との約束前にドタバタすんのも悪いと思っての事だろ。」
「そう…だな。」
バレンタインかぁ。
「急にテンション下げるなよ!
逆に考えろよ!
気持ちが乗ってるのは武本っちゃんの方だろ!
余裕のある態度取れよ!」
「そう…だよなぁ。」
「やべぇ!次の授業に遅れる!
また後でな!」
プッ。
久瀬は慌てて電話を切ってしまった。
確かに、バレンタインは無理なのは確実だけど、さっきの彼女の行動に嘘はないはずだ。
僕はすぐに自分に自信を失ってしまうけど、今回は絶対に金井先生より僕の方に、彼女の気持ちは寄っているはずだ…と思いたい。
だからこそ、『勉強会』もクリアして彼女を救い出す事もクリアしてみせる。
その先には僕と君との楽園が待ってるんだ。
僕は旧理科準備室を後にして職員室に戻った。
ガシッ!職員室に入るなり、清水先生に捕まった。
首に腕を回してがっしりと絡まれた。
「なーにニヤついてんだよ!
午前中とはえらい違いじゃねーかよ!」
「だっ!だから!何ですぐに絡もうとすんですか!あんたは!」
「いーだろ!暇なんだよ!
なんかさー。
燃え尽き症候群ってやつ?
あんだけドタバタしてたのに、落ち着いて来ちゃったからさ。
淋しいんだよ!」
「オッさんの慰め者にしないで下さいよ!
僕はまだまだ忙しいんですから!」
「おっ?忙しいんだ。
ふーん。姫と進展したって訳かぁ?」
「うっ。
違いますよ!
金井先生と田…魔女の謝罪に交代で付き添うんですよ!」
何でこのオッさんは、そういう事に敏感なんだよ!
察しがよすぎだろーが!
ほっとけよ!
「あ、聞いたソレ。
やっぱり、お前らに任せて正解だったな。」
「まぁ、思ったより素直に話してくれましたので、こちらも助かりました。
彼女にもまだ罪悪感を感じる心があったんですよ。」
首から手を離してくれたので、首をさすって呼吸を深くした。
「大人っぽく振舞っていても、子供の純粋な気持ちは残ってたって訳か。
ま、そうさせたのは大人の責任だけどな。」
やっぱり、清水先生は詳しく説明しなくても理解していた。
人生経験がそうさせるのかもしれない。
「そうですね。反省させられました。」
「で…、姫とはどこまで進んでんだ。」
「ばっ!バカですか!
言う訳ないじゃないですか!
ここ、職員室ですよ!」
清水先生の急な突っ込みに対応しきれずに、思い切り動揺してしまった。
「ほ~~ら。
やっぱり、良い事あったんだろ!
俺には隠し事ほ無理だな!」
「そのうち…。
金井先生と3人で飲みに行きましょう。
魔女対策とかじゃなくて…同士として。
その時に話します!」
「お!金井先生の前で話せるのか?
すげぇ自信をつけたな。」
このオッさんはもう~!
「…からかわないで下さいよ。
僕は小テストの採点があるんです!」
僕はベタベタと付きまとう、清水先生をあしらって、自席に着いた。
とはいえ、やっぱり考えてしまう。
だって、今までキスだって抱きしめるのだって、仕返しのキス以外は基本的に僕のリクエストであって、田宮の意思がそこにあったとは思えない。
けど、今回、田宮の意思でブレスレットを着けてくれていたのは間違いない。
そして…多分、僕と同じ思いだったはず、だからこそクスクスと笑ったんだ。
同じタイミングで同じ事考えてる滑稽さに。
僕は心が触れ合うとか通じ合うという感覚に、幸福感を感じずにいられなかった。
もう、バレンタインなんか全然気にならなくなっていた。
のろけ話し聞かされるこっちの身にもなってよ!」
電話口で、久瀬が悲鳴を上げた。
「あっと…すまない。
興奮して喜び過ぎた。」
あまりの嬉しさに我を忘れた状態のままに久瀬に電話してしまった。
旧理科準備室に駆け込み、中休み中の久瀬に電話を掛けた。
「まあ、良かったんじゃない。
シカト作戦大成功じゃん!
ってか、まさか田宮がそこまで行動に出るなんて実際、思わなかったんだけどな。
あいつ、基本行動的じゃないだろ。
そんだけ、意識してるって証拠だよ。」
「だろ!だよなぁ!」
「だーから、興奮すんなってんの!
そんなんだから、お子様扱いされるんだよ。」
「きっついな!仕方ないだろ!
ここんところ、我慢のし通しだったんだからな!
禁断症状末期だったんだよ!」
「よっしゃ!そんじゃシカト作戦解除しようか。」
「当たり前だ!これ以上我慢できるか!」
「とは言え…『勉強会』も近い。
バレンタイン後、すぐにあると思ってくれ。
そして…今回は、武本っちゃんの秘密を引き出す。
田宮はそのつもりで、下準備を俺に手伝わせてる。
根性据えて行けよ。」
「やっぱり、バレンタイン後なんだな。」
「そりゃ、金井先生との約束前にドタバタすんのも悪いと思っての事だろ。」
「そう…だな。」
バレンタインかぁ。
「急にテンション下げるなよ!
逆に考えろよ!
気持ちが乗ってるのは武本っちゃんの方だろ!
余裕のある態度取れよ!」
「そう…だよなぁ。」
「やべぇ!次の授業に遅れる!
また後でな!」
プッ。
久瀬は慌てて電話を切ってしまった。
確かに、バレンタインは無理なのは確実だけど、さっきの彼女の行動に嘘はないはずだ。
僕はすぐに自分に自信を失ってしまうけど、今回は絶対に金井先生より僕の方に、彼女の気持ちは寄っているはずだ…と思いたい。
だからこそ、『勉強会』もクリアして彼女を救い出す事もクリアしてみせる。
その先には僕と君との楽園が待ってるんだ。
僕は旧理科準備室を後にして職員室に戻った。
ガシッ!職員室に入るなり、清水先生に捕まった。
首に腕を回してがっしりと絡まれた。
「なーにニヤついてんだよ!
午前中とはえらい違いじゃねーかよ!」
「だっ!だから!何ですぐに絡もうとすんですか!あんたは!」
「いーだろ!暇なんだよ!
なんかさー。
燃え尽き症候群ってやつ?
あんだけドタバタしてたのに、落ち着いて来ちゃったからさ。
淋しいんだよ!」
「オッさんの慰め者にしないで下さいよ!
僕はまだまだ忙しいんですから!」
「おっ?忙しいんだ。
ふーん。姫と進展したって訳かぁ?」
「うっ。
違いますよ!
金井先生と田…魔女の謝罪に交代で付き添うんですよ!」
何でこのオッさんは、そういう事に敏感なんだよ!
察しがよすぎだろーが!
ほっとけよ!
「あ、聞いたソレ。
やっぱり、お前らに任せて正解だったな。」
「まぁ、思ったより素直に話してくれましたので、こちらも助かりました。
彼女にもまだ罪悪感を感じる心があったんですよ。」
首から手を離してくれたので、首をさすって呼吸を深くした。
「大人っぽく振舞っていても、子供の純粋な気持ちは残ってたって訳か。
ま、そうさせたのは大人の責任だけどな。」
やっぱり、清水先生は詳しく説明しなくても理解していた。
人生経験がそうさせるのかもしれない。
「そうですね。反省させられました。」
「で…、姫とはどこまで進んでんだ。」
「ばっ!バカですか!
言う訳ないじゃないですか!
ここ、職員室ですよ!」
清水先生の急な突っ込みに対応しきれずに、思い切り動揺してしまった。
「ほ~~ら。
やっぱり、良い事あったんだろ!
俺には隠し事ほ無理だな!」
「そのうち…。
金井先生と3人で飲みに行きましょう。
魔女対策とかじゃなくて…同士として。
その時に話します!」
「お!金井先生の前で話せるのか?
すげぇ自信をつけたな。」
このオッさんはもう~!
「…からかわないで下さいよ。
僕は小テストの採点があるんです!」
僕はベタベタと付きまとう、清水先生をあしらって、自席に着いた。
とはいえ、やっぱり考えてしまう。
だって、今までキスだって抱きしめるのだって、仕返しのキス以外は基本的に僕のリクエストであって、田宮の意思がそこにあったとは思えない。
けど、今回、田宮の意思でブレスレットを着けてくれていたのは間違いない。
そして…多分、僕と同じ思いだったはず、だからこそクスクスと笑ったんだ。
同じタイミングで同じ事考えてる滑稽さに。
僕は心が触れ合うとか通じ合うという感覚に、幸福感を感じずにいられなかった。
もう、バレンタインなんか全然気にならなくなっていた。
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