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3学期
王子のバレンタインデー5
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鍵…なんの鍵だ…?
形状的には家の鍵っぽいけど…。
え?
家の鍵…?
あと、白の大きめのポーチ…?
これがプレゼント??
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
鍵穴を覗いて見る。
「田宮…!?」
田宮 真朝が恥ずかしそうな、困った顔をして立っていた。
金井先生とのディナー後らしく、コートもピンクの新品のものを着ていた。
ガチャ。
慌てて、ドアを開けた。
「こ…今晩は。」
「何やってんだ?」
寒い風が室内に流れ込んで来た。
とにかく、玄関に入れて話を聞く事にした。
「すいません。
夜に訪ねてしまって…。
その…家に誰も居なくて入れなくなって。
姉が電話で…私の家の鍵を武本先生に預けたから、取りに行けって…。」
あ…!
あの女~~!やっぱり魔女だ!
何仕込んでんだよ!
「鍵ってこれ…。」
渡そうとして…僕は手を止めてしまった。
このまま、帰したくない気持ちが膨れ上がって来たのだ。
「先生…?」
「お、お茶でも飲んで行けよ。
外は寒いだろ。
金井先生が待ってるかな?」
「いえ、金井先生に送ってもらった後で、鍵がない事に気が付いて。
姉からメッセージが入っていて…。
だから、バスに乗って来たんです。」
よく見ると、彼女は片手に大きな手提げと鞄を持っていた。
制服…とかかな?
「ほら、手がこんなに冷たい。
暖まってからにしろ。
タクシーで送ってやるから。」
僕は鍵を手渡す時に手を握った。
「…はい。」
君は俯き加減に返事をして、部屋に入った。
コートを脱いだ田宮は、淡い紫色でウエスト部分に青い大きなリボンの着いた上品な感じのワンピースを着ていた。
そう言えば、薄っすらとメイクもしてるようだ。
プロにやってもらったのかな?
髪も学校とは違って、綺麗にセットされていた。
「あら、先生チョコレート沢山頂いたんですね。」
キッチンのテーブルの上に乱雑に置かれたチョコを覗き込んだ君は、クスクスと笑いながら言った。
「あ!義理だぞ!全部!
部活とか、塚本達とか!
君のは無いけど…。」
「ホットチョコレート作りましょうか?」
「へっ?」
「アレンジして…嫌ですか?」
義理チョコが…田宮の手作りに変わるって事か!?
「あ、いや。
お願いします。」
「でも、このままの服装じゃ。
あら、この白いポーチ…。」
「それも、鍵と一緒に入ってたんだ。
田宮のだろ。
姉さんは何考えてるんだ?」
田宮はポーチをゆっくりと開けてみて、固まった。
「何だったんだ?」
「えっと…、パジャマとか…宿泊セットが…。」
ぶっ!し…宿泊セットおぉ?
思わず仰け反って驚いてしまった。
あの魔女め~~!
「た、田宮…あの…。
ほら、エプロンあるから!」
僕は慌てて近くにあった、殆ど使ってない黒のエプロンを渡した。
「あ、はい。」
ったく!余計にドキドキしてきたじゃねーかよ!
…エプロン姿の君が小鍋を片手にホットチョコレートを作り始めた。
僕はテーブルの上を片付けて、マグカップを2つ出そうとした…。
香苗とのペアカップは全部捨ててしまったから、無骨なマグカップしかなかった。
うーん。色気ねぇなまったく。
あれ…?自然と共同作業になってないか?
自然な流れだった…。
不思議だ…ドキドキしてるはずなのに…心地いい自然な空気に包まれるようだ。
「出来ました。
上手くいったかしら。」
僕はマグカップを差し出した。
甘くて優しい香りが部屋に充満した。
「香りはいい。
美味そうだ。
あ、でも熱いの苦手だろ。
少し冷まさないとな。
座って話しでもしようか?」
「ふふふ。はい。」
僕等は向かい合ってデーブルの席に着いた。
形状的には家の鍵っぽいけど…。
え?
家の鍵…?
あと、白の大きめのポーチ…?
これがプレゼント??
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
鍵穴を覗いて見る。
「田宮…!?」
田宮 真朝が恥ずかしそうな、困った顔をして立っていた。
金井先生とのディナー後らしく、コートもピンクの新品のものを着ていた。
ガチャ。
慌てて、ドアを開けた。
「こ…今晩は。」
「何やってんだ?」
寒い風が室内に流れ込んで来た。
とにかく、玄関に入れて話を聞く事にした。
「すいません。
夜に訪ねてしまって…。
その…家に誰も居なくて入れなくなって。
姉が電話で…私の家の鍵を武本先生に預けたから、取りに行けって…。」
あ…!
あの女~~!やっぱり魔女だ!
何仕込んでんだよ!
「鍵ってこれ…。」
渡そうとして…僕は手を止めてしまった。
このまま、帰したくない気持ちが膨れ上がって来たのだ。
「先生…?」
「お、お茶でも飲んで行けよ。
外は寒いだろ。
金井先生が待ってるかな?」
「いえ、金井先生に送ってもらった後で、鍵がない事に気が付いて。
姉からメッセージが入っていて…。
だから、バスに乗って来たんです。」
よく見ると、彼女は片手に大きな手提げと鞄を持っていた。
制服…とかかな?
「ほら、手がこんなに冷たい。
暖まってからにしろ。
タクシーで送ってやるから。」
僕は鍵を手渡す時に手を握った。
「…はい。」
君は俯き加減に返事をして、部屋に入った。
コートを脱いだ田宮は、淡い紫色でウエスト部分に青い大きなリボンの着いた上品な感じのワンピースを着ていた。
そう言えば、薄っすらとメイクもしてるようだ。
プロにやってもらったのかな?
髪も学校とは違って、綺麗にセットされていた。
「あら、先生チョコレート沢山頂いたんですね。」
キッチンのテーブルの上に乱雑に置かれたチョコを覗き込んだ君は、クスクスと笑いながら言った。
「あ!義理だぞ!全部!
部活とか、塚本達とか!
君のは無いけど…。」
「ホットチョコレート作りましょうか?」
「へっ?」
「アレンジして…嫌ですか?」
義理チョコが…田宮の手作りに変わるって事か!?
「あ、いや。
お願いします。」
「でも、このままの服装じゃ。
あら、この白いポーチ…。」
「それも、鍵と一緒に入ってたんだ。
田宮のだろ。
姉さんは何考えてるんだ?」
田宮はポーチをゆっくりと開けてみて、固まった。
「何だったんだ?」
「えっと…、パジャマとか…宿泊セットが…。」
ぶっ!し…宿泊セットおぉ?
思わず仰け反って驚いてしまった。
あの魔女め~~!
「た、田宮…あの…。
ほら、エプロンあるから!」
僕は慌てて近くにあった、殆ど使ってない黒のエプロンを渡した。
「あ、はい。」
ったく!余計にドキドキしてきたじゃねーかよ!
…エプロン姿の君が小鍋を片手にホットチョコレートを作り始めた。
僕はテーブルの上を片付けて、マグカップを2つ出そうとした…。
香苗とのペアカップは全部捨ててしまったから、無骨なマグカップしかなかった。
うーん。色気ねぇなまったく。
あれ…?自然と共同作業になってないか?
自然な流れだった…。
不思議だ…ドキドキしてるはずなのに…心地いい自然な空気に包まれるようだ。
「出来ました。
上手くいったかしら。」
僕はマグカップを差し出した。
甘くて優しい香りが部屋に充満した。
「香りはいい。
美味そうだ。
あ、でも熱いの苦手だろ。
少し冷まさないとな。
座って話しでもしようか?」
「ふふふ。はい。」
僕等は向かい合ってデーブルの席に着いた。
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